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シーミー(清明祭)の思い出、の話。

4月4日は二十四節気の清明で、沖縄ではシーミーと言いお墓に出向いて重箱料理などを食べたりします(主に4月中に行われます)。
今は父方のお墓が霊園の小さなものに移され、何となく窮屈になってしまったのですが、子供の頃はシーミーが楽しみでした。

大きなお墓と墓場

私の父方の家やお墓が元々あった場所は、現在米軍基地として接収されています。本格的な接収前、そこからご先祖様の厨子甕(大きな骨壺のようなものだと思って頂ければ)を運び出して新しいお墓まで運んだそうです。
今のお墓に移す時、かなり大きめの厨子甕が3つ出て来てびっくりしたのですが……。一番古いものは300年くらい前の中国の年号が書かれていました。

同じ地域の家々もそうしたらしく、親戚だったり昔から縁のあるお家だったりが集まった墓場が戦後作られたのです。
そこにお墓があった頃は、まず父方のお墓にお参りし、次は祖母の実家(同じ集落出身だったので)のお墓にも行きました。

時々他のお家の方と鉢合わせる方がありましたが、祖母達にとってはどこのお家も昔からの知り合い。話が弾みます。
私達子供は退屈になるとお墓の上に登ったり(危ないので絶対真似しないでください……でもヤマトゥでは出来ないですね)、墓場の奥に行ってサンニン(月桃)の花を探したりしていました。

そのお墓が階段で上らなければならない場所にあったため、父が霊園にお骨を移す事を決めました。
厨子甕は1つを地元の教育委員会に寄付したのですが、あと2つはどうなったかわかりません。親戚が欲しいと言ってたのは記憶にありますが。
中のお骨はごちゃ混ぜにして新しいお墓に入れてあります。霊園のお墓は小さくて、それがたくさん並んでいて窮屈で、綺麗ですし管理の手間も少なくはありますが私はあまり好きではありません。
ウヤファーフジ(ご先祖様)が守って来たものが、合理化によって失われた気がして物足りないのです。

清明祭と中華圏文化

シーミーの習慣は中国から伝わったものですが、そちらではもう行われていないのかな……と思っていました。
しかし、新型コロナウイルス騒動の関係で中国や台湾の清明祭対策を沖縄のニュースで知る事が出来て驚くと共に嬉しかったです。

中国ではやはりお墓参りをするらしいのですが、霊園へ訪れる人数を制限したり、予約制にしたりしているとの事。
一方、台湾ではバーチャルシーミー(?)が行われており、パソコンやスマホからサイトにアクセスしてお参りをする人々が多いそうです。

以前、中国文化を研究していらっしゃる方がTwitterで「清明の季節にはあの世とこの世の境が薄くなる」と言う事を呟いていました。
だからこそこの時期にお墓へ行って、ご先祖様と食事を楽しむんだろうと思います。

次へと繋ぐために

今年はシーミーに行けない方々も増えると思いますが、命あっての物種です。死に至るかも知れない感染症のリスクを負ってまでの訪問は、ご先祖様も望んでいないでしょう。

ご先祖様の願いは、お墓やイーフェー(先祖代々の位牌)を守ってくれる子孫が元気でいる事。そして、自分達が守って来た家を受け継ぎ、命を繋いで行く事なのですから。


※画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りいたしました。ありがとうございました。

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