僕とNamiちゃん

このnoteでゲームの話をするのは初めてかもしれない。
今回は僕の趣味であるゲームの中でも、一番好きではないけれど、友人とあってくれた彼女の話をしたい。
また、このゲームについて詳しく知らない人でも理解しやすいよう細かい説明や表記に違和感を感じる人もいるかもしれないが、どうかご理解いただきたい。


ついにLeague of Legends(以下LoL)もシーズン9に入った。
先日無事にランクの振り分け戦(…いわゆる腕前をはかる指標となる試合)を終えた僕は組み分け帽子に祈るように「アイアンは嫌だ!!アイアンは嫌だ!!」と言いながら無事ブロンズ3に滑り込んだ。
(アイアンは今シーズンから導入された一番下のランクであり、僕は昨シーズンも、その前もアイアンの一つ上のブロンズだった。つまり今までの最底辺から何とか一歩免れたということだ。)

今回の振り分け戦は、去年目いっぱい練習したadcをプレイした。
(物理ダメージで敵をなぎ倒すジョブで、ガンマンや弓使いなどが多い。そのため身体が弱く、戦う際の位置取りが重要になってくるジョブである。)(因みにAttack Damage Carry…物理ダメージで試合を勝利へ運ぶ!の略なので、僕の場合ad「c」とコールすることはない。各方面からお叱りを受けそうだからだ。
そしてなんとか、腕前をはかる試合を8勝2敗で終えた。

そのため、私のメインのジョブをadcだと思っている人が多くいる。はたまた、mid(こちらは魔法ダメージを多く出すジョブ…であることが多い。詳しい説明は本筋と離れるので割愛する。)だと思っている人すらいるかもしれない。

シーズン6から本格的にLoLを始めた私が一番最初に選んだジョブは、サポート というジョブだった。
サポートは、その名の通り味方が最大限の活躍ができるように補助をするジョブだ。このジョブを選んだ理由はただ一つだった。周りがみんな僕よりもうまかったからである。

というのも、僕は元々人狼やクトゥルフ神話などのTRPG(テーブルトークのゲームと解釈していただければよいだろう)をプレイしていた友人約10人ほどとこのゲームを始めたのである。しかし、僕がLoLを始めたのはその中でも真ん中より少し後ろくらいの順番であり、皆ある程度上達した状態から全くの初心者が分け入る形になってしまったのだ。
LoLをプレイするサモナー(プレイヤー)はご存知だと思うが、基本的にLoLには大きく分かれた3つの道とその間に暗く陰る森、そこに合わせた5つのロール(ジョブ)がある。

それぞれ
・一番上の道を行く top(前線をはるファイターやナイトをイメージして頂きたい。)
・真ん中の道を行く mid(前述のとおり魔術師が多いが、真ん中の道は上の道にも下の道にも関与することができるために暗殺者のようなキャラクターもいる。)
・一番下の道を行く adc (botともいわれる。こちらも前述の通りだ。)
・森の中に潜む   jg    (森のモンスターを倒しながら強力な力などを得て、道に奇襲をしかけるロールだ。機動力があったり、モンスターを素早く倒せるキャラクターが多い。)
そして、比較的成長の遅いadcを補助しつつ共に行く、サポート(以下sup)だ。


基本的にjgというロールは、ある程度のレベルに到達しないと遊べないロールであり、そこはレベルの高い人がいく、という暗黙の了解が身内ではあった。そのためjgは僕の遊ぶことのないポジションだった。

そして僕がLoLをはじめたころ…恐らく「死の芸術家」ジン、や、「狼と子羊が共存する狩人」キンドレット、などが一番あたらしいチャンピオンだったころだろう。
その頃は日本独自のサーバーはなく、日本に住む人間の多くは北アメリカサーバーでプレイしていた。もちろんのこと、ものすごくカクカクする。

その中でも特に僕はポンコツだった。これはPCスペックの話でもあるし、プレイスキルの話でもある。
そのころ最初に選べた3キャラクターのうち、唯一女性だった「氷の射手」アッシュをプレイしたが、あまりの下手さに周りから若干引かれたレベルである(多分)
それでもアッシュを使おうとするので、「見て覚えたら?」という友人のアドバイスにのっかり、ゲーム内通貨で一番お手頃に買えるサポートチャンピオンである「星の守り手」ソラカを購入した。見た目もまあまあ可愛かった。(昔のことを掘り返すと切なくなるが…)
それでもやっぱりポンコツだった僕はアッシュをプレイする友達に半ば怒られるような形で指導を受けた。(今なら彼の気持ちがわかるが、少し早く始めたといえ自分に余裕がなかったのだろう、焦燥感から物言いがきつくなってしまっただけで、彼に悪意があったとは思っていない。)

そして、僕はLoLのプレイをすぐやめた。多分向いていないゲームだと思ったし、丁度仕事が決まり激務の中合間を見つけてなんとか遊んでいるのに友人を嫌な気持ちにさせたくなかったからだ。


そしてシーズン6が訪れた。
僕は激務で精神を病み、また妊娠もあり仕事を辞めていた。
ついにそのころ日本サーバーが試験的導入をされた。多くの日本人LoLプレイヤーはきっと快適なプレイができることを大いに喜んだことだろう。
そしてそのうわさを聞きつけ、私ももう一度LoLをプレイしてみることにした。
当時のサーバー移行で「日本人っぽい」チャンピオンとスキンがおまけについてくる(これは罠で、このチャンピオンはとてもテクニカルなものだった)というので、皆でずっとローディング画面で踊る「死突の暗殺者」カタリナ嬢をながめた。

日本に移行してからはやはりPCスペックの問題で多少カクつくものの、プレイ自体はとてもスムーズにできるようになった。
そして、僕は変わらずソラカをピックして、よくわからないまま後ろで回復だけして叱責を受けていた。

レベルが一定を超えると、「今週のフリーチャンピオン」というものが解禁される。
LoLのシステムでは、リアルマネーもしくはゲーム内通貨でキャラクターを購入するシステムなので、「お試し期間」が設けられるわけだ。
そして、ある週のフリーチャンピオンにいたのが、僕の友人となる、「潮の導き手」ナミであった。

理由はとても単純だった。彼女は「回復しながら攻撃ができる」のだった。
味方を回復するついでに相手にも攻撃ができる。位置取りに気を付ければたくさんの敵に攻撃できる。

彼女はいわゆる器用貧乏と言われるキャラクターだった。
けれど、彼女が僕を変えた。
たまたまのことだけれど、攻撃と回復を上手くでき、勝負を決めるシーンが訪れた。
全く知らない味方から、「ありがとう」といわれたのはこのときが初めてだった。

それから僕は彼女と一緒に戦い続けた。
「助かったよ、ありがとう」「よかったら次も一緒に遊ばない?」
彼女はそうして、僕の友人の輪を広げてくれた。
僕は当時切迫早産であり、できる限り動かないよう言われていた。そしてどこか腫れ物のように、大事に丁重に扱われていた。
そんななにもできない穀潰しの私に、ありがとうといって、普通に話をして、一緒に遊んでくれる友人を沢山作ってくれた。
彼女は間違いなく電子の世界から人と人を繋いでくれたのである。

僕の鬱やマタニティブルー、自殺未遂、ぐちゃぐちゃな生活。
この日々はいつも憂鬱で、でも僕にはそれを明るく照らしたり、慰めたり、行動のきっかけを与えてくれたり、死ぬなと止めてくれる友人がいる。彼女が与えてくれた素晴らしい友人がいる。例え電子的にしか繋がりがないとしても、彼らの行動はいつの日も私を慮ったものだった。


今、いつも使っているキャラクターを聞かれれば、アッシュと答えるだろう。確かにアッシュも何度も大事な試合を戦ってくれている盟友だ。けれど、彼女は別なのだ。

貴方がもしゲームをするのであれば、好きなキャラクターはいるだろうか?よく使うキャラクターは?………自分の人生を変えてくれたキャラクターはどうだろう。

僕が今ここに生きているという事実が、彼女のつないだ縁であること。
僕は友人と、彼女と、彼女の生みの親であるriot gamesに深い感謝の意を示したい。


その彼女は、今日もいつものようにサモナーズリフトで強気に笑って、僕を鼓舞し安心させる。
そしてめちゃくちゃな人生に嘆き、試合を前に不安な僕に。大胆不敵に、優しく、こう言うのだ。

「すべての流れは私が決める」「波に乗ってね!!」と。


精神病持ちの邦楽好きでゲーム好き。健忘有り。 文章を丁寧に書くよりもその場で思ったことを勢いで書いていきます。 主に音楽、ゲーム、日常(疾病)についてです。