Xを“仕事に”使いたいなら、このフレームワークを使ってアカウントの方向性を決めよ
こんにちは。株式会社マイノリティの代表の柳澤です。
このnoteでは数回にわたって、「スタートアップや大企業の社員がビジネスにXを活用すること」をテーマにその重要性や具体的な方法について解説しています。
マガジンにまとめてありますので、よかったら過去記事からご覧ください。
前回は、なぜBtoBスタートアップがいま「X」を用いた営業・マーケティングを優先すべきなのか、その理由を書きました。今回は実際にXをはじめるにあたって、まず考えておく必要がある「アカウントの最適化」について解説したいと思います。
Xの方向性を決める4W1Hフレームワーク
Xをはじめると決めたら、当然、考えるべきは“あなたのアカウントの方向性”です。いまやたくさんの方がXを使っていて、ビジネス領域でもライバルが多いなか、どうやってXで目的を達成するかが肝心です。
が、そのためにはまずはそもそもどういう目的でXをやるのか?に立ち返る必要があります。
私がよく使っているのが、この「4W1Hフレームワーク」です。
実はこのフレームワークは、2年ほど前に田端さんに教えてもらいました。4W1Hの5つの項目を埋めることで、あなたはそもそもなぜXをやりたいのか、やる必要があるのか、誰に、何を届けたいのか、どうやって届けるのかを整理できます。
必ず、この5項目を最初に整理しましょう。ポイントは、フォロワーの人から見たときに、「なぜ多くのXアカウントの中からあなたをフォローする理由があるのか」という意義を考えることです。
ここがブレた状態でやっても、仕事用のXアカウントは作れません。最初にしっかりしたものをつくりましょう。
よくある失敗が、目的のところで「集客につなげたい」と「採用につなげたい」などの両方を書いてしまうケース。いろんな目的を達成したい気持ちはわかりますが、集客したい対象と採用したい対象は異なる場合がほとんどですよね。
例えば集客したい対象は大手企業の人事責任者だとして、採用したい対象は20代ぐらいの若手の営業マンだったりする。そうなると、全くターゲットが違ってきます。
アカウントがそれなりに伸びてきて、リーチが広がってきてからは両方追うという選択もあり得ますが、これから運用を始めるという段階で異なる2つのターゲットに対して両方リーチしようとすると、アカウントの特長がぼやけてしまいます。
どっちつかずのXアカウントになってしまい、発信の内容もブレた結果、誰の目にも留まらないという事態になりかねません。
(これは次回の記事で詳しく書きますが、目的が2つになるとアカウント名とそれに付随するキャッチコピーやプロフィール文言も作りづらくなります)
初期は必ず目的を絞ったほうがいいですし、届けたい対象もできるだけ1つのグループに絞ったほうがいいでしょう。
ニッチなカテゴリーから徐々に広げていく
もしあなたが自社商品を売り込むことが目的なら、ターゲットの業界や規模、部署や役職を絞り込むことをおすすめします。業界はできる限り絞りましょう。
ニッチなカテゴリーでしっかりと刺さる発信を続けていって、そこで多くのフォロワーを獲得してから横展開していったほうが伸ばしやすいのです。
いきなり広大なカテゴリーに出ていくとライバルが多すぎて、一定の手応えを得たり、PDCAを回すまでの時間が長くなります。このあたりの勘所はビジネスと一緒ですよね。
私の場合は、いまは当初に比べてフォロワー数も増えてきたので、ターゲットはかなり広めに取ってやっていますが、始めた初期はかなり狭めていました。
本格的にXを使い始めたときは1300フォロワーぐらい。その頃は「BtoBの SaaSを提供するスタートアップ経営者」ぐらいまで絞って、届ける相手を想定していました。
理由は、BtoB SaaSだけだと競合がすごく多かったからです。たとえば競合の方がBtoBマーケティングとか営業に課題がある方をターゲットにしていて、数万フォロワーいたりすると、同じ打ち出し方だと当然負けてしまいます。
そこで勝つ方法としては、BtoBマーケティングとか法人営業をやっているけれども、さらにSaaSのスタートアップ専門なんですよ、とアピールすることです。
すると、競合は総合病院的な見せ方になるのに対し、私は専門病院的なポジションを取ることができます。そこに絞ることによって、そのターゲットに関しては競合よりも第一想起されやすいのです。
最初は総合病院より専門病院。そのカテゴリーだったら5番目以内に想起されることを目指しましょう。
そこから2000人、3000人とフォロワーが増えていってから、ゆるやかにターゲットを広げていきました。6000フォロワーぐらいの時に、「SaaS」オンリーからスタートアップ全般にまで広げました。
その後さらに1万フォロワーぐらいまで増えた時は、「営業領域」全体にしました。いまは営業マンのXアカウントがとても多く、盛り上がっている分野です。
いまは「売れる仕組み作り」という抽象度の高いメッセージを掲げて、業界・規模問わず、事業のグロースに関心がある方々に届けるためにXアカウントを運用しています。私のビジネス領域だとこれくらいの目的・ターゲットがマックスかなという感じです。
フォロワー数が少ない時は専門性を高くして、増えてきたら広げていく。実際にビジネスの現場でもこうしたアプローチはありますね。特定の業界でシェアを取ってから、横展開していくのに似たイメージです。
フォロワー数の1%の「いいね」を目安に
ではどんなタイミングでターゲットを広げればいいのか。それは業界・業種によっても異なりますが、日々の投稿に対する反応からある程度は判断できます。
当然、最初の頃はXに投稿しても、「いいね」はあまりつかないと思います。それがある程度コンスタントにつくようになってきたり、あるいは多くリポストされたり、メンションがついてきたら、広げていってもいいでしょう。
具体的なイメージとしては、「フォロワー数に対して1%のいいね」がつくと、その投稿はニーズがあるという判断ができます。100フォロワーくらいだとこの数値は参考にならないのですが、3000とか5000フォロワーぐらいですと、フォロワー数に対して1%のいいねがKPIになってきます。
私の場合は、5000フォロワーくらいのときに、その1%である50いいねがKPIだったのですが、わりと好調で70〜80はコンスタントについていました。
意図的に絞っていたカテゴリーで認知が取れてきて、KPIを超えられていることがわかったので、「じゃあもう少しターゲットを広げても反応が落ちないかな」というところまでターゲットを広げました。
まずは1000フォロワー、10いいねが最初の目安です。そこから3000フォロワー、30いいねと段階を踏むごとに、自分の想定しているターゲットを広げてみてもいいでしょう。
ただし、ターゲットを広げても、ジャンルを変えるわけではありません。必ず最初に決めた目的の延長線上にターゲットはあるはずです。アカウントを運用をはじめる時に作成した「4W1Hフレームワーク」に立ち戻って考えるのが大事です。
仕事としてXを投稿するということ
当たり前のことですが、SNSは本来たのしいインターネットツールです。99.9%の方は趣味でつながった人と交流したり、ふと誰かに伝えたいことを投稿したりして、その行動そのものをとてもたのしんでいると思います。
でも私や、これを読んでる方は、きっと採用や営業活動にXを効果的に使えたらいいなと思っているはず。となると、やっぱり大事なのは目的を見失わないことです。
さきほどの4W1Hフレームワークに則って、有益な情報を発信していかないとフォロワーは伸びません。
なので基本的にプライベートの投稿をしてはいけません。芸能人や女性インフルエンサーの方だったら、どこで買い物をしたとか、どこでランチしたみたいな情報にも意味があるでしょうが、一般の人、特に男性のそういう情報ってニーズないですよね。おじさんの昼飯とか、まあそんなに興味持たれないです。
自分の目的を達成するために、仕事としてXをやりきる姿勢をまず持つようにしましょう。
私は企業向けにX活用のレクチャーを提供していますが、その受講者の方も最初はもちろん目的に沿った投稿を続けてくれますが、だいたいそ3ヶ月目とか4ヶ月目になると、当初に決めた方向性とずれた投稿が増えがちです。
「◯◯さん、そもそもどういう目的でやるんでしたっけ。どういう人に届けたいんですか?それだとこの投稿って目的と合っていますか?」と聞いてみると、「あ、確かにずれていますね」となります。
趣味系の投稿とか、日常のポエムとか、会食でこんなお酒を飲んでいるとか、よく投稿される方がいます。たまにはいいのですが、あまりにも高頻度で出てくるとちょっとよくないです。他の投稿と並べると、インプレッションが明らかに低いはずですから。
投稿していただくのは止めはしないですが、その労力・時間を使って、ちゃんと自分の目的に沿った内容の投稿をしたほうが、ビジネス的な成果には必ずつながります。
自分で項目を埋めた4W1Hフレームワークは壁に貼っておいたり、デスクトップに固定しておく。それくらい大事なものです。心の拠り所、迷ったら立ち返る場所として見えるところに置いておきましょう。
4W1Hフレームワークの記入例
ちなみに私の4W1Hフレームワークはこんな感じです。
これまでいろいろな方の相談に乗って、一緒にこのフレームワークをつくってきました。このシートを作ってアカウントのプロフィールまで作り込んで、投稿内容にまで反映させるのに、だいたい皆さん1ヶ月半ぐらいはかかります。
こちらから指摘して、修正してもらい、また一緒に考えたりとラリーを繰り返してようやく完成するので、やはりそれぐらい難しいものです。
このフレームワークがないと、どんなゴールに向かって、誰に対して何を届けているのかが、まったくわからない状態で進めることになります。
仕事のKPIを常に追いかけるのと同じように、このシートを常に確認しながら、いま自分が投稿している内容がちゃんと当てはまるのかをチェックしていくのが理想ですね。
次回は4W1Hフレームワークで定めた内容をもとに、実際にXアカウントのプロフィールをつくっていく話です。
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