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ゲーム系の求人募集見ても、どんな仕事か全くわかんない……【後編】

 ゲーム業界における、プランナー系職業の業務内容をザックリ、かつバッサリ語るnoteの後編。

語る内容はこんな感じ。
■デバッガー/テスター/QAスタッフ (前編)
■スクリプター (前編) 
■シナリオライター
■レベルデザイナー
■PM/進行管理
■その他

 前編未読でそっちが気になる方は、こちら。


 それでは、残りを書いていくぞー。


■シナリオライター

 これは多分真面目に書くと、それだけでnoteの記事が一つ出来上がる。
 なのでザックリ行こう。
 
 シナリオライターは読んで字のごとくシナリオを書く仕事ではあるんだけれども、ゲーム開発においては、脚本を書くのとはまた違う部分があったりする。

 まず世界観が既に決まってるパターンが往々にしてある。
 これは企画段階でイメージボード作る必要があるとか、プロデューサーの販促戦略上の必要性に迫られてとかが大きい。
 なんなら、主人公や登場人物のキャラクター性も先に決められていることだって多いぞ。

 この時点で「自分が好きなようにシナリオを書けるというわけではない」のは、なんとなく分かって貰えると思う。
 ソシャゲのシナリオになると「新商品のキャラクターが活躍する構成を組まないといけない」とか、むしろプロット段階ですら制約があると思ったほうがいい。

 さらにビジュアルノベルやそれに近いADV等、ユーザーがシナリオ体験を主においていない場合のゲームシナリオにおいては、以下の点に注意してライティングする必要がある。

 ★地の文が無く、セリフだけで表現しないといけないことが多いが、やり過ぎると雰囲気ぶち壊しの説明的なセリフのオンパレードになる。

 ★キャラクターの感情表現はビジュアル依存。なので例えば予算の都合で特定の感情表情ができないキャラもいる。ライティング前に開発側と要確認。

 ★ウインドウ単位の文字制限がある。改ウインドウをまたいで、一つの文節が続くと非常に読みづらいので、気を付けないといけない。

 ★そもそも改ウインドウの度にボタンを押すことになるので、長文はそれ自体がストレス要因になりうる。

 とまあ、これくらい気を付ける部分が違う。

 逆に地の文をつかった表現力や描写のセンスなんかの、ダイレクトに筆力が要求される部分は少な目なので、構成力のほうが大事なんじゃないかと個人的には思っているくらいだ。

 ほかにも、アイテムや武器の説明文、町民などのモブのセリフなど。世界観を含めて考えないといけないテキストというのは、シナリオ本編以外にも多数ある。こういう部分も依頼されるケースがあるぞ。
 短い文章の中で、世界観を出しつつ、ゲーム的に必要な情報も盛り込むという意味では、普通のシナリオとは違った意味でテクニカルな仕事でもある。
 あとは、地の文で表現するところをスクリプトで映像的にやらないとなので、スクリプターを兼任させられたりね……!

 ここまで書いたけど、シナリオライター専任で外部に新規募集するケースはかなり稀だから、あまり気にする必要はないかもしれない。

 とはいえ、もしもゲームシナリオの求人を見かけて「思うように物語を書ける仕事だろうな」とか簡単に考えると、痛い目を見る可能性があるので注意だ。

 逆にここまで書いたら分かると思うけども、デジタルのプランナー業務と並行してシナリオ書ける人材のほうが、中規模以下のゲームではシナリオライターには起用されやすい。
 ゲームシナリオを手掛けたいというのであれば、まずプランナーになってしまうというのも選択肢かもしれないね。

 大規模作品のシナリオライター? そういうのはプロモーション兼ねて、名前売れてる人に頼むものです……。


■レベルデザイナー

 レベルデザイナーとは、レベルデザインをする人のことだ。
 というと、そもそも「レベルデザイン」ってなんだって所から話さないといけない。
 これもまた、真面目に書き始めるとnoteの記事が、2つ3つ出来そうなので軽めに話しておく感じで。

 レベルデザインとは、ゲームにおける「ユーザー体験」のタイミングや順番を設計することだ。
 うーん、まだちょっと「……?」ってなりそうな説明だな。

 ひとつのゲームには色々な要素がある。
 キャラクターのアクションが増えたり、装備を変えたりね。
 そういったゲーム要素の全てが、いきなり最初から全部ユーザーに提示されていたら……?
 「これはどう使ったらいいんだろう?」
 「何を選ぶのが正解なんだろう?」
 って迷うことになるのは明らかだ。

 使い方が分からなくて迷うってのは、ゲームとして面白いこととは言えない。
 じゃあたくさんあるゲームの要素を、迷わずに使えるようにするためにはどうするか?

 それはね「どういう場面で」「どう使うと効果的なのか」、実際に遊んで理解してもらうのが一番だ。
 となると、それはどうしたって一度にまとめてってわけにはいかない。
 優先度を決めて、ゲーム全体を通して、順番にそれを教えていかなきゃいけないわけだ。

 順番を考えたら、それを教えるテンポも考えたい所だ。
 「一気に全部教えたほうがいいのか?」
 「一個教えたら、しばらく他のことは教えずに、その要素に慣れさせたほうがいいのか?」
 こういう事を考えていくと、ゲーム全体の流れが徐々に形になってくる。
 そう、これがレベルデザインだ。

 もう少し細かい所に意識を向ければ、例えばマリオのステージ。
 スタートからゴールまであるけど、敵の出ない一本道だと詰まらない。
 かといって、スタート直後から、殺しに来るような高難易度じゃあやる気も削がれる。
 1つのステージの、スタートからゴールまでの間に、どういう敵や地形、ギミックを、どういう順番で設置するか?
 これを考えるのもまた、レベルデザインだ。


 ソシャゲ運営になって、一回のイベントで無償石を100個配りたい。
 「いきなり100個配る? それとも色々なミッションに挑戦させる?」
 「ミッションに挑戦させるならどんな難易度にする? 条件は?」
 「簡単なのから、難しいのまで用意する?」
 ここまで行くと、そのアイテムをどれだけ配っても大丈夫なのか、というゲーム内経済のコントロールの話になってしまう。
 もはや一般のゲームとは違う領域の話ではあるんだけど……うん、これもレベルデザインなんだよなあ。

 レベルデザイナーとは、こういう事を考える仕事だ。
 ゲーム全体の構成作家であり、ソシャゲにおいてはアイテムの流通をコントロールする造幣局にもなる。
 まあ、書いておいてなんだけど、大変な仕事だし、ゲーム全体を決めてしまう仕事であるのは理解できると思う。

 というわけで、レベルデザイナーも新人がいきなり任されることは、基本的に無い……はずだ。
 ただ、どんなゲームもレベルデザインしてる人間がいて、そこに意図があると考えると、違う側面からゲームが楽しめるかもね。
 プランナーとしての勉強にもなるし。


■PM/進行管理

 これはもう、新人に任せることは基本無い。
 無いが……項目として書いた以上は、説明しないといかんよね。


 <PM(プロジェクトマネージャー)>
 PMの説明をするにあたっては、先に言っておかなきゃいけないことがある。
 それは、会社によってPMのやる仕事は、まるっきり違うということだ。

 それを前提に、まず基本的なことから始めよう。
 PMとは開発プロジェクト全体が、問題無く進行するように全体を把握し、問題があれば対処する仕事だ。
 まあ、ふんわりと言えばそんな感じだ。

 その基本はスケジュール管理。
 日々のスタッフの作業状況を確認し、遅れがないか確認する。
 スケジュールチェックするマンだ。

 さて話がややこしいのはここからだ、じゃあ仮に遅れが出てたらどうするか?
 この場合は、ゲーム内容を変えて、全体的な作業スケジュールを調整しないといけない。
 それを判断できるのは……ディレクターだ。
 場合によっては、PMがそこまで判断するという会社がある。
 そう、その会社においてはPMというのは、実質ディレクターになるのだ。


 と、ここまで書いてなんだが、ディレクターがその判断をしたとして、本当にその変更をしていいのか、承認の判断をしないといけない。
 場合によっては、スケジュールよりも人間関係の方でトラブルになっていて、人事的な判断が必要になる場合もある。

 それを判断できるのは……プロデューサーだ。
 そしてまたまただが。PMがそこまで判断するという会社がある。

 そう、その会社の場合、PMというのは実質プロデューサーを指すのだ。
 というか、そのレベルに居る場合は、スケジュールの確認は部下に任せて、判断が主になるパターンが多いから、ほんとPMと書いてプロデューサーと読むレベル。

 なのでPMが実際どういう立場なのかは、その会社に入って確認するまで分からない。
 でもまあ、なんとなく偉い立場にいることが多いぞ。


 <進行管理>
 これはPMのところで触れた「スケジュールをチェックする」それ自体をメインにするお仕事だ。
 なので、問題があれば、どうしてそういう問題が起きているのか、それがどれくらいのスケジュールの遅れになりそうかを調べて、ディレクターなどに報告するお仕事だ。
 基本それ以上求められない場合が多いぞ。
 立場的には、ディレクターやプロデューサーのサポート的な形になる。

 基本と書いたのは、今現在、僕の同僚は進行管理で参加してるプロジェクトで、問題解決のためにプランナー業務まで手を出してるからだ。

 まさに修羅場だ。
 そういう状況においては、基本とか言ってる場合ではない、炎上を鎮火するのがジャスティスなんである。
 進行管理だろうと、使えるものは使うのである。


■その他

 ここから先は求人などでは「データ入力」とか書かれてしまうお仕事だったり、求人票には「プランナー」としか書かれていない業務だ。

 <データ入力>
 ゲームデータを打ち込んで、アイテムや敵、プレイヤーキャラのデータなんかを作っていくぞ。
 レベルデザイナーの人が決めたものがあって、それを見ながら打ち込む場合もあるし、一定の計算ルールや記述ルールだけ渡されて、後はお任せでブン投げられっることもある。
 あとは、ステージにキャラクターやエネミーを配置したりね。
 新人プランナーのお仕事の6割位はコレ。


 <仕様書作成>
 ザックリとしたディレクターやメインプランナーの説明を、プログラマーが理解してどういう機能を、どうやって作ればいいのか? という所まで書いたものが仕様書だ。
 ここについては、書くと長くなるので別にまとめようと思います。はい。
 ゲーム開発、序盤~中盤におけうプランナーのお仕事は、だいたいコレ。


 という感じで、プランナー系業務で、個別に役職名が付いて求人されてそうなものは、ある程度説明したと思ってる。
 これをふまえて、求人内容を見て、自分に向いてるか、向いてないかというのを考えてみると、どこからゲーム業界に入るのかイメージしやすくなるかもしれない。

 個人的には本当にゲームプランナーとしてゲーム業界を目指すなら、来たチャンスはなんであれ逃さない方がいいとは思うけどね。
 なぜかって? 最初にも書いたけども、プランナーってのは、今回まとめた役職を兼任するからだ。
 特に入社した会社の規模が小さければ小さいほど、兼任する幅は広がっていくぞ。

 事実、こんなことを書いてる僕自身が、ここで書いている内容を一人で担当してるのだから。
 もちろん、ここまで出来れば、それなりに賃金もアップする可能性があるし、何よりクリエイターとして表現できる幅は広いに越したことはない。

 それにほら……できる仕事が多ければ、それだけ失業のリスクは減らせるからね。
 娯楽産業で生きてこうというなら、いつどうなるか分からない覚悟を持っておくのが大事だと、ぼかあ思いますよ……。


★このテーマで書いてます★


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