Soft Rock Top 90位~81位
90位 Pan-Am「The Goin's Great」1969年
Soft Rock系のサウンドが堪能出来るノヴェルティー盤と言えば、1969年にリリースされた『The Name Of The Game Is Go.』。パン・アメリカン航空(Pan American World Airways) の通称「Pan-Am」がプロモーション用に制作したレコードで、同じくSoft Rock系ノヴェ ルティー盤で著名なFord社『The Going Thing』シリーズにも比肩し得る好内容な作品です。良質なサウンド面だけでなく、多言語(日本語含む)歌詞の楽曲収録からデザイン性の高いイラストを配したアーティスティックなジャケットまで、視覚と聴覚で楽しめる好盤として入手しておきたい1枚です。
全10曲中8曲は「For Once In A Lifetime」という名のPan-Amのコマーシャル・ソングで、歌詞違いの物~ボサノヴァ~4つの言語からなるメドレー~インストという様々な形で同じ楽曲を演奏しております。個人的にお薦めしたいのはボサノヴァ・ヴァージョン。ノヴェルティー作品では簡素な音作りだったり尺が短かったりしますが、こちらの楽曲もたった1分という小曲。にも関わらず、優しくも暖かな空気感を感じられる濃縮度合いの高い素敵な 逸品です。
【おまけ】
The New Generation Singers『Flying High』1971年作
ちなみに惜しくもランク外になってしまいましたが、英国を代表するダンサー・グループThe Young Generationのメンバー達により結成された5人組のコーラス・グループThe New Generation Singersの唯一作『Flying High』も併せて聴いて頂きたいです。後にTV業界で世界的に名を馳せることになるNigel LythgoeとKen Warwickが在籍していたことで英国では非常に名の知れた名盤で、タイトルである『Flying High』はこの作品において大きなテーマとなっており、曲名や歌詞の中から「Fly」や「High」等の言葉や同じニュアンスを持ったフレーズが散りばめられております。さらにその言葉を連想させるに相応しいハイ・テンションで高揚するサウンドに男女混声コーラスが絶妙に絡み合い、正しくSoft Rockの王道と言える名盤に仕上がっています。
特筆すべき点はSoft Rock視点の選曲の良さ。The 5th Dimension「Up,Up & Away」の定番カバーから、The Cowsilsの大名曲「We Can Fly」や、Caterina Valenteの隠れたボッサ名曲「Canto De Ossanha」の英詩版「Let Go」、さらに『Pan-Am』のメインテーマ・ソングを取り上げる等、Soft Rockファンには夢の様なナンバーが立ち並んでいます。そして一番のハイライトはやはりSide-2の2曲目に収録された「For Once In A Lifetime~The Goin's Great」。『The Name Of The Game Is Go.』に収録されたオリジナル・テーマソングである「For Once In A Lifetime」とSammy Davis Jr.の「The Goin's Great」の2曲を上手く組み合わせたブレンド作品。大サビで「The Goin's Great」のフレーズが登場しますが、前後のメロディとの違和感は全くなく、まるで元々1曲であったかの様な、まとまりのある構成になっています。「Pan-Am」では1分程と曲の⾧さが短かっただけに、ここで彼らが完成形とも言える納得のいく1曲に仕上げてくれたことは本当に感謝感激!!
89位 The Hear And Now「Climbin' Trees(青盤ヴァージョン)」
1960年代後半~70年代序盤にアリゾナ・オクラホマ・コロラドなど米国中西部を中心にクラブ・サーキットやホテル、レストランで生演奏をして活動していた5人組のマイナー系Soft Rockグループ「The Hear And Now(男性4人:女性1人)」。本盤発表の年代は不詳ですが、自主制作盤にて2枚のアルバムをリリースしております。米国アリゾナ州フェニックスを本拠地に置く著名なエンジニアJack Millerが関わったSoft Rock度の高い『S.T.(通称:青盤)』とSoul・Jazz・Modを絶妙に絡めたCross Over系の『1970(通称:白盤)』。
後者は須永辰緒さんが好みそうなグルーヴィー・チューン「Satan's Bash」が収録されており、マニアの方々は入手必須かと思われますが、紅一点の女性ヴォーカル脱退による影響で、華やかで明るいポップ感や魅惑のドリーミー感に陰りが見え、Soft Rock感は低めなサウンドになっております。
我々が注視すべき前者の『S.T.(通 称:青盤)』は、演奏面では豪華なホーン・セクションや快速系のスリリングなスイングを魅せ、コーラス面では洗練された巧みな掛け合いや混成ヴォ―カリーズを披露する等、明らかにジャズ系統なサウンドを基調としながらも、当時のポピュラー系ヒット・ソングをカバーすることで《ポップ感》が増大し、Soft Rock感覚の高いサウンド傾向になっております。特筆すべきはやはりコーラス・ワークスで、男性陣だけに耳を傾ければモロThe Association風なのですが、そこに紅一点の女性が加わることでThe Pleasure FairやThe Settlersに近いコーラス・ワークに様変わりします。濃厚なHarmonyの美しさは勿論のこと、ユニゾンとハモりの使い分けが絶妙に上手く、ウットリと聴き惚れてしまう程。
そんな彼らの魅力が最大限に活かされた大名曲が「Climbin' Trees」。フラワーポップ直系なSoft Rockチューンと言った趣で、跳ねるポップなメロディや可愛らしくブライトな歌詞は聴いているだけで心地良く、ハッピーな気持ちになれます。特に中盤の間奏部で魅せるパパパ・コーラスは正に夢見心地。
※「Climbin' Trees」は『1970(通称:白盤)』でもセルフカバーしております。
88位 Michèle Richard「Doo Da Dou」1971年
1946年4月17日カナダ・ケベック州シェルブルックに出生したケベックを代表する歌手兼女優Michèle Richardは、伝統的なケベック音楽を語る上で欠かせない著名なフィドラー奏者でありケベック民放TVの先駆者でもあった父親Ti-Blanc Richardの一人娘でもあります。DNA血統と父親の英才教育によるヴォーカル・レッスンにより、幼少期から非凡な歌唱力を持ち合わせ、親の七光りで僅か9歳にしてロンドン ・スタジオにてアルバム・レコーディングを行い歌手デヴュー。翌年、父親が司会を務めるTV番組にも出演し、音楽と タレント活動を並行して行うことになります。
その後2000年代までの長期に渡って第一線でキャリアを形成していくことになる訳ですが、歌手としての円熟期を迎えたのが70年代頃。そんな絶頂期である1971年に彼女にとって記念すべき映画初出演となったスパイコメディ『L'Explosion』が公開。歌手が本業であるMichèle Richardは言わずもがなテーマ・ソングで自慢の歌唱を堂々披露し、二刀流で大健闘。人気コメディアンでもあり、作家・TV司会者・マネージャーとしてマルチに活躍する仏歌手Henri Salvadorが手掛けた映画同タイトルのサントラ盤『L'Explosion』が同年にリリースされ、同時に彼女のヴォーカルでレコーディングされた挿入歌『Vivre Au Soleil/Doo Da Dou』も同年にMichèle Richard本人名義で発表。
実はこのEP盤シングルこそが、Soft Rockファン垂涎の的となっている最高のWサイダーで、エンボス加工でデザインされたオリジナルのスリーヴ・ジャケット付きは仏Only盤で非常に希少性が高く人気の1枚となっております。余程のマニアの方でない限りは、両曲共に収録されたカナダOnlyリリースのLP盤『Vivre Au Soleil』入手を推奨。丁度同時期且つ最盛期にレコーディングされた楽曲が多数収録されている上に、Soft Rockファン受けする佳曲も堪能出来、インテリア映えするジャケット・デザインも含め、何かとお得感があるので興味のある方は是非チェックして頂きたい。
とは言え、やはり聴き所は高揚感Maxの爽快Soft Rock ナンバー「Vivre Au Soleil」と囁き系極甘スキャット「Doo Da Dou」の2曲が頭一つ抜きん出て秀逸。特に後者はドリーミーなサウンド・アプローチといい、柔らかな「ドゥル」×2スキャットといい、正に夢見心地な極上の快作Soft Rock!!
87位 Steve Clayton & Gail Contini「A E I O U」1975年
1926年9月8日、米国ニュージャージー州ジャージーシティに出生した Steve Clayton(本名: Pasquale Tedesco)。幼少期から「Pat」の愛称で親しまれてきた彼は、自慢の歌唱力と作曲センスを武器に音楽業界へ突き進みます。Steve Clayton本人名義で1950年代中期から1960年に掛けて、複数のレーベルを股に掛けながらAndy Williams風の王道Oldies Popスタイルでシングルを連発するもチャートにかすりもせず、鳴かず飛ばず仕舞いの結果に…。70年代には子供向け音楽市場に参入し、女性シンガーGail Continiとタッグを組み、マイナー・レーベルからKids系Soft Rockアルバムをリリースするも大した成果を上げられず…。その後はFrank SinatraやJudy Collins、Peggy Lee等の大物歌手のバッキング・ヴォーカリストとしてスタジオ・ワークに励むことになります。
NYにある公立学校の教育プログラムの一環として制作された70年代の作品群は、ノリの良いリズムに合わせてキャッチーで聴き易いメロディを組み合わせた作風が多く、Soft Rock好きには堪らない内容になっております。特に評判が良いのが1975年作の「AEIOU」。楽曲内容に加えて、単純明快なコンセプトやポップなアート自体がSoft Rock的で好感が持てます。甘いメロディの裏でFree Soul風の演奏を響かせているのが、DJ界隈を賑わすきっかけになっているとか…。
86位 Tom & Shelley「New Heaven」
米国カリフォルニア州ミルバレー出身のCCM系夫婦デュオTom & Shelley による唯一作『S.T.』。Roger Nichols & Paul Williams作詞作曲「I Won’t Last A Day Without You」の収録により、ロジャニコ系最難関の希少盤として認知度が高い1枚。L.A.グレンデールに根城を構えるAngelus Recordsからのリリースで発表年代は不詳。裏ジャケにはde Graaf夫妻による宗教臭い在り来りの謝辞と楽曲名。下部には裏方&演奏陣営の記載がありますが、目を通す限りCCM系やSoft Rock系の重要人物のクレジットは見受けられず。
Roger NicholsだけでなくStevie Wonder「You Are The Sunshine Of My Life」やKurt Kaiser「Bring Back The Springtime」、Carol Carmichael 「Spread A Little Love Around」等、CCM系定番カバーが収録されており、Soft Rockファンにとっては有難い選曲。それに加え、Tom de Graafによるオリジナル・ナンバーが及第点以上の好内容なのが嬉しい誤算。さらに特筆すべきは奥方Shelley de Graafの声質。Karen Carpenter彷彿させるスウィートで瑞々しい歌声がとにかく素晴らしく、彼女の歌唱により作品全体が極甘ポップな世界観に包まれております。
Tom氏オリジナルの絶品Mellow Ballad「New Heaven」が私的ハイライト。中盤で魅せるエコー効果の掛かったShelleyの歌声と胸を締め付けるメランコリックなメロディが極上です。
85位 Carol Yoon「Someone Nice」
ハワイ産Soft Rock界の歌姫Carol Yoon。元々、彼女は地元ホノルルでFolk Singerとして活動しておりました。Lui Williamsによる幻のアルバム『Lui』でバッキング・コーラスを担当していたプロデューサーのEarl Hale Jr.に見出されたことでデヴュー。
自主制作盤でリリースされた唯一作『To Sing A Song』は、1曲を除き全てがオリジナル作品。基本的にはJazzを基調としたスタイリッシュなスタンダード・ナンバーが大半を占めており、下積み時代の経験を活かした圧倒的な歌唱力を披露しております。Soft Rockフ ァンにはお馴染みのLynn MarinoやBlossom Dearie、Barbara Gryfe、Belinda Bellにも通じるロリータ・ヴォイスが彼女最大の魅力であり、熱量の高いロリヴォ・ファンの方々なら卒倒間違いなしの内容になっております。
中でも目玉となるのがMellow Tropicalなジャズ・ナンバー「Someone Nice」とHawaiian Mellowな「In Love W/Love」の2曲。ヘタウマ系の方々にありがちなウィスパーでの誤魔化し等も一切行ず、破壊力満点の甘いメローヴォイスでひたすら圧倒するその姿勢・佇まいは、ロリヴォにおける教則的歌唱の最強例として歴史に残しておきたい。
84位 Jim Rafferty「Tomorrow is Another Day」1978年
Scotlandを代表するFolk Rock Band「Stealers Wheel」の中心人物であり、Soloでは「Baker Street」や「Right Down The Line」の大ヒットを放った Gerry Raffertyの弟Jim Rafferty。今回84位に選出させて頂いた「Tomorrow is Another Day」は、彼の1st Solo Album『S.T.』に収録されておりますが、タイトルを差し替えて曲順も変更された同時リリースの『Don't Talk Back』には、上記の楽曲が収録されておりませんので注意が必要。尚、翌年1979年にリリースされた2nd Album『Solid Logic』にもセルフカバーで再録されたヴァージョンが収録されておりますが、ややスローテンポでSEが施されており、Soft Rock度はやや低めな仕上がりなのであまりお薦め出来ません。
で、肝心の「Tomorrow Is Another Day(78年版)」についてですが、出だしのサックスの鳴りは明らかに兄者を意識しているのでしょうか?歌い始めの 0:25秒からは一気にSoft Rockサウンドが炸裂。キャッチーなメロディ・ライン、Softで爽やかなコーラス、そして優しく包み込む歌声。Duncan Browne を彷彿させるイントロ部分~モロPaul McCartneyの世界観を体現したサビ部分まで圧巻な仕上がり。素晴らしいです。
83位 V.A.(Swedish Fly Girls) Manfred Mann「Where The Beauties Are」1972年
自主制作映画の先駆者として知られる米国マサチューセッツ州ボストン出身の映画監督兼俳優のJack O’Connell。彼が制作した全4作品の中で最も知名度が高い1968年公開の『Revolution』は、《Summer of Love》のカウンター・カルチャー【ヒッピー・ムーブメント】をリアルに描いたドキュメンタリー映画。Mother Earth・Quicksilver Messenger Service・Steve Miller Band という豪華グループの参加により、映画自体よりむしろサントラ盤の方が高い評価を上げたことで、次回作でも大物ミュージシャンを招集することに。それが1971年に米国独占で公開された『Swedish Fly Girls』。
カンヌ映画祭に公開された当初はヒロインの名である『Christa』というタイトルでしたが、AIPの意向により『Swedish Fly Girls』に変更されます。スチュワーデスとして働くシ ングル・マザーがより良き配偶者を探すという、デンマークを舞台にしたR指定のヒューマン・ドラマ映画なのですが、こちらの作品も映像を見ても内容がしっくり頭に入らない程にサントラが秀逸。それもそのはず『Up The Junction』で極上の名サントラ盤を世に残した Manfred Mannがミュージック・プロデューサーとして映画音楽全般を手掛けているのです。ただ、『Up The Junction』で顕著だったエコー処理を効果的に駆使した爽快ヴォーカル&コーラスは皆無なので、多大な期待は禁物。
とは言え、後期Manfred Mann…Mod風味は完全に取り払われ、アルバム最大のハイライトA面2曲目「Where The Beauties Are」では柔和で優し気なSoft Rockサウンドを魅せてくれています。
さらに、米国の女性SSWであるMelanieとFairport ConventionのSandy Dennyがリー ド・ヴォーカリストとしてゲスト参加しております。Sandy Dennyは「Water Mother」「What Will I Do With Tomorrow」「Are The Judges Sane?」「I Need You」の4曲でSoloヴォーカ ルを披露し、どの楽曲も彼女特有の奥行きあるヴォーカルが堪能出来ます。その他の楽曲も総じてハイ・クオリティで、個人的にはisland Mellow系ギター・インスト「Easy」を猛プッシュ。インテイリア映えする表ジャケのカッコ良さも含め、1枚で色々な楽しみ方が出来る良作盤として強力レコメンド!!
82位 The Going Thing「Hey You In The Crowd」1970年
米国大手自動車メーカー三大巨頭の一角を担うFord Motor。1970年代前後にプロモーション用ノヴェルティー・レコードの制作に着手します。これは一般に【The Going Thingプロジェクト】と呼ばれ、The Love Generationの Bahler兄弟が実権を握った一大プロジェクトです。そこに参加したミュージシャンはJohn & Tom Bahler兄弟を含め、The Love GenerationのMitch Gordon、Sergio Mendes& Brasil '66とThe Carnivalでヴォーカルを務めた Janis Hansen、後のフュージョン界を代表するギタリストLarry Carlton、その他Wes Oldaker、Jacie Berry、Susan Teague...etcという当時腕を振るっていた名うてのミュージシャンが一挙に集結されました。
Bahler兄弟はラブジェネ以外にもThe California Dreamers・The Alan Copeland Conspiracy・Hep Stars・The Clique・The Hellers・Katch 22…等、彼らが参加した作品群はほぼハズレが無く、そういった各所での活躍を買われて音楽全般のプロデュースに任命された訳ですが、やはり脂の乗り切っていた時期だからなのでしょうか、一過性のプロジェクトとは言え、容赦の無い怒涛のSoft Rockサウンドを打ち出していきます。
【The Going Thingプロジェクト】は豪州盤も含めると計4枚のアルバムを世に残しており、Bahler兄弟が参加したのは3枚目迄ですが、興味のある方は4作目も含めた全作品制覇お薦め。下記試聴Mixで是非お試しください!!
★1968年作 1st『Christmas 1968 With The Going Thing』
★1969年作 2nd『The Going Thing 1969』
★1970年作 3rd『1970』
★1971年作 4th『Good News』
同趣向のノヴェルティー作品「Pan-Am/パンナム」と比較すると、どの作品も男女混声コーラスがかなり前面に打ち出されており、Bahler兄弟ならではの洗練された爽快系Chorus & Harmonyを楽しめます。作品を追う毎に Bahlerサウンドが色濃くなっていくのですが、1970年作でそれが頂点に達します。その3rd Albumに収録されたHarpers Bizarre「Hey You In The Cloud」のカバーが最たる例で、もはや「これラブジェネじゃね?」と誰もが耳を疑う思う程の超絶爽快なラブジェネ直系サウンドに仕上げております。さらに凄い事に、オリジナルには無いCメロ・Dメロに当たるサビ・大サビという新たな2つのフレーズを付け足して、全くと言って良い程Brand Newな1曲にアレンジ。特に素晴らしいのは、男女で同時に別のフレーズを歌いあう後半。矢継ぎ早に畳み掛ける展開に度肝を抜かれます。死角無き最強名カバーとは正にこの曲のこと!!!
81位 Sunrise「Dana」1978年
B4(The Beatles)とB5(The Beach Boys) の影響を色濃く受けた独産Power Pop バンドSunrise。キャッチーで甘いメロディと濃厚なChorus & Harmonyを最大の持ち味にした単純明快なサウンドが特徴的で、The RutlesやLiverpool Expressの様なパロディ要素は無く、ほぼ全楽曲をメンバーが作詞作曲を手掛けており、オリジナリティも兼ね備えた実力派のバンドです。同趣向を持ち合わせた同胞KeyやNewportと比較するとややB5寄りという印象が強く、メロディに関しては明らかにマッカ遺伝子Maxレベルに近い内容で、何しろ幾重にも重なる分厚い濃厚コーラスが半端じゃなく美しい。勢いに任せた粗削りさも皆無で極めてシャープで爽快。The Hudson BrothersやRay Gooliak、Gunnar Pordarson辺りがお好きな方にはドンピシャなサウンド傾向かと思います。
彼らは1977年~1980年の4年間に2枚のアルバムと8枚のシングルをリリースしており、ビックリする程に駄曲が無く総じて高品質な楽曲ばかりで驚かされます。特にAlbumでは1stの全曲と2nd Albumに収録された「Summers End」。LP未収のシングルではB4直系鬼甘ポップ「Liverpool」・Pilot meets B5な胸キュンポップ「Good Good Good」AOR風絶品Surf Ballad「Stand By Me」辺りは必聴のマスト・アイテムになっております。
名曲が多過ぎ問題で選別が非常に困難でしたが、悩んだ挙句、最終的には 1st Albumに収録された「Dana」を選出させて頂きました。こちらの楽曲はドゥーワップ調のMellow Balladで、美しいメロディとコーラスが見事に絡み、彼らのお家芸が爆発した真骨頂的大名曲。個人的には後期BeeGeesを彷彿させる極上Mellow Pop「How Can You Laugh」が彼らのベストテイクだと感じてる次第ですが、Soft Rock 的解釈で言うと「Dana」の方かなと。
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