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ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜(レビュー/読書感想文)

ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜(三上延)を読みました。

10年以上続く人気シリーズの第一作ですが、私は日常の謎ものがあまり得意でなく(これは私の好みの問題です)これまで読んでいませんでした。

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない、若くきれいな女性だ。だが、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。
だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。
これは栞子と奇妙な客人が織りなす、”古書と秘密”の物語である。

メディアワークス文庫「ビブリア古書堂の事件手帖」紹介ページより(上記リンク)

上記のとおり本作はいわゆる日常の謎ものであり、必然、それほどインパクトの大きな事件が起こるわけではありません。とはいえ、そこそこ物騒なエピソードも含まれるのですが…。
ただ、本作は、謎を解明する閃きとそこからのロジックのキレが抜群であり、紛うことなき本格ミステリです。

横道に逸れるようですが、年末のミステリーランキングのムックと言えば、
・このミステリーがすごい!(宝島社)
・本格ミステリ・ベスト10(原書房)
・週刊文春ミステリーベスト10(文藝春秋)
・ミステリが読みたい(早川書房)
などがありますが、
2017年までは、これに加えて、
・本格ミステリー・ワールド(南雲堂)
がありました。惜しまれながら2017で刊行は途絶えてしまっています。
それぞれ微妙にカラーが違っていてどれも注目なのですが、「ビブリア古書堂の事件手帖」第一作は本格ミステリー・ワールド2012において「黄金の本格ミステリー」の一作に選出されています。

日常の謎ものは本格寄りの賞レースではその作風自体がややハンデになることもあり得るのですが、それをモノともせずの選出だったわけで本作のクオリティの高さを証明する結果だったと思います。

私自身は、読んでいて何となく北村薫さんの切れ味鋭い初期作品を思い出しました。

最後に。本作は古書店を舞台にした本そのものが題材の連作ミステリーなわけですが、本好きのための、本好きをテーマにした小説はやはり良いですね。ほっこりします。

昨年の新刊では秋吉理香子さんの「月夜行路」も本好きへの深いメッセージが込められた連作短編集でした。軽くミステリー風味という意味でも「ビブリア古書堂〜」と同じです。こちらもオススメです。


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