4. スタンフォードとグーグル
シリコンバレー2日目(旅行7日目)の朝は、まぶしいほどの日光で目がさめた。
前日かなりの距離を移動していたけど、さわやかな風が僕らの機嫌を直す。
今回ご紹介するスポットたち(左上の矢印がついたアイコンを押すとリストが見れます)
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アドビ
住宅地にある部屋から10分も歩くと、サンノゼのダウンタウンが見えてきた。
高架下の壁はアーティスティックにペイントされている。
この地にオフィスを構えるのは、世界中のクリエイターを支えるあの会社。
Adobe (アドビ) をご存知の方は多いだろう。PhotoshopやIllustratorなど、誰でも一度は聞いたことがあるプロダクトの数々と年間1200億円以上の収益を誇る。
敷地が広大すぎるので、「アドビポリス」と言われる自前の警備部隊が巡回しているという。
社員はみんなシャツを着ているし、ビルの形もそこまでユニークでない。オフィス内は見れなかったが、クリエイティブ業界の会社にしては思ったより「普通」な印象を受けた。
とはいえシリコンバレーを創世記から支える企業の風格は十二分に感じつつ、今日もBART(電車)に乗り込む。
スタンフォード
この日のメインアトラクションは決まっている。いまやハーバードを超える名声を誇るスタンフォード大学だ。
しかしスタンフォード駅に着いてすぐ目に入ったのは、ショッピングセンターだった。
敷地の明るい雰囲気や訪れる人の振る舞いは、まさに高級住宅地のそれ。前日のクパティーノより「セレブ感」がある。
ここには、日本では珍しいテスラの路面店があった。アメリカのショッピングモールには多くの店舗があり、車だけでなく帽子やジャケットなどのアパレルも扱うことが特徴。
親友にとっては初めてのテスラで、終始興奮していた。
朝から刺激を受けつつ、15分ほど歩くと大学のキャンパスが見えてくる。
広大な敷地の美しさは思わず写真を撮りたくなるほど。
しかしあまりにも広いので、ビジターセンターでアドバイスをもらうことにした。
学生とおぼしき受付員は、アジアから来た僕たちにも優しくキャンパスのまわりかたを教えてくれた。
レンガ造りの壁にはシリコンバレーの地図が貼られていた。あなたが知っている会社はどれくらいあるだろう?
すぐ後ろに見えるトラックフィールドの美しさに半分心を奪われながら、だいたいの位置関係を頭に入れる。
すすめられた通りキャンパスの中心部に向かうと、どんどん賑やかになってきた。
ちょうど新学期のスタート時期だったこともあり、ブックストアには教科書や日用品を買いに来た学生が列をなす。
個人的な印象だが、スタンフォードとバークレーの最大の差は「リア充感」だろう。まじめで少しオタク感が目立ったバークレーに対して、こちらは自信に満ち溢れた美男美女が多いように思えた。
ちゃっかりノートやペンなどグッズをゲットした僕らは、さらに歩みを進める。
地中海風のなんともおしゃれな建物は、ロースクールのキャンパス。厳しい勉学にも、これなら楽しく向き合える?
特に印象に残っている場所が、この廊下。キャンパス離れした雰囲気もさることながら、ひとつ遊び心が隠されている。ちょっと探してみてほしい。
答えはこの柱。10本以上ある中で、ひとつだけハートの浮き彫りが施されている。不思議なことに調べても詳細がわからなかったので、ご存知の方は教えてほしい。
シリコンバレーの中心部に位置するこの大学のコンピューターサイエンス学部は、真にワールドクラスと言っていいだろう。
Google創業者コンビのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンや、半導体メーカーNvidia(エヌビディア)CEOのジェン・スン・ファンを含む多くの優秀な技術者・経営者を世に送り出している。
そして忘れてはならないのがビジネススクール。ロビーには、ナイキという巨大帝国を築いたフィル・ナイトのスニーカーが展示されていた。
多くの友達がコラボスニーカーを必死にゲットしていることを考えると、この靴の持ち主が世界経済に多大な影響を及ぼしてきたことに説得力が増す。
実用的で安価スポーツシューズは、日本のアシックス製スニーカーを「せどり」して思いついたアイデアだという。
すっかり夕暮れ時になっていたことに気づき、今日は早めにエアビーへと引き返した。
チキンの神
荷物を置くと、昨夜と同じく近所のスーパーへと向かうことに。丸一日、ろくな食事をとっていなかった二人に悪魔がささやく。
「肉を食え。腹いっぱいに食欲を満たせ。」
しかし、カニのせいで金が、、、どうすれば…。そこにチキンの神が降臨した。
「私なら、7ドル(約800円)であなた方を満腹にしてあげましょう。」
…僕らは丸鶏のローストのお世話になることを決めた。
部屋に帰り、パックを開けると美味しい湯気が立ち込める。たった1日ぶりだが、まともな食事は人を幸せにする。
一緒に買ったガーリックブレッドと一緒に頬張ると、忘れかけていた肉の味が広がる。神様ありがとう…。
「安くて旨い」が当たり前の日本では得られない感覚だろう。
グーグル
さて、早くも次の朝がやってきた。旅行全体では8日目。後半の初日だ。
マウンテンビューという地名を聞いたことはあるだろうか。ん、マウンテンデューなら知ってる?
マウンテンビュー駅
実はこの場所には誰もが知るあの企業が本社をかまえている。
駅からの道中では、子会社「ウェイモ」が開発している自動運転車が実験中。
世界で最も影響力がある会社といっても過言ではないだろう、グーグル。
そのキャンパス=敷地の広さは、なんと19平方キロ。東京の多摩市より少し小さいくらいだ。
その中は自由と希望にあふれていた。
ビーチバレーのコート
犬をつれた出勤ももちろんOK。
子供に大人気?のアンドロイドパーク。
イノベーションの象徴アップルでさえ、こんな楽園のような設備は持ち合わせていなかった。しかも訪問者が自由に歩き回ることができる。
そして有名な自転車にも乗ってみた。
キャンパス内で乗り放題というお茶目なシステムだが、まれに不届き者が持ち帰ってeBay(フリマサイト)で売りさばいているというオチが面白い。
売店にはGoogle Earthを操ることができる巨大モニターが。
圧倒的なスケールと型破りな発想の数々にたじろぎながら、密度の濃い時間が過ぎていった。
再会
始動が遅めだったこともあり、時刻は午後の3時を過ぎていた。
糖分が欲しくなった僕たちは、サンマテオ駅にほど近いPhil'z Coffee(フィルズ・コーヒー)に足を踏み入れた。
ハイテク感あふれる客層と、きわめてアナログな内装。その妙なバランスに驚いていると、店員が笑顔で注文を聞いてくれた。
メニューを見ると、とりわけ異質なものを見つける。「モヒートコーヒー」の文字だ。どうやらこの店の名物らしい。モヒート好きとしては見逃すわけにはいかず、オーダーしてみた。
アイスコーヒーの上に、たっぷりのクリームとミントが乗っている。肝心の味は…う、うまい…!
苦さや甘さの先にある、ミントのさわやかなフレーバーが癖になる。
カフェ前のプラザ・デ・ソル(太陽の広場)にて
実をいうと、フィルズはシリコンバレーの代表的なカフェチェーン。
日本でも知名度が高いProduct Hunt(プロダクトハント)の創設者ライアン・フーバーもそのファンの一人で、彼らを主題にプロダクトづくりの極意について記事を書いているほど。
カフェ前の広場で日向ぼっこしていると、シリコンバレーの大学に通う高校の同級生が迎えに来てくれた。前日に連絡し、待ち合わせていた。この記事では「S」と呼ぼう。
高校時代は野球一筋だった彼は、真っ直ぐな気合はそのままに勉強に打ち込んでいる。アメリカの大学の勉強の忙しさは日本のそれとは比較にならない。
当時僕たちは東京の「名門」大学に通っていたが、Sのスケジュールに比べたらお遊びといって良いだろう。
さて、夕食は地元民に人気のある鍋屋に連れてきてもらった。このボリュームで20ドルを切るとは、本当にありがたい。
チゲ鍋は少し冷える夕暮れ時にぴったりな一品だった。
親友とは初対面ながら、色々な話が弾む。Sと僕が通ったハワイの高校のこと。日本とアメリカの大学について。そして将来の夢。
実に2年ぶりだった友人との再会がシリコンバレーになるとは驚きだったが、親友も紹介できた。とても楽しい時間になった。
帰りに寄った台湾発のパン屋で翌日の朝飯を仕入れる。決済はもちろんスマートデバイス。
気前の良いSは、僕たちをエアビーの部屋まで送り届けてくれた。
ほんとにアメリカの車は大きい
これが、世界屈指の大学や企業のすさまじいスケールと先進性に衝撃を受けつつ、旧友との再会まで果たすことができた有意義な二日間の顛末だ。
いよいよシリコンバレーに別れを告げ、南に向かうタイミングがやってきた。次回は大移動と新たな出会いについて。(続く)
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参考情報
この記事を書いた人
Neil(ニール)
ecbo (荷物預かりプラットフォーム) とプログリット (英語コーチング) でUI/UXデザイナーとしてインターン。現在はIT企業でデザイナー。 ハワイの高校。大学では法学を専攻。もともとはminiruとしてnoteを運営。
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