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寝ても覚めても
「疲れているんですよ」
同業者に言われて気づく。私は知らず知らずのうちに疲れていたんだと。
そういえば激務だった。多方面からのプレッシャーに頭を酷使し、繁忙期という言葉で片づけて身体に鞭を打ち、潰れそうになる心を自衛のために自らころした。
そのうち、食事とか化粧とか休日とか、本来は生活を彩るはずの鮮やかなものが楽しめなくなってきていた。このごろは、すべてが消耗品になっていたと気づく。虚ろな目をして動くおじさんボックスに乗り、灰色の世界を行き来している。
私は何のためにこんなに必死になっていたんだろう。楽しみだった予定を擲ってまで、優しく可愛いと評判だった顔に辛苦と苦渋を浮かべてまで。身体を壊し、心を蝕んでまで。
さっき、出張先のホテルで、会社に戻ったら待っているであろうおよそ1人ではやりきれない量の仕事に発狂する夢で目が覚めた。心がざわざわする。あまりに目覚めが悪い。というか、ここ数週間ほど朝までぐっすりと眠れた日はない。
せめて、仕事と私生活を切り分けて、私生活モードの時は思い切り休むことができたらいいのに。真面目な私には難しい。今度こそ、このまま潰れるだろうか。この世に生まれてきてしまった、ただそれだけなのに。