5. LAのビーチと冷凍ピザ
さて、ついにシリコンバレーを出る時がきた。今回はちょっと変わった方法でロサンゼルスまでたどり着いた話をしよう。
今回ご紹介するスポットたち(左上の矢印がついたアイコンを押すとリストが見れます)
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ひとまず待機
中華系のエアビーホストに別れを告げ、僕たちは一度サンフランシスコに戻った。これが最後だと思えば、数日間乗り回していたカルトレインもどこか恋しく感じる。
ちょうど昼ごろに降り立ったベイエリアは、先週よりも肌寒い。シリコンバレーが別段トロピカルだったせいもあるけど、しっかりと気温が落ちていることがわかった。
大きなスーツケースと疲労を抱えていた僕たちは、あえて動かずに近くのカフェで時間をつぶすことにした。
MacBook AirとSurfaceをそれぞれ広げ、僕は当時書いていたブログを、親友はコンサル会社の志望動機を書き始める。
僕は文章を書くことが好きだ。昔から作文は嫌いではなかったが、高校留学中に英語でのライティングを学んだことは転機になった。
自分の主張をロジカルに整理し、すべての段落、文章、そして単語に意味を持たせる。おまけに英語特有の「言い回しの反復を嫌う」思想(たとえば代名詞の活用など)。これらはすのれぱ通信にも役立っている。
大学三年生の夏休み。今考えれば、当時の僕も親友と同じように就活を始めるべきだったのかも。でも、インターンに打ち込んだことに後悔はない。
Cabin
なんとか暇をやり過ごし、夜のふ頭を足早に歩く。正直かなり寒い。
乗り込んだのは、Cabinというイケてる夜行バスだった。「サンフランシスコ=ロサンゼルス間を120ドル」は決して安くないが、まるでカプセルホテルのような車内でぐっすり眠ることができるという。
ホームページもいい感じ。宿代+移動費と考えれば、お値打ちかつ効率的だ。
実際に乗ると、思ったより部屋は小さい。でも空間自体はきれいだし、若くて気さくな搭乗員も感じが良い。
なんだかんだ揺れがひどいので、手渡された睡眠導入薬てきなやつ(めちゃくちゃ怪しい)を一思いに飲み干すと、意識は遠のいていった。
楽園
車の走行音で目を覚ますと、到着の15分ほど前だった。本物のベッドには敵わないけど、一晩横になれたら十分だ。
バスは明け方のサンタモニカ・ビーチに停車。曇天のもと、予約していたエアビーを目指す。インド系とおぼしきホストとは前日から連絡を取り合っていた。
寝ぼけ気味に「A」のバスに乗ると、お金を入れるマシンの電源がついていない。どうやら今日は無料デーらしい。10分ほど坂道を登ると最寄り駅だ。
迎えてくれたホストは、朗らかながらも強さと知性を感じさせる。エアビーは会社の同僚と運営しているらしい。
なんと3階建ての一軒家まるごと貸し切りで、キッチンや洗濯機も使い放題。とにかく広い・きれいな空間だ。
寝室に入ると、おしゃれなインテリアに加えてアマゾンのホームスピーカー「アレクサ」まで置いてある。前日まで過ごしたシリコンバレーの部屋とはまるで違う環境。
「ら、楽園だ…!」ホストの3人が仕事に向かったあと、二人は子供のようにはしゃぎ回った。
このクオリティで、サンフランシスコの6人部屋より安いから驚き。
ベニスビーチと高級車
あいにくの天気だが、2日半しか滞在できないロスを冒険しない手はない。
この地を代表する観光地、ベニスビーチへ向かう。驚くほど広い砂浜の先に、海が広がっていた。
このためだけに水着を持ってきた二人だが、想像以上の肌寒さで水に入ることはなかった。
歩道脇に乗り捨てられていた電動スクーター「Bird」。当時まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していたシェアエコサービスだ。目を凝らせば後ろにも乗っている人たちが。
ベニスビーチは不完全燃焼に終わったが、僕らにはまだ行き先がある。
バスで30分ほどの距離にある高級住宅街Pacific Palisades(パシフィック・パリセーズ)。決して観光地ではないが、このエリアに祖父が住んでいるという友人のすすめだった。
まず目にとまったのは、アマゾンが運営する「Amazon Books」。バークレーでも衝撃を受けた彼らのオフライン店舗のひとつだ。
きわめてシンプルな内装にところ狭しと品物が並んでいる。商品タグにはアマゾンでのレビューが記載されていて、オンラインで買い物するときの感覚を味わうことができた。
中には本だけでなく、家電や日用品なども並んでいる。支払いは携帯のアプリから済ませられるよ!
行き交う人々は豊かさを誇示するわけでもない。背の高いビルが並んでいるわけでもない。しかし、この街には「余裕」が漂っていた。なんとなく、地元の恵比寿を思い出す。
クパチーノやスタンフォードとはまた違った町並み。
ピザは正義
さて、今日の夕食は何にしようか。
まだ節約志向が抜けない僕たちは、近所のスーパーに出向く。Smart & Finalという名前の小綺麗なチェーンは、1871年創業の老舗だったと後で知る。
自分たちで発明したわけではないのに、アメリカ人は本当にピザが好きだ。
冷凍食品コーナーには当たり前のように無数のピザが陳列されている。値段もかなり安い。
シリコンバレーとは違い、今回の家にはオーブンがある。その中で溶けたチーズとサクサクの生地を想像するだけで、なんとも幸せな気分に包まれた。
トッピング用のベーコンもカートに入れ、二人は意気揚々と家路につく。
広くて綺麗な部屋。アツアツのピザ。冷えたファンタオレンジ。僕たちは無敵だった。
これまでの冒険を振り返りながら頬張るピザは格別においしい。
わずか1週間あまりで、ハイテク企業のオフィスをめぐり、国立公園でハイキングし、世界最高峰の大学に潜入した。すべてが刺激的だった。
次回は大都会の大学と、セレブ街について。(続く)
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参考情報
この記事を書いた人
Neil(ニール)
ecbo (荷物預かりプラットフォーム) とプログリット (英語コーチング) でUI/UXデザイナーとしてインターン。現在はIT企業でデザイナー。 ハワイの高校。大学では法学を専攻。もともとはminiruとしてnoteを運営。
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