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#10 和菓子が食べたくなるほのぼのミステリー『和菓子のアン』(著:坂木司)を読んだ感想
坂木司さんの『和菓子のアン』
僕がよく見ているYouTubeチャンネルの「ほんタメ」で紹介されていたのがきっかけでした。
和菓子に関する物語って読んだことがなかったので気になったんですよね。
あらすじ
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー。
感想
和菓子の落ち着いた味のような感じでほのぼのするお話
和菓子の魅力に気付き、思わず食べたくなる1冊
『和菓子のアン』は、東京百貨店の地下(デパ地下)にある和菓子店「みつ屋」が舞台。
食べるのが大好きな主人公、梅本杏子(アンちゃん)が「みつ屋」で働く姿が描かれています。
みつ屋で働く方々はかなり個性的!
賭け事大好き椿店長に、イケメンだけど心は乙女な立花さん、華奢だけど実は元ヤンの桜井さん。
アンちゃんがこのような個性的な登場人物と関わりながら成長していく様子は、とてもほのぼのとしました。
和菓子の知識やデパ地下にある食料品店の内情を知れて勉強にもなります。
特に和菓子に関しては、今まで知らなかった魅力に気付かされました。
「みつ屋」でも販売されている上生菓子は、季節によって様々な種類があり、1つ1つに意味が込められているのが本書を通じて分かります。
・ロマンチックな物語があるもの
・言葉遊びの要素があるもの
庶民的なおはぎも、色んな食べ方によって愛されてきたからこそ、今もこうして食べられることも分かります。
こういった背景を知ることで、洋菓子に比べたら地味に見える和菓子がすごく魅力的に感じました。
そして、和菓子にちなんだ謎解き要素もワクワクさせました。
・2種類の上生菓子を9個と1個という割合で注文した理由
・「腹切り」「半殺し」と物騒な言葉の意味
など
謎が分かると、アンちゃんと同じように和菓子の知識も増えます。
殺人事件は起こらないので、安心して?読めました。
殺人系のミステリーはどちらかと言えば苦手だ
一風変わったミステリーが読みたい
こういった方におすすめの1冊だと思いました。
そして、僕のように読書のお供が洋菓子から和菓子に変わるかもしれません🍡
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印象的なフレーズ
ずっとずっと昔から、時間は途切れなく続いている。その時間の別名を、歴史という。
だとすると、いつか私だって自動的に歴史の一部となる。本には残らない名もなき人生だとは思うけど、食べることでお菓子を次の世代へ残していけたらいい。
名もなきおはぎはきっと、私のような人に支えられて歴史の波を越えてきたのだから。