第8話・おせちの危機!?国産かんぴょうを救え!

タカシは自宅のリビングで、「乾物24時」での体験をノートに書き留めていた。

あの時の人々の驚きや感動の表情を忘れられず、その瞬間が何度も頭をよぎる。
乾物は、人に感動を与える可能性を秘めていると思った。
乾物についてもっと知ってもらう方法を考えながら、タカシはふと「YouTubeを使えないかな」と思いついた。

普段、タカシが見ている動画はそのほとんどがゲーム実況ものだが、時々、「マイクラで料理作ってみた」系の動画が上がってくることがある。
バーチャルゲームの世界の延長で、実際に料理を作ってみる内容だが、けっこう面白くて、彼はそれが好きだった。
素材から新しいものが生み出される感じがきっとワクワクするのだろう。

もしかして、乾物も、乾燥してシワシワになっていく様子と、水に戻してふっくらし、おいしそうな料理になる様子を撮影したら、面白いのではないか?

「もし自分がその情報を発信できたら...」
タカシはインターネットで「子供が使えるSNS」と検索を始めた。
しかし、ほとんどが年齢制限に引っかかり、自分一人でアカウントを持つことにはリスクも伴うことを知った。

どうにかできないかな。
母さんはSNSなんて興味がなさそうだし。

発信方法を考えている時に、ひらめいた。
日本かんぶつ協会のトミヤマさんだ。
彼女の「乾物24時」での素晴らしい説明や情熱を見て、乾物を愛してやまない人だと感じていた。
彼女と一緒に、乾物の発信ができないだろうか?

先日、別れ際にもらった彼女の名刺を見て、連絡しようかどうしようかとタカシが迷っていると、切り干しレンジャーのヒーロータブレットから着信のメロディーが流れてきた。
切り干しレンジャーの後ろから覗き込むと、ビデオ通話の相手は昆布マスターだった。

かんぴょうがない!

「うえーーーんっ!もうだめだあ〜僕はもうおしまいだ」
人目を憚らず泣く昆布マスターには、いつもの硬派で渋い様子は一切ない。
素の自分に戻ってしまっているようだ。

「どうしたん昆布マスター、そんなに泣いてちゃ何があったかわからないよ。一旦落ち着いて、何があったか話してみて」
タカシがゆっくりと言うと、昆布マスターはしばらくグスグスしていたが、しゃくりあげながらも状況を説明した。

「おせち用に昆布巻きを作っているんだ。
僕の作る昆布巻きは絶品だって名が通ってるから、今年も絶品のを仕上げてやろうと思って、ずっと準備してたんだよ。
みがきニシンを戻して、最高級の昆布で巻いて。
さあ、甘い調味液で煮る前に、昆布がほどけてこないようにかんぴょうで巻こうと思ったらさ....
ないんだよ、かんぴょうが。
今まで仕入れていたかんぴょう農家さんが、歳をとったからやめちゃったんだって。」

ここまで話して昆布マスターは再び大声で泣き始めた。農家さんが農業を辞めてしまったのがとても悲しかったらしい。

「一緒に仕事してる会社の社長はさ、外国産のかんぴょうを使ってほしいっていうんだ。
それならたくさん用意できるし、安いから利益が出て、会社も助かるって。
けど、僕の昆布巻きは、しっかりと太くて分厚い、国産のかんぴょうじゃないとダメなんだよ。
外国のかんぴょうで作ってみたけど、あの味にはならないんだ。みんなが待ってる、僕の昆布巻きの味には。」

つぶらな昆布マスターの目から、ボロボロと大粒の涙が溢れる。

昆布マスターの慟哭は続く。
「きっと、常連さんたちはがっかりするだろうな。
昆布マスターの昆布巻き、味が変わっちゃったね、おいしくなくなっちゃったねって。
1年に1回の昆布巻きを楽しみに待っててくれるファンの皆さんを裏切ってしまう。
それは、硬派な昆布なら絶対にしない、しちゃいけないことだ。
今年は作らないで来年リベンジ、ってのも考えたけどさ、待ってくれてる人たちに申し訳なさすぎるよ。
ああ、僕はもう、どうしたらいいのかわからない。
もうこのまま消えてしまいたい!」

画面の向こうで大きな声で泣き叫んでいる昆布マスターに、僕はどうすることもできなかった。

ただただオロオロする僕の横で、切り干しレンジャーがポツリと呟いた。
「あいつに頼んでみるか...。」

「切り干しレンジャー、かんぴょうをくれそうな人に心当たりがあるの!?」
僕が興奮して聞くと、切り干しレンジャーは憂鬱そうな顔をして、こくりと頷く。

そんな姿を見た昆布マスターの喜びようと言ったら!
「ホント!?切り干しレンジャー!お願いだ、どうか僕を助けて!」
昆布マスターは画面に近づきすぎて、もはやこちらには黒い昆布の表面しか見えない。

切り干しレンジャーは喜びすぎる昆布マスターにちょっとたじろぎながらこう言った。
「昆布マスター、落ち着いて。一応当たってはみるけど、相手は僕のことをあまり好きじゃないんだ...。だから、うまくいくかわからないけど、なるべくたくさんかんぴょうをもらえるように、聞いてみる。明日まで待てるかい?」

「もちろんだよ!ありがとう!期待して待ってるから、よろしくね!」
昆布マスターの涙でぐしゃぐしゃになった顔が、満面の笑顔になった。

いつも自信満々な切り干しレンジャーが、できるかどうかわからないと言うなんて...一体どんな相手なんだろう?
険しい顔をして考え込む切り干しレンジャーを見て、僕まで不安になったのは言うまでもない。
僕たちは早速準備をして、かんぴょうの心当たりがあるという、栃木県に向かうことにした。

日本の99%のかんぴょう生産を担う栃木県

電車に乗って栃木県に向かう間、切り干しレンジャーは袋の中で静かにしている。
いつもなら、出かける時はワクワクして、袋の中でカサカサ騒がしいのに。
「切り干しレンジャー、今から会いに行く、かんぴょうの心当たりがある人って誰なの?」
タカシは聞いてみた。

切り干しレンジャーは少しの間を置いてから答えた。
その声にはいつもの元気がなく、どこかためらいが感じられた。

「今から会いに行く相手っていうのは、かんぴょうキューティーなんだ。彼女はかんぴょうの原料である夕顔の畑を守る存在なんだ。とても色白でかわいい子なんだけど、昔から彼女と僕はちょっと複雑でね。」

タカシはそれを聞いて驚いた。
「複雑って、どういうこと?」

切り干しレンジャーはため息をついた。
「僕たちは子どもの頃からの知り合いなんだ。幼馴染ってやつかな。」
「え、それじゃどうして...?」

「僕たち野菜を原料とした農産乾物は、スーパーでも、直売所でも、同じコーナーに並べられることが多いんだ。そして、多くの場合、切り干し大根の方が多く買われる。かんぴょうも切り干し大根も、栄養価的にはそんなに大きく違わないんだけど、切り干し大根の方がよりメジャー、って感じかな。それが悔しいらしくて、彼女はいつも僕のことをライバル視してくるんだよ。僕が何かをするたびに、彼女はそれを超えようとする。それがちょっとね...。」

あ〜、近い存在であるが故の、複雑な関係ってやつね。

「それで、彼女に助けを求めるのがためらわれるのかな?」
タカシはそっと尋ねた。

「そうなんだ。だって、お客様が何を買おうと、それはお客様の勝手で僕のせいじゃないもん。それにいちいち突っかかられたら、いくら温厚な僕でもイライラするよ。」
勝手にライバル視されたらそれは確かに嫌かも。

「でも、昆布マスターのためなら、僕もプライドを少しは置いておかないといけないよね。彼女もかんぴょうの未来を思っているだろうから、きっと協力してくれるはずだ。」
切り干しレンジャーは自分に言い聞かせるように言った。

タカシは切り干しレンジャーの決意を感じつつ、彼を励ました。
「そうだね、昆布マスターのためにも、かんぴょうキューティーのことを信じてみよう。」

そして、電車は小山駅に到着し、僕たちはかんぴょうキューティーがいるという下野市にバスで移動した。
かんぴょうキューティーが待つその場所は、昔ながらの風情を残す町で、のどかな風景が広がっていた。

切り干しレンジャーはヒーロータブレットを確認しながらとある一軒の農家さんの玄関をノックした。
「こんにちは〜、かんぴょうキューティーいますかあ?」
すると、奥からおばあさんが出てきて、切り干しレンジャーを見ると驚いた様子で言った。

「あらまあ、切り干し大根の妖精さんじゃないの。あなたは確か、宮崎県に家があるんでなかったかね?まあまあ、こんな遠くまでよくいらしたねえ。キューティーちゃんね、ちょっと待っててねえ」

切り干しレンジャーとタカシが農家の玄関で待っていると、しばらくしてかんぴょうキューティーが登場した。
彼女はその白い肌を覆うように、これまた真っ白なかんぴょうをぐるぐる身体中に巻いていた。
その姿はなんとも言えない神秘的な美しさで、周囲の空気を一変させるほどの存在感を持っていた。

かんぴょうキューティーは切り干しレンジャーを見ると、一瞬表情が曇ったが、すぐに明るい笑顔に切り替え、
「こんにちは!久しぶりね、切り干しレンジャー。こんな遠くまで来るなんて、よっぽど私に会いたかったのかしら?私は別に会いたくなんてなかったけど、とりあえず、こんなところまで来てくれてありがとう、と言っておくわね」
と挨拶した。

確かに、めっちゃきつそうな人だな。

「かんぴょうキューティー、久しぶり。突然おじゃましちゃってごめんね。あの、こちらはタカシくん。地球を救うっていう伝説の勇者だよ。」
切り干しレンジャーがオドオドしながら、僕のことを紹介した。

かんぴょうキューティーはタカシに目を向け、少し驚いたような表情を見せたが、すぐにニコッと笑って、手を差し伸べてきた。

笑うとめっちゃかわいい!!!

僕はちょっとだけドキドキしながら、かんぴょうキューティーと握手をした。
「タカシくん、はじめまして!伝説の勇者だなんて、すごいじゃない。こんなに若くして大きな役目を担っているなんて、本当に尊敬するわ。
そんな勇者様が、一体私にどんなご用かしら?」

僕は少し緊張しながらも、礼儀正しく応えた。
「かんぴょうキューティー、こんにちは。こちらこそ、会えて嬉しいです。今日はぜひともお力をお借りしたいことがあるんです。」

かんぴょうキューティーは「あら、何のお手伝いが必要なのかしら?」と尋ねた。

切り干しレンジャーは少し躊躇しながら、
「実は、昆布マスターが大変なことになっているんだ。おせちの昆布巻きを作るのに必要なかんぴょうが足りなくて、困っているんだよ。かんぴょうキューティー、どうか助けてもらえないかな?」
と切り出した。

かんぴょうキューティーの表情が一瞬真剣になった。

「昆布マスターが困っているなんて...。昔から、昆布と私たちは昆布巻きチームとして一緒にやってきたし、私も彼の作る昆布巻きは大好きだから、助けられたら、と思うわ。」

「それじゃあ...!」
「でも、残念ね。彼が満足するようなかんぴょうは、ここにはないの。」

え...。
驚いて目を見開く僕と切り干しレンジャーに、かんぴょうキューティーは、かんぴょう業界を取り巻く課題について話し始めた。

「ここ数年、原料である夕顔の生産が厳しい状況にあるの。かんぴょうは、真夏の暑い時に収穫して、すぐその日のうちにリボン状にカットして、干さなきゃいけない。最近の猛暑で、栽培自体が本当に大変なのよ。特に最近は農家の高齢化が進んでいて、後継者不足が深刻なの。この辺りでも、農家の数は数年前と比べて激減している。だから、昔のようにたくさんかんぴょうを確保することが難しくなっているの。」

タカシは、学校で習った農業の持続可能性についての話を思い出した。
10年後には、日本の農家は今の半分になると聞いた気がする。
乾物業界でも、生産者の減少はすでに始まっているようだ。

「それに、最近ではかんぴょう自体の消費も減っててね。昔は、かんぴょうはちらし寿司やかんぴょう巻きなどの巻き寿司によく使われてた。スーパーのお惣菜担当の人たちは今も買ってくれてるけど、昔よりもかんぴょうの値段が上がってるのもあって、そんなにたくさんは使えないんだって。それもあって、日本人のかんぴょうに対する親しみが減っちゃったんだろうね。」

切り干しレンジャーは黙って話を聞いていたが、思いついたように口を挟んだ。
「かんぴょう業界が大変だ、っていうのはわかったよ。でも、君の力があれば、かんぴょうの在庫をメーカーに問い合わせて、集めることはできるんじゃないの?」

かんぴょうキューティーはキッと切り干しレンジャーを睨み、きつい口調で話し始めた。
「ああ、そうよね、私がかんぴょうを探さないのは怠慢だ、って言いたいのよね。そりゃ、メーカーに問い合わせればかんぴょうの在庫は見つかるでしょうよ。
けど、国産のかんぴょうは、価格がとても高いのよ。きっと、昆布マスターだって、こんなに高くちゃ買えないよ、って言うに決まってる。
もう十分だわ、良いかんぴょうを求めている人なんて、この世にはもういないんだだから!」

かんぴょうキューティーが急に取り乱した様子にタカシは少し驚いたが、彼女の言葉の背後にある苛立ちと不安を理解しようとした。
彼は穏やかに話しを進めようと、間を取りながら言葉を選びつつ話しかけた。

「かんぴょうキューティー、昆布マスターは高い価格でも、おいしい昆布巻きのために、と国産かんぴょうを探していたよ。外国のじゃダメなんだ、って、すごく泣いてた。僕は、昆布マスターの友達として、彼の力になりたい。だから、あなたの力を貸してほしい。かんぴょうの在庫を、調べてもらえないかな?」

かんぴょうキューティーは目にうっすら涙をためて、タカシを見た。
「ああ、ごめんなさい、タカシくん。すっかりみっともない姿を見せちゃったわね...。今年は特に、夕顔が不作で収穫量自体がすごく少なくて、世の中に出回っているかんぴょうの量が少ないために値段があがっちゃってるの。それでもよければ、もちろんメーカーに聞いてみるけど」
「ぜひ!確認してみてほしいです!」

かんぴょうキューティーがあちこちに連絡をしてみると、メーカーストック分のかんぴょうの在庫があることがわかった。
メーカーの担当者は、昔から昆布マスターと面識があり、彼の昆布巻きの大ファンだ、ということで、なんと、特別価格で提供してくれることになった。

早速昆布マスターに連絡すると、彼は画面の向こうでまたボロボロと泣きながら、何度も何度もかんぴょうキューティーにお礼を言った。

1時間ほどして、メーカーから、発送手続きが完了したとかんぴょうキューティーに連絡が入ったので、タカシと切り干しレンジャーは安心して家に帰ることにした。
「かんぴょうキューティー、本当にありがとう。昆布マスターもきっと、これで今年のおせちには最高の昆布巻きを提供できるね。あなたのおかげだよ。」
タカシはホッとしながらお礼を言った。

かんぴょうキューティーは少し照れくさそうに笑いながら、
「いえいえ、私も昆布マスターの昆布巻きが大好きだから、お役に立ててよかったわ。みっともない姿を見せてしまって、本当にごめんなさい。」と言った。

切り干しレンジャーは、2人のやり取りを黙ってみていたが、意を決したようにかんぴょうキューティーに話しかけた。
「ねえ、来年も、同じようにかんぴょうの生産が減ってしまうんじゃないの?」

かんぴょうキューティーは切り干しレンジャーを見て、一瞬、言い返しそうになった。
いつもの癖で、つい、切り干しレンジャーには突っかかりたくなってしまう。
でも、彼女はいったん深呼吸をして続けた。

「ええ、その可能性はあるわね。農家さんはどんどん高齢になっていくし、気候はどんどん激しくなるでしょうから。時代の流れには逆らえないってことなのかなと思うわ。」

かんぴょうキューティーの横顔はとても寂しそうだった。

そんな幼馴染を見て、切り干しレンジャーはたまりかねて話し始めた。
「ねえ、かんぴょうキューティー。
確かに、今、乾物業界全体を取り巻く環境は、昔と比べると厳しさを増している。切り干し大根だって、実は同じなんだよ。
生産者が減っていて、価格が上がり、品質が良い国産の切り干し大根がなかなか選ばれなくなってきてる。」

「でも、あなたは...!」

「いったん最後まで聞いて、かんぴょうキューティー。
タカシくんはすごいんだよ、周りの大人やコミュニティに働きかけてくれるんだ。みんな、乾物のことなんて全然知らなかったのに、味や調理法を知ることで、たくさんの人が乾物を好きになってくれた。僕はタカシくんと一緒にいるこの数ヶ月で、そんな人たちの姿をたくさん見てきた。
だからね、時代のせいになんてしなくていいんだ。僕らには、きっと、まだできることがある。それは、知ってもらう活動だ。
僕らだけではできないことでも、タカシくんの力を借りればできるんだよ。」

切り干しレンジャーは、熱い眼差しでそう語っていた。
そんなことを思っていてくれてたんだ、と、タカシは嬉しくなった。

「かんぴょうキューティー、乾物の価値を一緒に広めようよ。フードロス対策にもなるし、エネルギー問題や環境問題にも貢献できるし、何より栄養価が高いっていう僕ら乾物の価値を、しっかり伝える方法を考えるんだ。伝わる方法を取り入れるんだ。
1人ではできないことも、みんなでならきっとできるよ。」

かんぴょうキューティーは切り干しレンジャーをじっと見つめ、一筋の涙をこぼした。
そして、切り干しレンジャーから視線を逸らして真っ赤な顔でもごもごつぶやいた。

「もう、あなたは昔からそうやって、肝心な時にはいつでも前向きで....普段はチャラチャラしているのに、ギャップにどきどきさせらるのよ、全く本当に、やめてほしいわ。ああ素敵すぎる...!すき!」

かんぴょうキューティー、ツンデレな心の声、もれちゃってますよ。

「ねえ、じゃあさ、来年の夏、かんぴょうを作るタイミングで、"かんぴょう狩り"イベントとか、やってみるのはどう?」
僕はそう提案してみた。そうでもしないとかんぴょうキューティーの心の声にこっちが照れちゃうからだ。

「おっ、それいいね!かんぴょうを作るのって、めっちゃ楽しいからね!」
切り干しレンジャーがいつものようにワクワクしすぎてソワソワしてきた。

「まあ、それは素敵ね!かんぴょうを知ってもらうには、うってつけの企画だわ!!」
かんぴょうキューティーもぱあっと笑顔になる。まるでそこだけ花が咲いたように華やかだ。

別れ際、かんぴょうキューティーは、タカシと切り干しレンジャーに感謝の言葉を伝え、一緒に新たな未来を切り開く決意を新たにした。

「本当にありがとう。あなたたちのおかげで、私も前向きになれたわ。私たちの取り組みが、少しでも多くの人に届き、かんぴょうと他の乾物が再び注目されることを願っているわ。」

小山駅から帰る電車の中で、タカシは改めて、発信の重要性について考えた。
人は、知らなければ、選べない。
切り干しレンジャーが言っていた乾物の魅力は、そっくりそのまま、トミヤマさんが話していた、未来へつながる活動となる。

「僕が生きる未来は、自分で守るんだ。やっぱり、SNSのことは相談してみよう。」

子供の目で見たこれからの世界を発信する。
その活動が、全世界を巻き込むムーブメントになろうとは、この時のタカシは想像もしていなかった。

【続く】

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