メグル

ひとりでもて余してしまったもの

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祈り

毎日、不幸になれと祈っています。 私を悲しませた人など、地獄に堕ちてしまえと思っています。 この頃は、憤りと喪失感の波打ち際にいます。憤慨の波が足首をさらう度、私の心はくしゃくしゃになります。汚い言葉であなたを罵り、貶し、酷い目に遭って大いに苦しむことを祈ります。 憤慨の波が引けば、たちまち喪失感に襲われます。いまにも崩れ落ちてしまいそうな淋しさです。あなたを愛する心、この清い心を取り上げられたことの悲痛そのものなのです。 波にさらされている足首から、徐々に体温は奪われてい

    • 朝井リョウ『生殖記』②

      出張の最終日。 会食を終えて、路面電車に揺られると空しさに襲われた。車窓に映る疲れ切った顔。後から乗ってきた男の大きなため息の連続。大声で話す外国人。冷えた足がつらい。重い荷物のせいで肩が痛い。 今回の出張も悪くなかった。仕事はきちんとこなしたし、新しい情報も入手した。ハプニングにもそれなりに対応した。最終日だって最後の最後まで頑張ったのに、どうしてこんなに空しいのだろう。今日自分は何ができた?とか、この出張で何が残せた?とか。素晴らしい結果なんて、別に望まれていないのに。私

      • 朝井リョウ『生殖記』①

        出張の合間、時間潰しに立ち寄った縁のない土地の本屋で本作を見つけた。目があった時、『正欲』の衝撃が鮮明に蘇ってきた。一晩で一気に読んだあの日。手を止めてはならぬ、と思わずにはいられないのだ。 懐は淋しいが即購入。ヤニが染み付いたビジネスホテルで紙を捲る。最初の1頁で、「こんな人がいるなら自分は物書きになんてなれない」と苦笑した。 明日なんか来なければいいのにな。 読破したら、また綴りたい。

        • 出張の帰り道はしにたくなる

          出張の帰り道は死にたくなる。 65Lのスーツケースにぶつかってきた女性に舌打ちをした。 大量の荷物、へとへとの体、擦り切れそうな頭に、優しさの欠片も残っていないこの心。 車窓に写る疲れきった顔をみると、途轍もなく死にたくなる。 この疲れは、何のためだろう。 私は今日、何を成しただろう。 お土産を引っ提げて家に帰るお父さん、綺麗な格好をしたお姉さん、楽しそうに横並びで歩く恋人達、彼らとすれ違う時の惨めさといったら。 こんな時間まで干しっぱなしにされた様々なサイズの洗濯物や、

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          今おもうことなど

          愛探しに疲れた。 愛してほしい人はいつも私を愛してくれない。 何度も痛感して、のたうち回って苦しんで、心も身体も疲れてしまったみたい。 仕事はつらい。 遠回りしたけれど、一応、やりたかった仕事に就いた。 「転職してから、仕事で面白いと感じるのは全体の3%くらい」 というと、人はいつも失笑する。 「やりたかった仕事に就いたくせに贅沢を言わないでよ。」 「3%って。本当にやりたかった仕事なの?」 「○○に合う仕事なんか無いんじゃない。」 1年前の私からすれば、3%も面白

          今おもうことなど

          青色のワイシャツと啄み

          忘れないなんて言わないで。 ありがとうなんて言わないで。 出逢えてよかったなんて言わないで。 彼は綺麗だった。 正しさ故の無垢を携えた綺麗さだった。かつての自分のように見えた。 だから、その正しさが重なりあった層の隙間に、人間本来の汚く醜く、美しい肉慾を見つけることができた。 引き摺り降ろしたくなった、眩しい人が憎くてたまらなかった。 助けてあげたくなった、正しさの内に己を閉じ込めておくのは生きにくいでしょうと。憐憫に駆られたのだった。 存外、彼は簡単に彼の正しさを飛び越え

          青色のワイシャツと啄み

          夏の濁り

          途方もなく死にたくなる時がある。 いつもなら楽しくて、幸せで、満足できることをしても、どうにも収まらない死への渇望がある。 美味しいものが美味しくなくて 美しいものが陳腐に感じられて 好きな音楽にも気持ちが乗り切らなくて 誰かに頼る気力もない 言葉を紡ぐ頭のキャパシティもなくて 涙も出ない。 麻痺させて麻痺させて押し込める。 そういう日々を送ってきた。 そんな夏だった。 私はたくさん我慢して、たくさん諦めて、どうにか夏を乗り越えた。希望もなく、ただ生きてみた。

          死にたい夜に限ってひとりだし、 ひとりの夜に限って死にたくなる 臆病な時に限って淋しくなるし、 淋しい時に限って臆病になる 憂鬱な時に限って時間はあり余って、 時間があり余っている時に限って憂鬱 綺麗な時に限ってあなたはいないし、 あなたがいない時に限ってとっても綺麗なの 誰かを恨んだ時に限って自分の小ささを噛み締めるし、 自分の小ささを噛み締める時に限って誰かを恨む 優しくなれた時に限って傷つけられるし、 傷つけられた時に限って優しくなれる 今日を厭う時に限って

          画面を見つめて

          私はこんなに大事に想ってるのに こんなに毎日想い続けているのに 他の女に時間を使ってるんだあ は? という紛れもないやきもち。 やきもきする。心がくしゃくしゃする。 これからその女の子に会うのだから、 後10分でこのやきもちを鎮めなければいけない。 嫌だなあ。 私はこんなに心を削って 身体を捧げて想ってきたのに。 少しは特別かなって思っていたのに。 理想を捏ね繰り回して、醜悪に固めた妄想へどっぷりと浸かっている、 私の肥溜めみたいな頭 少しの余裕もない心 純白を

          画面を見つめて

          日記一沈没一

          私の全身が幸福を求めているのがわかる。 内側。胸の底、喉の奥の方から、張り裂けてしまいそうな感覚を抱えている。 込み上げてくる形の無いそれを、生唾とともにぐいと押しやると、どうにか己の原形を保つことができるような気がする。 何が幸福なのだろう。 親がいること。 学校に行けたこと。 朝食が食べられること。 仕事に就いていること。 帰る家があること。 五体満足であること。 今、生きていること。 並べてみたら、十分に幸福なはずなのだ。 きっと、贅沢言うなと、怒られてしまうくら

          日記一沈没一

          日記一自壊一

          ずるり、ずるり。 沼に嵌まっていく私を、遠くから見つめるもうひとりの私。 一人称と神の視点。ひとりの人間の中に、両人が混在している今。私は内側から引き裂かれてしまいそう。 好きだった人と、セックスフレンドになった。 彼女がいる人と、ご飯を食べて、手を繋いで歩いて、身体を重ねている。 彼女とレスだと、相手にされなくってさみしいと。項垂れる姿の不憫なこと。 酷く甘やかしてやりたいと、堪らない愛おしさに委せて抱き締めてしまった。 もう好きではないのに。甘やかしてやる義理も、私

          日記一自壊一

          日記一この頃一

          ひとりぼっちの淋しさがきりきりと胸を締め付けるのは、ひと時の幸福を味わってしまったから。 幸福の反動は大きい。つらい。 可愛い可愛いと、死ぬほど可愛がられたい。愛されることで自分の形を保っていたい。 萎びた帰り道、都会の夜景に今日も誰かがまだ生きていると安堵する。 肌と肌をぴったりと合わせたそのひと時、生きている限り続くこの淋しさは、たったの皮膚1枚の孤独に変わる。 愛おしさを言葉にして贈られた時、どうにかこうにか生き長らえてきた今日までの日々は間違っていなかった、と思って

          日記一この頃一

          日記一女について一

           女は果物だと思うのです。  食べ頃がある。食べ頃を過ぎるとぐじゅぐじゅに腐って捨てられる。女の食べ頃は果物と同じくらいに短く、格別のうまさであるということです。  思えば、女の美しさは若さと同義であるということは暗黙の了解でした。若さというのは外見のことです。心の若さがあっても体の若さがなければ、それはただ人一倍煩い醜女として周囲の目に映ります。女の若さは特権であり価値基準であり、唯一無二の武器となる。若さこそが正義なのです。  だから、正しい食べ頃に然るべき人に食べ

          日記一女について一

          日記ー温度差ー

          友人が家に泊まった、ある夏の日。 哲学的な話が好きだ。 ふたり、答えのない話を重ねる時間が好き。 話疲れて眠くなるなんていつぶりだっただろうか。 薄いカーペットの上で雑魚寝する。 床の固さを感じながら、私たちの今の身の丈にしっくり合っていると思った。 翌朝、目覚める。 眠気まなこで用を済まし、茶を飲む。 二度寝しようと部屋に戻ると、胸にじんわりと温かさが広がった。 自室に自分以外の人間が居る。 私とは別の人間が静かな寝息を立てながら、今たしかに同じ時間を生きている。 友

          日記ー温度差ー

          日記一懺悔一

          あなたとのセックスの内容が少しずつ薄れてきた頃。 久しぶりに話すと心地よくって楽しくって、どうしても隣にいたくなった。未練が残っていてごめんなんて言われたら、やっぱりわたしのモノにしたいと思ってしまった。枯れかけの恋心に再燃の火種を放り込まれると、すぐに燃え広がる。自分の決心の脆さに笑ってしまう。 記憶は毎日を積み重ねることで遠ざかる。けれども、その記憶にまつわるさまざまのこと(人、もの、歌、香り、景色、等)に触れると蘇り、たちまちわたしを「その時のわたし」に引き戻してしまう

          日記一懺悔一

          日記一ただ所感を一

          苦しい。苦しい。くるしい。ひとりで生きるのは、ひとりで死ぬよりずぅっとくるしい。 頭に残る思い出が愛おしくて、身体の痛みが消えるのが空しい。心は私を楽にはしてくれない。苦しみが耐えぬよう、絶え間無く独りの孤独を想起させる。 どうして生きようか。 ただ起き、働き、食べて、寝る。それだけの日々に何の意味が、価値が、生きる理由があろうか。ひとりで耐え抜くことの先に何が待っているのだろう。 誰かを想うということは、私の日常に指針をくれる。今日を越えていかんとする活力が生まれる。

          日記一ただ所感を一