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#80『R.P.G.』(著:宮部みゆき)を読んだ感想【読書日記】
宮部みゆきさんの『R.P.G.』
2001年に刊行された宮部さんにとって初の文庫書き下ろし作品で、テレビドラマ化もされました。
「ナツイチ2023」の対象文庫にも入っており、本作は人気イラストレーターNoritake氏による「ナツイチ2023年限定カバー」となっています。
読んだきっかけ
「ナツイチ2023」の対象文庫で気になった1冊です。宮部みゆきさんの作品は、本作が初めてでした。
このような方にオススメの本です
あっと驚く展開の小説を読みたい
インターネットと人間関係について考えさせられる小説を読みたい
『模倣犯』または『クロスファイア』を読んだことがある
あらすじ
住宅地で起きた殺人事件。殺された男性はインターネットの掲示板上で「疑似家族」を作っていた。殺人に関わりが? 虚実が交錯し、見えてきたものは…文庫書下ろしミステリー!
感想
何が本当で何が嘘かが分からず読み進めるとラストに驚きが待っていた
インターネットが当たり前になった今でも考えさせられる
取調室でのそれぞれの証言。場面ごとに出てくる疑似家族が送っていたメール。何が本当で何が嘘かが分からず、先が気になる展開でした。
そして、ラストに驚きが待っていました。なるほど、なかなかない展開だったかも。読了後は、タイトルの意味が何倍も深く感じられます。
オンラインの空間と現実との付き合い方、家族の絆。インターネットが当たり前になった今でも考えさせられました。今でこそよくある物語設定のように見えますが、刊行されたのが2001年ということを考えると、本作の凄さがより増した感じがしました。
オンライン上の関係にも温かみはあるとは思います。でも、現実をないがしろにしてはいいわけではない。そのバランスをコントロールする必要があるのは、今でも変わらないですね。
印象的なフレーズ
「自分の考えてることを言って、それにいろいろ言ってもらえるって、すごく楽しいって初めてわかったの。"アラそう、勝手にやれば"っていうんじゃなくて、あたしが一生懸命考えたことを、一生懸命受け止めて返してくれる人がいるって、嬉しくって」
「サイバースペースで育まれる人間関係には、現実社会のそれと同じくらいの価値もあれば、温かみもあるんです。デタラメや嘘ばかりが横行しているわけじゃありません。顔を合わせないからこそ、自分の姿や立場にとらわれないからこそ打ち明けあうことのできる本音もあれば、そこで育つ親愛の情だってあるんです」