ヒューマンエラー。
1つ目のヒューマンエラーのはなし。
うちの倉庫は最近まで超アナログだった。
ネット通販の出荷作業がメイン業務である。バリやインドやベトナムの雑貨を扱っている。
某密林などでは考えられないくらいアナログな倉庫だった。
東南アジアの雑貨とは作りも雑で…いや、おおらかでというべきか。商品にバーコードなんてついていないものが多い。
ピッキング時は品番と個数を人の目で確認するしかない。コロナ禍は注文が収まることはなく、毎日数百件のオーダーをはかせていた。
チェック体制を2重にしても、3重にしても、間違えは人の目をすり抜け、週に数回は出荷ミスが起こっていた。バーコード出荷が当たり前の昨今、このような間違えはあり得ないことである。
社長は私たちの部署を責めた。
原因を明らかにせよと命じられ、ミスした作業者は始末書を書かされた。
原因は人の目による数字と品番の読み間違え。以上である。
どうして起こったかと聞かれても
疲れていたか、目が悪かったか、8と6の見間違え?3と8の見間違え?2と3の見間違え?などなど。例えば100件の複数買いオーダーを一字一句間違えずに人の目で完璧にチェックするのは至難の業である。人間の集中力は8時間は続かない。
これに対しての会社の対策は「根性論」と「始末書」による恐怖政治だった。だが軽く2000アイテムを超える商品に「人の目」で防ぐ解決策は無かった。
これは根本的に間違っている。
そもそもミスしない仕組みを会社が作らなければならないのだ。
1年前。ようやく、会社が重い腰を上げ、某密林はじめ、各社が導入しているようなバーコードスキャナーと端末が用意された。
この作業に移行するにあたり、膨大な人力が割かれた。そして1年。
私たちのミスはあっけなくゼロになった。
だから言ったろ?根性論ではなく、仕組みの問題だと。
ふぅ…まだまだ発展途上の会社である。
だがしかし、伸び代しかないともいえる。
皆が精神を病む一歩前で書かされていた始末書が笑い話になる日は遠くない。全く大笑いだよ。
わたしはそんな会社で今日も働いている。
2つ目のヒューマンエラーのはなし。
昨日、母の介護施設から電話があった。
夜8時。なんだろう?イヤな知らせか?
ドキドキしながらスマホに出る。
ケアマネさんからだった。
服薬ミスがあったという。
母はパーキンソン病の薬を服用しているのだ。
15時の薬を2重に飲ませるミスがあったとの報告。
薬を飲ませる担当職員さんが薬を用意をしたところ、その場を離れなければならない事案が発生。その間にもう1人の職員さんが母に薬を飲ませた。そのすぐあとに最初の担当職員さんがもう1回飲ませてしまったという。
手順ミスだといえばそのとおりだ。
報連相ができていなかったし、最初の職員さんは薬を所定の場所に置いていなかったという。
でもわたしは前述の通り、ヒューマンエラーが頻発する会社にいるので、現場で起こり得るヒューマンエラーのあれこれが痛いほど分かる。慣れ、手順の省略、確認不足、思い込み、どれもこれもがミスに繋がる。
当事者はきっと十分に反省している。
現場は介護施設だ。重大インシデントとして施設で注意喚起があるだろう。
ケアマネさんは何回も申し訳ございませんを連発した。
わたしは担当職員さんを責める気は無い。
幸い、母の体調に異常はなく、大事には至らなかったのでホッとした。そんなにあやまらないでください。これからもよろしくお願いします。と怒ってないことをアピールした。
…だって、だって、