【韓国就労】学院での日本語教師⑵
さて、2章では学院での授業に関することとわたくしが担当した授業内容、そして生活する上で大切な給与や福利厚生について書いて行こうと思います。「日本語学校」との違いなどの概要は1章にて簡単にまとめておりますので、そちらご覧ください。
学院A(仮称)のクラス設定
1章でも少し触れましたが、わたくしが学院Aで担当したのは「会話」のクラスでした。ここのクラスは全部で10ステップ設定になっていて(諸事情により実際に開講していたクラスは1〜8まででしたが)、1〜4は初級文法を韓国人の先生と韓国語で学びます。そして5〜8は「会話」のクラスとなっていて、ネイティブ(日本人)の先生と日本語で会話を練習するといった具合です。会話クラスも 5 : 初級 → 6 : 初中級 → 7 : 中級 → 8 : 上級と、レベルが一つずつ上がるようになっています。
日本語が全く初めての人は大体ステップ1から積み上げていきますが、日本語学習の経験があったり、独学して会話力には自信があったりする学生さんは、いきなりステップ5からスタートすることもあります。
わたくしはこのうち初級と初中級の二つのクラス(5と6)を担当しました。採用時の説明では、一応初級文法は全部終わったという段階です〜^^ と聞かされていたのですが…蓋を開けてみると、初級の文法が分からないばかりか、平仮名も読めない人もいたりしました。わたくしの中のキムタクがずっとチョ待てよ!を連呼していました。
あるようで無いクラス分け
まあ、それもそのはず。学院Aでは入学時にレベルチェックを行わないんです。入学希望の人にはデスク(受付)担当の人が簡単に説明と面談をして、受講クラスを決定(契約)する、という流れなので、レベルチェックが無いも同然というか無いというわけなんです。
たまに学生側から依頼があれば、日本人の先生がレベルチェックをすることもありますが、わたくしは9ヶ月間で1度しかありませんでした^o^
勿論、レベルチェックを経たクラスであっても、学生それぞれで力量は違いますから、クラス内にレベル差は生まれます。しかし、ここはそれ以前の問題で、学生が自己判断でクラスに入ってくるため、教師としては行う授業のレベルをどこに置くべきかが非常に悩ましかったです。年齢バラバラでもいいから、レベルくらい揃えろよ=(^.^)=
常勤だけど非常勤
では、そんな状態でどうやって授業をしたのか!と言いますと、学院側から指定の教科書を使って行いました。また上述の理由から、クラスのレベル設定に学生達の実力を基準とすることは不可能なので、教科書のレベルを基準に授業を組み立てることにしました。(個人的にこれはちょっと不本意でした。)
組み立てる…といっても、日本で常勤講師をした時のように、使う教科書を選別・追加したり、カリキュラムを作ったり、試験問題を作成したりということはありませんでした。教科書もカリキュラムも全て学院が指定し、教師は淡々とそれをこなすだけでした。
そうです、日本の日本語学校でいうところの非常勤講師とまるで同じような扱いなんです。
また、教科書の進め方が本当に独特だったんですが、その理由説明はありませんでした。どんな進め方かと言いますと、奇数月に奇数の課(1課、3課、5課…)を行い、偶数月に偶数の課(2課、4課、6課…)を行うというスタイルです。(意外と多いみたいです。このやり方。)なので、一冊の教科書を全て終えるためには2ヶ月通う必要があり、また月初めは自己紹介などの易しいテーマで、月末に近づくにつれてテーマの難易度が上がる…という短期間の謎サイクルがありました。
筆者の憶測に過ぎませんが、1ヶ月単位で受講生が動くから、という経営が絡む理由が大きいのではと睨んでいます。
会話授業の肝: 学生ができるだけ多く話す事
理解できないカリキュラムをもらい、日本語のレベル的に見て高校生から小学生までが一緒にいるような混沌とした空間で「日本語」という外国語を「話す」時間を作るのは、結構、本当に大変でした。でも学生さん達は目的がどうであれ日本語が話したくて/話す練習がしたくて来ているので、そのポイントを忘れないように気をつけながら、次のように90分間の授業を行いました。
オープニングトーク(10〜15分) →ウォーミングアップとして。近況や季節の話などのスモールトーク。
指定教科書の内容理解・文法練習(30〜45分) →教科書には少し長めの会話文と文法練習のページがあるので、そこを音読したり、テーマやキーワードに関して「あなたの場合はどう?」といった質問をしたりしました。
グループ・ペア練習(20〜30分) →学生同士で組んでもらい、お互いにプリントにある質問に関して回答し合ってもらいました。質問はたいてい5,6個用意してプリントにして配っていました。
+@ (10〜15分) →時間調整用に用意しておきました。個人で所有しているリスニング教材を使いました。
教科書の内容が多い課などでは、時間が押して後ろのグループ・ペア練習の時間が短くなったりするのですが、実はこの時間が一番大切だと考えていたので、できるだけ時間調整をしながら話す時間を確保することに努めていました。先生以外の話し相手がいることがグループレッスンの長所だと思います。
常勤だけど非常勤: 給与・福利厚生面も然り
実は「常勤だけど非常勤」状態、給与や福利厚生もそうだったんです。ナニソレ!じゃないですか。ほんま。
求人情報欄には「常勤」ってしっかり書いてあるんですけど、いざ契約書を見ると給与計算のところに「フリーランス」という文言があるんですね。でも契約は専属契約なんです。一言でいうと日雇い労働タイプに近いです。掛け持ちはNGですが休んだら給料がその分減ります。基本給とか全く関係ないです。休んだ月の給与明細を見ると基本給自体が下げられていました^o^ ちなみに基本給は韓国の最低賃金で、よく歌われる「出席率・再受講率による+@」はありません。
わたくし1月にコロナにかかったんですが、そのとき1週間休んで、給料もしっかり5万円減でした。しかもコロナ発症から3日目くらいに、院長から「明後日、代行の先生いないから、先生(筆者)来てくださいね」と言われ、そのときまだ38℃の熱があったわたくしはその瞬間に転職を決意しました٩( 'ω' )و 流石に呪ってやろうと思いました⭐︎
福利厚生に関してですが、学院Aの場合、契約時は4大保険加入できますと歌っていたんですが、実際のところは労災保険無しでした。社会保険はもらえたんですが、それも働き始めて2ヶ月後とか、後からもらえました。
このように、採用説明時に話していたことや求人情報欄に書いていたことと、契約書とで内容が異なる場合があるので、本当に注意して契約書を読んでください。また社会保険などに関することもきちんと処理されているのか、インターネット上で関連機関の情報を参照することができるので、正社員になったあと一度確認することをおすすめします。
まとめ
普通は非常勤講師から始めて、常勤講師になる、というルートが王道なんですが、わたくしの場合は逆ルートを行ってしまいました⭐︎
それでも続けられたのは、やっぱり学生さん達がいたからだと思います。3章はそのことについて書こうと思います。
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