現在、パレスチナのガザ地区Rimalに住んでいるアーティストDiya君こと、Diaa al-Din Madiの作品を購入した。
支払いは暗号通貨のUSDT。現地でキャッシュに替えてくれる人がいて無事に受け取ったようだ。作品は、いつか戦況が落ち着いたら取りに行くので、それまで預かってもらう約束だ。
10月7日、ハマスによる攻撃が始まった。
妻のおかげで、エジプトのJICAやNGO関係者、それも教育やアート系の方々とたくさんお会いできた。そこから広がり、オンラインでヨルダンとも繋がせてもらう。
話題は『アート×国際協力』だ。
そんな中、ヨルダンで活動するNPO『 国境なき子どもたち』の松永晴子さんから、ガザに住んでいる若きアーティストDiya君について教えてもらった。
ガザ地区Rimalに住む、パレスチナ人のまだ20歳の若者だ。(現在は南部へ避難中)
Diya君のFacebookにはメッセージがこう書かれている。
正直、このメッセージを読んで、何を思えば良いのか?何をすれば良いのか?
10月21日、そう思ったが『国際協力×アート』で何かできないかと思い、松永さんにお願いして彼とメッセンジャーを繋いでもらった。
正直いうと、事前に見せてもらっていた絵もあまり魅力的だと思わなかった。まだまだ荒削りな、正直、まだまだ画家見習い。
メッセンジャーで、お互い自己紹介をやり取りを始めた。。。。しかし、彼にとっては貴重なネット回線、携帯の充電。そして、大切な彼の時間。。。。
やり取りしていて、だんだん怖くなってきた。
一体、自分に何ができるんだろうか?
彼の絵を見て、私は何ができるのか?
彼と私が知り合って、何の意味があるんだろうか?
何もできないんじゃないのか?
やりとりしていて、返信が止まると怖くなる。。。。もしかしたら、あちらで何かあったんじゃないか。。。
そんなやりとりしていてると、こんな作品も見せらった。
赤い背景に、羽の生えたサボテン。
そして、傍には置いてかれたスーツケース。
作者のDiya君曰く、海外に不法移民して未来を切り開こうとする大勢のパレスチナの若者たちがれて死に、バッグはその場に置かれたままになっているようだ。
後を追う者たちが求めて死ぬのを待っている。
タイトルは『Trying to Achieve a dream』。
つまり『夢の実現に向けて』。
正直、魅力的だと思った。とっさに、買いたいとお願いする。
考えようによっちゃあ、ノリと勢い。
でも本当に、この作品が好きだったのだ。
作品購入の値段は、$1500。完全に彼の言い値。
最初は彼から「$500くらい??」とメッセージが来て、私が「あなたが自分で決めて。。。」を3回くらい繰り返して決まった。
そして、作品の保管代として+$500。保管料は、実際に私がガザに行った際に支払う予定だ。
それまでは燃やさず、守り抜け!
と約束した。
実はあまり高額で買い取ると、調子に乗ってしまい彼のためにならない、という意見もあった。確かに、理解できる。
とはいえ、本人がテンション上がる額で買い取って、元気出して生き延びなきゃ、意味ないじゃないかと思っている。
さて、そこからが大変だった。
買うといったはいいが、どうやってお金を払っていいのかわからない。
毎日、二人でチャット。
どうお金を振り込めばいいかを二人で調べる。Western Unionで行けるんじゃないかとの情報を得るが、銀行自体が動いていないらしい。
支援も封鎖されて、インフラも止まっているガザ。
お金に意味があるのかと不思議に思ってたら、逆らしい。Diya君曰く、お金がないと生き抜くことができないようだ。水や食料は手に入りにくいが、お金がなければ話にならない。そんな状況。
私も日中は仕事。すぐさま、返信できない時間も多い。ところが、Diya君からは毎日かなりの量の連絡が来る。
返信するだけで、いっぱいいっぱい。
しかし、彼の積極性とコミュニケーション能力は、アーティストとして大勢する能力につながるかもしれない。
何よりも、彼にとっては生死に関わることなのだ。
色々調べていくと、暗号通貨ティザーUSDTで送金すれば現地でキャッシュに交換する人(業者?)がいるという。
久々に暗号通貨のウォレットを開いたので、身分証明の提出や手続きが必要で時間がかかった。
彼とやりとりを始めて5日後。
無事、送金完了。
しかし彼が無事お金を受け取った夜、彼のいた場所が爆撃される。
死に損なったと連絡が来た。
ネットが遮断されていたらしく、送金してから丸一日以上経っていた。
しかし、彼は手に入れたお金で、周りの女性や子どもに水や食料を渡すことができたらしい。
まだ、ガザの状況は絶望的だ。
彼から、まだ連絡は来ている。
まだちゃんと生きているのだ。
どうしていけば良いのだろうか?
アートには力があると信じたい。
彼からもらったメッセージ「実際、私は芸術の可能性を通して人々を助けることになるとは想像していなかった。あなたを通して買った水をどれだけの人が飲んだと思いますか?この笑顔は一生忘れない。」という言葉に、ほんの小さな可能性を感じている。
とりあえず、いつかガザに作品を取りに行った際はアニメーションのワークショップをやることは約束した。
つづく