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#51『レモンと殺人鬼』(著:くわがきあゆ)を読んだ感想【『このミス』大賞シリーズ】
くわがきあゆさんの『レモンと殺人鬼』
第21回 『このミステリーがすごい!(このミス)』大賞・文庫グランプリ受賞作です。
ミステリー系を読むのは久しぶりです。書店に行った時に、最近Twitterでよく見かける本作が並んでいるのを見て手に取りました。表紙のデザインも何か引きつけるものがあります。
※ネタバレはしないように感想を書きました
このような方にオススメの本です
最近刊行されたミステリー作品が読みたい
『このミス』大賞シリーズが読みたい
どんでん返し系の作品が好き
あらすじ
第21回 『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作!
「どんでん返しが大好きな私にとって最高の作品でした!
最初から最後まで、物語にどんどんと引き込まれていき、そしてある一文で鳥肌が立ちました。
狂気に満ちた人間たちに翻弄されて、読み終わったあとは放心状態になります。
沢山伏線がはってあるので、何度も読み返したくなる作品です!」――齋藤なぎさ(女優・声優)
「二転三転四転五転の展開にねじ伏せられました」――瀧井朝世(ライター)
十年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、それぞれ別の親戚に引き取られ、不遇をかこつ日々を送っていた小林姉妹。
しかし、妹の妃奈が遺体で発見されたことから、運命の輪は再び回りだす。
被害者であるはずの妃奈に、生前保険金殺人を行なっていたのではないかという疑惑がかけられるなか、
妹の潔白を信じる姉の美桜は、その疑いを晴らすべく行動を開始する。
感想
目まぐるしく変わる展開に緊迫感があった
登場人物全員が疑わしい?
人を信じるのは難しいと思った
主人公の小林美桜は不遇な日々を送ってきました。十年前に父親が殺されてしまい、母は失踪。美桜はあるコンプレックスを抱えていたため、同級生から嘲笑されることも。ついには妹の妃奈までも殺されますが、その妃奈に保険金殺人の疑惑がかけられ、世間からは加害者のように扱われてしまいます。妹の潔白を信じている美桜は真相を突き止めるために動き出しますが……。
目まぐるしく変わる展開で緊迫感があり、少しも気が抜けなかったです。帯文に書いてある通り、まさに二転三転ならぬ四転五転の展開でした。
妹の妃奈は潔白だったのか?
妃奈を殺害した犯人は?
美桜のコンプレックスの真相は?
など。
こういった様々な謎に、場面ごとに出てくる怪しい人物。そしてある違和感。それが積み重なって、登場人物全員が疑わしくなりました。
ラストは痛快さがあり、前向きになれる感じの印象。また、1番最初に印象的なフレーズと思った部分が、読了後にさらに響きました。
自分の視点からは限られたものしか見れない。人を信じるのは難しいと思いました。その人の本当の顔は誰にも分からない。本当の真実は当事者たちにしか分からない。だから、自分の視点から見ただけで何かを決めつけることがいかに浅はかであるか。子供たちの無邪気さが描かれている場面もあって、それを痛切に感じました。
若干のグロさがありますが、それを上回る面白さがあります。
本作を読んで、くわがきあゆさんの他の作品も気になりました。
また、本作の解説は瀧井朝世さん。瀧井さんの解説は的確にまとめられていると感じていて好きなんですよね。
(瀧井さんは、第21回『このミス』大賞の最終選考委員を務めています)
印象的なフレーズ
私は何ひとつわかっていなかった。
人には立場があり、それによって様相は変わること。そして、立場に持続性はなく、容易に反転する可能性もあるということを。
身に降りかかった災難に合理的な説明はつけられない。だが、乱れた心を不思議と納得させられる表現がある。
そういう星の下に生まれたのだ。
宇宙に散らばる星は、自ら明るく輝く星と、その影を受けて暗く沈む星とに二分される。いわば、虐げる側と虐げられる側とに。