
まほり(レビュー/読書感想文)
まほり(高田大介)を読みました。
高田大介さんは「図書館の魔女」でデビューしたメフィスト賞出身の作家さんです。
「図書館の魔女」は和製ファンタジーの傑作とし名高いですが、こちらは私は未読です。
さて、「まほり」です。
まほりとは?蛇の目紋に秘められた忌まわしき因習とは?前代未聞の野心作
大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村と出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織と出会い、ともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ! 謎が謎を呼ぶ。その解明の鍵は古文書に……?
ジャンル付けの難しい作品ですが、しいて言うと歴史(伝記)ミステリーでしょうか。
大ネタは、タイトルそのまま「まほり」という言葉の意味になるのですが、日本史の裏にある因襲を読み解くことで炙り出される真相は衝撃です。
ただ、ライトな作品と思って手を出すのは厳禁です。古文書を翻刻するシーンが多いのですが、ひとつの歴史ミステリー小説としては、本作は想像以上に謎解きのアプローチが本格的というかアカデミックなので読み進みていくのに相当な集中力を要します。
文庫上下巻あわせてページ数は500頁程度とそれほどでもないのですが、もし手に取る場合は倍くらいのボリュームのイメージで見るのが丁度良いと思います。
百鬼夜行シリーズ(by 京極夏彦さん。2023年にとうとう「鵺の碑」が出ましたね!)の作中蘊蓄のテイストが好きな人にもオススメします。