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#84【ネタバレなし】『ラットマン』(著:道尾秀介)を読んだ感想【読書日記】
道尾秀介さんの『ラットマン』
道尾さんの初期の青春三部作の完結編ともいえる作品です。
※道尾さんの初期の青春三部作とは、『シャドウ』『ソロモンの犬』『ラットマン』のことを指す。それぞれで物語がリンクしているわけではない。
読んだきっかけ
道尾さんの初期の青春三部作のうち、『シャドウ』と『ソロモンの犬』は読了済みでした。『ソロモンの犬』の解説で、本作が初期の青春三部作の完結編であることを知ったのがきっかけで気になり、手に取った1冊です。
このような方にオススメの本です
予想できない展開の作品が読みたい
思わず読み返したくなる作品が読みたい
心理学に興味がある
あらすじ
結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とは――。いまもっとも旬な作家・道尾秀介が思いを込めた「傑作」、ついに文庫化。
感想
予想をはるかに超える四転五転の展開
自分の見ているものが正しいかどうかなんて、本当は分からない
タイトルから終盤にどんでん返しが待っているとは思いましたが、予想をはるかに超える展開が待っていました。
事件の真相が明らかに……
と思いきや、数々の伏線が繋がり、四転五転の展開に。その巧妙さには感嘆のため息が漏れるほどでした。
真相が分かった時は、思わず序盤のページを読み返したくなるでしょう。
ただ、結末には哀しさや切なさを感じました。
自分の見ているものが正しいかどうかなんて、本当は分からない。誰しもがラットマンからは逃れられない。
思い込みによって何かを決めつけていないだろうかと、自分自身に問いかけられているような気がしました。
道尾さんの作品には、どれも巧妙なトリックが仕掛けられているけど、読了感はそれぞれで違う。
僕が道尾さんの作品が好きな理由の1つで、これからも色んな作品を読みたいですね。
印象的なフレーズ
「『見る』とか『聞く』とかいう行為はさ、文脈効果によってかなりの影響を受けるんだ。文脈効果ってのは、人間が何かを知覚する過程で、前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまう現象を言う」
――真似は個性を身につけるための手段なんだから――
――個性ってのはさ、何かを一生懸命に真似しないと、手に入れることなんて絶対にできないんだよ。はじめから独自のものを目指そうったって、そんなの上手くいくはずがない。音楽だって、絵だって、人生だってそうさ――
――一生懸命に真似をすれば、その人の本当にやりたかったことがわかる――