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BtoBマーケティングで抑えたい、事例制作の進め方と注意点
こんにちは。株式会社マイノリティの代表の柳澤(@socialselling84)です。
前回、前々回と導入事例記事の重要性と、その効果的な使い方、そして自社の顧客に事例記事に出てもらうための工夫について解説してきました。
BtoB企業にとって導入事例は生命線です。今回はどんなパターンのコンテンツがあって、どうやって制作するのかについて書いていきます。
これから導入事例記事を充実させたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
王道は事例インタビュー
事例記事というコンテンツにはいくつかのパターンがありますが、代表的なものは顧客への事例インタビューです。これが一番王道の手法だと言えるでしょう。
お客様へのインタビューを通じて、導入したサービスが成果を生み出したことに言及するコンテンツ。直接取材をして写真撮影するため、それなりに負荷は高くなりますが、一番説得力があります。
基本的にはこの形式の事例をつくるのがおすすめです。
ただし、業界によっては顧客名を一切出さずに、想定される使い方のみに言及するケースもあります。たとえば、製造業では、機密保持やNDAの縛りが非常に強く、お客様の名前を出せないことがほとんどです。
よくあるのが金型の加工屋さんなど。これは受託開発に近いですよね。こういう会社は特殊な装置を使って金属を削って部品を作っています。すべてがオーダーメイドで、加工技術に優れた職人が一つひとつ丁寧に手掛けています。
顧客は、部品を使って最終的な完成品を作るメーカー、たとえばトヨタや三菱電機などの大手メーカーです。しかし顧客は自社がどこから部品を仕入れているか、あるいはどこに加工を依頼しているかなどの情報が競争力の源泉となるため、外部に公開したがらないわけです。
そのため、製造業の会社は事例を出したくても、ビジネスモデル的に顧客名を明かすことができないのが実情です。実績は出せるけど、顧客名はほぼ出せません。
このような場合の事例作成の参考になるのが、キーエンスの事例です。
顧客名を出さずに導入事例をつくる
キーエンスはさまざまな業務用センサを扱い、工場の自動化、いわゆるファクトリーオートメーションを推進していますが、顧客である工場はキーエンスのセンサを使用していることを外部に知られたくありません。
そこで、キーエンスは顧客名は出さずに、業界別に実績をたくさん並べるという手法を取っているのです。
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自動車業界や金属業界、食品業界など、さまざまな業界の工場にセンサを導入した事例が掲載されています。この場合、導入先にインタビューせずに、キーエンス目線で自社プロダクトの使われ方を書くことができるのが利点です。
導入事例といえば、Webサイトにすべての情報を載せてしまう場合がほとんどですが、キーエンスは徹底的に問い合わせを取ることに特化していて、「詳しく知りたい方は資料のダウンロードを」と資料請求を促すような仕組みになっています。
顧客名が出せない場合はユースケース的な実績を出すことになります。業界や用途別に、顧客名を伏せた上で「このように使われています」という形で事例を公開するパターンは、キーエンスがかなり上手だと思います。
事例取材の具体的な進め方
さて、事例作成の際の取材に必要な準備についても説明します。導入事例は自社で作るケースもあれば、専門の事例制作会社に依頼するケースもあります。
社内の担当部署としては、マーケティング部門や営業部門などが考えられますが、営業担当が制作まで行うとどうしても素人感が出てしまうため、基本的にはプロの事例制作会社に任せた方がよいと思います。
協力してくれる顧客が見つかったら、事例制作のプロに依頼して、一緒にやり取りを進めていくという流れです。
弊社の取材の進め方としては、お客様にできるだけ負荷をかけないことが重要ポイントになっています。
お客様には基本的に自社の事業概要やサービスについて語っていただき、これが全体の7割ほどを占めます。残りの3割だけこちらから導入のきっかけや導入後の成果などを、質問に沿って回答してもらうようにお願いします。
特に準備は必要ないと伝えた上で、取材と撮影込みでだいたい1時間半ほどお時間をいただくようにしています。それでも大企業などでは、事前に質問内容の送付を求められることもありますが。
実際の取材の流れとしては、自己紹介や企業紹介の部分を30分から40分ほど聞いて、最後に導入した成果について聞いていきます。
導入事例の記事だからといって、成果を打ち出してもらうことにこだわらず、自社について気持ちよく話してもらうのが大事です。
特に写真撮影はスムーズに
私が特に工夫しているのは、お客様が一番嫌がる、あるいは困惑する写真撮影の時間です。「笑ってください」とか「話してください」と言われると、相手が慣れていない場合は気まずい雰囲気になってしまいます。
私は事例制作の際は専門のライターさんを連れていくのですが、写真撮影は私が行ってしまいます。ライターさんがお客様にインタビューしている間に、横から自然な形で写真を撮ります。
そのため、インタビューの際は机の上をきれいにしてもらい、パソコンや飲み物のコップは端に置いてもらって、普段通りに話しながらストレスなく写真撮影ができるようにしています。
ささやかなところではありますが、自分が取材を受ける立場だったら、その撮影の時間が一番お互いに気まずくて嫌だと思うので、そこはストレスがないように工夫しています。カメラマンとライターが同時にそれぞれの役割を終えてしまうのがいいと思います。
撮影はプロのカメラマンに依頼してもよいですが、Webサイトに載せる写真ですから、ちゃんとしたカメラがあれば自分で撮影してしまっても問題ありません。
事例取材はできれば訪問して行いたいところです。Zoomなどを使うとどうしても取材のやり取りがぎこちなくなりますし、写真撮影ができず、あとで素材をもらう必要が出てくるなど先方にも手間をかけさせることになります。
たまにZoomの画面のスクショを事例記事に載せている会社もありますが、画質も荒く、暗くなりがちです。あまり印象は良くないのでなるべくやめたほうがいいでしょう。
お客様にストレスをかけないよう、できる限り訪問してインタビューと撮影を同時に、短時間で行うことを心がけるべきだと思います。
記事の執筆と編集作業はライターに任せます。文章の長さやわかりやすさなど実際の文章の書き方については割愛しますが、PCとスマホの両方で視認性の良い記事を目指しましょう。
長い文章が延々と続くと、スマホでは読みづらいものです。写真や表を適宜挿入して、飽きずに読み終わる構成を考えるといいと思います。
公開に関しては当然、お客様にも公開前にドラフト状態で確認してもらいます。勝手に公開するのは絶対にNGです。必ず事前にチェックを受けて、OKが出てから公開します。
弊社が制作した事例は以下よりご覧いただけます。
SNS投稿は力の入れどころ
記事を公開したら忘れてはいけないのがSNS投稿です。そして、その投稿内容もすぐにお客様と共有します。
お客様は意外とそのSNS投稿を長期間ウォッチしてくれています。その投稿が伸びていたり、いいねが多いなどエンゲージメントが高いと喜んでくれるものです。
これは前回も書きましたが、さらっと「公開しました」と投稿するのではなく、なるべく多くの方に届くように見せ方を工夫してみてください。
特にXの投稿はコツがあるので気合を入れてやってみるといいと思います。こちらにノウハウをまとめてあるので参考にしてください。
ここまで3回にわたって導入事例の重要性、依頼方法、実際の作り方について解説してきました。
導入事例の制作についてお悩みの方はよかったらお気軽にご相談ください。
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