日本が集団的自衛権を発動する可能性はあるのか|クレムリンの狂人#6
集団的自衛権とは、同盟国が武力攻撃を受けた際、その攻撃を自国への攻撃とみなして、自衛つまり戦争に参加する権利のことをいいます。
日本では6年前から集団的自衛権の行使容認を含む安保法案が施行されているため、法律上、集団的自衛権の行使は認められています。
集団的自衛権を保持することで、日本が他国(同盟国)の戦争に巻き込まれるおそれがある。
そんな反対意見が安保法案成立時には渦巻いていました。
確かに集団的自衛権だけを見ると、この懸念は的を得ています。
ただ、日本には他国との交戦権を永久放棄する憲法9条2項があります。
憲法は国家権力に一定の縛りをかけるルールで、法律よりも上位に位置しているため、憲法9条2項が存続する限り、集団的自衛権の行使が実際に容認される可能性は極めて低いでしょう。
自民党や維新が「憲法に自衛隊を明記するべきだ」と主張するのには、集団的自衛権に実効性を持たせるためです。
憲法に自衛隊を明記することで、自衛隊が合憲であるという明確な法的根拠を持つことになります。
もちろんこの場合でも、日本の集団的自衛権は同盟国の後方支援(兵站)に限定されるもので、フルスペックではありません。
それでも、戦場に前方も後方もないので自衛隊に犠牲が生じても不思議ではない。
では、仮に憲法9条2項が削除され、集団的自衛権が発動できる状態でいまのウクライナ侵攻を迎えていたら、どうなるのか。
日本の同盟国であるアメリカが直接的な武力攻撃を受けた場合、発動することになります。
あるいは、ロシアが核兵器を使用し、NATO(北大西洋条約機構)軍が直接介入せざるを得なくなったときです。
このとき、ロシアはウクライナだけでなくNATO加盟国すべてと戦争状態に入るので、当然アメリカと戦火を交えることになります。
そこで、日本が同盟国アメリカが攻撃を受けているとみなして、集団的自衛権を発動させることになるでしょう。
いずれにせよ、この先交戦権を否定する条項が憲法から撤廃されれば、
他国どうしの戦争に日本の自衛隊が参加して血を流すことは可能になります。
このことを日本人としてどのように考えるかは人それぞれ。
一方、憲法9条の是非を議論する際、「日本が他国を侵略する可能性」と「日本が他国から侵略される可能性」をひとまとめにしている人が多いです。
結論から言うと、憲法9条は「日本が他国を侵略する可能性」を無にしているといえるが、「日本が他国から侵略される可能性」を無にしているとは限らない(分からない)のです。
日本を侵略するかどうかは、他国の意向次第だから。従って、アメリカの“核の傘”に守られているとも、憲法9条2項の国際的プレゼンスが高いことに守られているとも・・・。
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