僕が絶賛して止まない地域情報誌。
長浜『みーな』の最新号が届いた。
滋賀県長浜市の地域情報誌なのですが、見てくださいよ、この、重箱の隅を突くような細かい特集構成。どこかの博物館の図録でも見ているようです。僕は最近、滋賀県〜岐阜県、滋賀県〜福井県の県境あたりに強い興味を持っているので、これは願ってもない特集。全66ページ。
このところ、特集は『石田三成』『浅井家の三姉妹』と続いたので、歴史好きの雑誌なのかと言えばそんなことはなくて、昨年は琵琶湖の漁業や漁師の暮らし、伊吹山の自然、あるいは長浜市内の老舗巡りのような特集も組んでいる。しかもその都度、その道の専門家が寄稿しているあたり、そんじょそこらの地域情報誌とは一線を画しています。アカデミックなのです。こういうタイプの原稿って、僕には書けないんだよなぁ。これを、たった二人の女性スタッフで作っているというんだから驚きです。
ところでこれほどマニアックな雑誌、いったい何のために作っているんだろう?(←失礼。もちろん悪い意味ではありません)。普通、観光客向けであれば、ここまで細かい特集は組まないと思う。だって、初めて湖北に来た人が、わざわざ最初に名敦道路を見に行かないでしょう。やはり最初は黒壁スクエアや長浜城。少し上級者でも木之本界隈や小谷城、あるいは余呉湖あたりの情報にとどまるはず。
となると、この雑誌は地元の人向けなのかもしれない。北近江には気持ちいいくらい地元愛の強い人が多い、という印象があるけれど、その勢いのまんま、地元の面白さを掘り下げているうちにこうなって行った、という具合。おかげで、最近になって琵琶湖に目覚めた僕にとって、貴重な観光情報になるというわけです。
こういう雑誌って、大手の出版社でも簡単には真似できないし、できたとしても、編集者や取り巻く人たちの熱が無い限り、長くは続かないと思われます。
ついでに言えば、この、あまりカッコつけない、地元自治体の広報誌のような雰囲気にも好感が持てます。今どきの地域情報誌って、どこもデザインが横並びで、ホワイトスペース多めのレイアウトとレトロな書体、巻頭には古民家カフェ… のようなものばかり。かなり食傷気味です。せっかくの地域情報誌なのに、街の特徴が見えてこない。
その点で、程よくコントロールされながらも、たまに暴走する地元愛。賛成です。今年の桜は、琵琶湖の周りで眺めてしまいそうだな。
最初の写真はイメージです。この雑誌が作られている、黒壁スクエア界隈。
〆に、たまに禁断症状が現れる、長浜名物の『鯖そうめん』を貼っておこう。