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慢性疼痛にどう向き合うか?「痛み」と「恐怖感」を分けて考える。


こんにちは。なかやです。

今回は僕が「手技療法」よりも大事にしている「認知行動療法」についてお話しします。

前回お話しした、「柔道整復師の僕が整形外科クリニックで8年間働いて感じたメリット・デメリット」でも書いてあるように、これからの柔道整復師に求められるスキルの1つとして「コミュニケーション能力」とお伝えしました。

今回深掘りしていきたいのが、「コミュニケーション能力」についてです。


一般的に言われる「社交性」「セールストークが上手い」などのイケイケなものではなく、「患者さんの気持ちを深く理解してあげられる能力」のことを指しています。


その能力を養う上で「認知行動療法」と言う視点はすごく大事だと思います。


僕の経験談を元に説明していきますね。

医師の所見と患者さんの症状が一致しないことが多い


整形外科クリニックではレントゲンや採血など様々な検査を受けられます。


患者さんは当然、「痛みの原因」を明らかにしたくて受診されます。


ですが困ったことにそれらの検査で「特に異常なし」と診断される方が少なくありません。


逆に明らかに膝関節の変形が進んでいて、レントゲン所見でも「重度の変形」と診断されているにもかかわらず、杖もつかず「そこまで痛くない」と涼しい顔をしている患者さんも多いです。


僕はこのことをすごく不思議に感じました。


「なんで所見と症状が一致せえへんのやろ」


そこでまず「痛み」がどこから来ているのかを勉強しようと思い、慢性疼痛のセミナーに参加しました。

松原先生の講義を受けて、衝撃を受けました。

「炎症がおさまっても脳が『痛い』と感じれば痛みを実際に感じる」

「慢性疼痛に悩んでいる患者さんは脳が『痛い』という信号を出し続けているケースが多い」


「こんなこと学校で習ってないよ!!」と吠えそうになりましたが、本当にこんなことが起きているのだとしたら大問題だと思いました。


急性期の痛みと慢性の痛みは種類が違う。

悲観的な人と楽観的な人では明らかに経過が違う。


臨床でなんとなく感じてはいましたが、科学的にそのことが解明されてきています。


みなさんは「パブロフの犬」と言う言葉を聞いたことがありますか?

I.P.パブロフの用語。口の中に食物を入れると唾液が出るのは生得的な反射であるが,たとえばイヌにベルの音を聞かせてから餌を提示する訓練を繰返すと,ベルの音を聞かせただけで唾液を出すようになる。このような場合この音刺激によって引起される唾液分泌反射を条件反射という。 *コトバンク 条件反射とは。より

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つまり、痛みを脳が『記憶』すれば痛みや不快感を『無条件』で感じやすくなってしまう。ということです。

例えば、

・雨の日は頭痛がする
・昔の怪我(古傷)が痛む
・交通事故の後から痛みを感じやすくなった
・嫌なことがあると腰が痛くなるetc…

このような悩みを抱えておられる患者さんはたくさんいます。

本人にとって衝撃的なことがきっかけであればあるほど痛みは脳に定着しやすくなります。

これは非常に恐ろしいことだと思いました。


もちろん全てにおいて「脳が悪い」と脳の責任にするのは時期尚早ですが、治療が長引けば長引くほど、患者さんの脳は「痛みを感じている状態が普通」になってしまいます。


例えば3ヶ月間痛みが続いている患者さんの「痛い」という感じ方はこのような状態かもしれません。

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つまり初めの1週間は「炎症期」のため炎症症状による「痛み」の割合がほとんどなのですが、2週3週と期間が経っていくごとに「痛みが続いていることに対する不安」の割合が多くなっています。

これはあくまでイメージですが、僕の感覚ではこういう経過をたどる患者さんが少なくありません。

戦略としては、

急性期の間に早めに痛みの感覚を落としていく。

このことが非常に大事になると思います。


炎症症状による「痛み」なのか、痛みが続いていることに対する「不安」なのか。

この振り分けを患者さんと協力しながら行います。

そこで認知行動療法の考え方が必要になります。



簡単な方法として、

・患者さんに日々の痛みを数値化して報告してもらう
・痛みどめ(薬や
注射)が、どのくらい(時間)効いていたか報告してもらう
・リハビリ(マッサージやストレッチ、運動)の後に痛みがどの程度変化しているか聞き取る。

という感じで、普段の問診や会話の中ですでに行っている方も多いかと思いますが、やり方は非常にシンプルです。


大切なのはその時の患者さんの表情や、確信を持って話しているかなどの『雰囲気』です。

この雰囲気を感じ取れるかどうかは、セラピストの患者さんに対する興味や関心の度合いによると思います。


「疾患」にとらわれず大局的に患者さんを冷静に観察する。


カルテの文字では表現できない患者さんが感じていいる違和感や葛藤をセラピストが感じ取れないと認知行動療法は成立しません。


知識として「痛み」のメカニズムが分かったとしても、それが炎症症状なのか精神的なものかを判断する材料の1つにしか過ぎません。


患者さんが自身の「痛み」と前向きに向き合い始めると、驚くほど治療が進み出します。


実際に、足を引きずって歩いていた患者さんが、痛みを記録し始めて1週間くらいした時、「普通に歩けるようになった!」と言ってスタスタ歩いて来院された時が1番びっくりしました。


段々とスピリチュアルな話っぽい展開になってきました。笑


でも「痛み」って数値化できないのでスピリチュアルな世界だと思います。


だからこそ、「怖い」ものになりやすい。


幽霊と同じで、見えないものって怖いんですよ。


その怖いものに対してセラピストが「治るとは言い切れませんが、頑張っていきましょう!」なんて言ってると余計に不安になる患者さんもいます。


「嘘でも良いから治るって言ってよ!!」と患者さんは思っているはずです。


でも嘘はついちゃいけないので、その「痛み」を一緒に分解してゴールを一緒に作りましょう。というのがこの話の本質です。


必要以上に怖がらせない工夫をセラピストができれば、リハビリ期間が患者さんにとって苦痛なものではなくなるのではないか。というのが僕の意見です。


このような目線と手技療法や投薬療法などの目線の両輪で治療にあたることで、より効果的で患者さんに合ったアプローチができるのではないかと考えています。


いかがでしたか?


もし認知行動療法に興味を持たれた方がいれば一度セミナーを受けてみられることをお勧めします。

僕でよければわかる範囲でお答えしますのでお気軽にご連絡ください(^ ^)

認知行動療法ってコーチングとのつながりが深いので、僕はリハビリ版コーチングって呼んでます。笑


最後までお読みいただきありがとうございました。

また柔道整復師の方の参考になりそうなことをちょこちょことアップしていきます。

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