HAGAR Internationalインターネット安全啓発動画『SocialCompass活動レポート0006』
2017年、HAGAR Internationalという国際NGOと共に、子供向けインターネット使用の安全啓発用のアニメーションを作成した。
HAGAR Internationalは、スイスを本拠地に置く世界的な人道支援団体。アフガニスタンやベトナム、カンボジアで子供の人権問題に取り組んでいる。
スマホやタブレットなどが普及して、カンボジアでも子どもたちがインターネットに触れる機会も増えている。そこで、インターネットでは出会い系やポルノなど、子供たちにとって危険な側面があるインターネットを啓発するために映像を制作した。
このプロジェクトは、ソーシャルコンパスにとって初めての西欧系NGOとの仕事となった。キャラクターのデザインは香港の会社とデザインしたものだが、ストーリーやアニメーションはソーシャルコンパスが構成・制作した。
ストーリーはとあるカンボジアの典型的な農村部から始まる。
日本の方々からすると意外かもしれないが、カンボジアの農村部でもスマートフォンやタブレットは想像よりずっと普及している。
とある女の子がスマートフォンで遊んでいると、虹色の光に吸い込まれてしまう。不死後の国のアリスのような、異世界もののファンタジー要素のあるストーリーだ。
異世界に迷い込んだ女の子は、ふわふわと浮かぶ魅惑的な扉の前に行き着く。入り口はとてもカラフルで、魅力的。女の子はそんな扉を開いてしまう。
しかしそこには、ポルノであったり、詐欺まがいのスパムなど危険がたくさんあるのだ。
危ないページから抜け出すことで、どうにか間一髪で逃げ切る女の子。
すると、今度は知らない男の子からソーシャルメディアの申請とメッセージが届く。メッセージのやりとりは盛り上がり、仲良くなったような錯覚に陥っていく。
男の子に言われるがまま、女の子は自分の自撮り写真を送ろうとしてしまう。もうそれ自体が罠なのだ。
男の子だと思っていた相手の正体は、実は写真とは全く違うおじさんだったのだ。またも危険な目に合いそうになった女の子は、辛うじて逃げ出す。
面識がない少年のアカウントのフォローを解除すると、檻から抜け出すことができるのであった。
続いて女の子は、バレーボールで遊んでいるコミュニティを見つける。女の子は空気を読まず、荒らすかのようにコミュニティ内でかき回す。
このアニメーションはクメール語のナレーションと字幕を使いながらも、なるべく絵で理解できるような構成に心がけた。インターネットということもあるので、表現も横スクロールのアクションゲームやシミュレーションゲームのデザイン的要素も取り入れてみたりしている。
そんな悪気もないのに、場を荒らしてしまった女の子のログや写真が世界中に晒されてしまうことになってしまった。
世界中に晒された情報や写真は取り消すことが簡単ではない。
ネットいじめの被害に合ってしまって女の子は、知らず知らずのうちに取り返しのつかないことになってしまうのだ。
女の子が泣き出して、反省をしていると、再び虹色の光に巻き込まれて、両親が心配している元の世界に戻ってくることができた。
制作した2017年から4年近くが経って、この時期を描くためにHAGAR Internationalのサイトを久しぶりに見てみた。すると、未だにトップページにこのアニメーションを配置してくれていた。
カンボジアの子どもや若者もインターネットに触れる機会が以前にまして増えていることだろう。制作したアニメーションが、長くこういった現場で使われていることが、クリエーター冥利に尽きる。
本当に感謝と喜びでいっぱだ。
まさに、好きなことで、生きていく、そしてそれが誰かの役に立つ。
ソーシャルコンパスは、そんなコンセプトでこれからも活動していけたらと思う。
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