先生~、先生はなんで研究するんですか?
研究。
大学教員は、研究も仕事のうちです。
私は、まだ、大学教員歴があまり長くありません。
よって、研究歴もあまり長くないんです。
そのため、諸先輩方(私より年が若くても研究歴の長い方はいくらでもいらっしゃるので、こう呼ばせていただきます)からみれば、若輩者(年齢はそれなりに重ねてますが)なんですね。
そこで、若輩者のつぶやきだと思って、読んでくだされば有り難いです。
研究とは、人生である
今日、とあるTwitterが目に留まりました。
そこには「研究は生き方」と書かれておりました。
まさにそう、そうです。
人生を反映させているのです。
私の場合、人生反映させすぎ・・・かもしれません。
流死産の経験があり、助産師として看護経験もあったことから、
流産・死産経験者の方への看護の研究を行いました。
今、取り組んでいるジェンダー研究は、それこそ幼少期からの「女の子なんだから・・・」と言われてきたことの集大成です。
親のがんを知らさせたこどもと保護者の研究は、がん看護に携わっていたときの経験が反映されています。
育児と介護の重なるダブルケアに関する研究も、臨床(病院など)で出会った方々との向き合った経験から取り組み始めました。
看護職者の行う研究は、自分の経験がベースになっていることが多いのが特徴です。
看護職者として、患者さんと関わっていた経験から生まれた研究もあります。私のように、自分が看護を受ける立場で経験し、気づくこともあります。
そのため、看護職で院に進学する場合は、他の学問分野と違って、学部からストレートではなく、臨床経験を数年積んでからが多いと思います。
なぜ、研究しているのか
さて、今日の記事のタイトルですが、これは私が担当した研究法の授業で、学生に質問されたことなのです。
私は、3つあると、学生に話しました。
1.看護の質の向上
これは、私の研究でいいますと、「流死産を経験された女性とご家族への看護」に関する研究が該当すると思います。
また、「親のがんを知らされたこどもと保護者のための活動」についても、
支援活動と並行して研究も行っておりますので、
看護の質をより一層向上させるべく、日々精進しております。
2.新しい看護の創造
育児と介護の同時進行を、ダブルケアと呼んでおります。
このダブルケアに関する看護の研究は、日本において非常に数が少なく、
助産師が行っている研究は皆無です。
そこで、新しい看護の創造につながる研究をするべく、頑張っております・・・が、現実は、研究よりも支援活動の方に熱心な現状があります。
様々な当事者の方と出会う中での気づきも多いため、着々と進めておりますが、研究は世に出るまで非常に時間を要するため、支援活動を並行して行っていきたいと思います。
そして、看護の世界にダブルケアの認知を高めるためにも、色々と取り組んでおります。
こちらにつきましては、この秋以降、いくつか世の中にお披露目されますので、ご期待くだされば!
3.世界平和
せ、世界平和?!なんだそりゃ?と、思ったかもしれません。
私が取り組んでいる「男性の育児と介護」に関する研究は、
「ケアリング・マスキュリニティ」という考え方がベースになっております。
この「ケアリング・マスキュリニティ」を知るためには、ConnellやKittayの理論などを理解する必要があります。
R. W. Connellは、Masculinity(男性性)に関する書籍や論文をたくさん出されている研究者なので、ジェンダー関係に詳しい方はご存知かと思います。
ジェンダーは、政治にも関連しています。「ジェンダーと権力」というR. W. Connellの著書にも書かれておりますが、身近なところでは、家庭内分業の構造化、大きいレベルでは国家の確立に基づく権力の構造化、でしょうか。
いずれにしても「他者を支配」するということが関わってきます。
この、他者への支配を無くし、他者と平等な関係性を築くことが、ケアリング・マスキュリニティなのです。
そう簡単な理屈ではないのは重々理解しておりますが、ケアリング・マスキュリニティの考え方が普及すれば、他者への支配が無くなり、平和な世の中になるのかな・・・と願って、研究に取り組んでおります。
研究は地道に取り組むものであり、時間も非常に掛かります。
長い長い一歩ですが、粛々と取り組んで参ります。
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