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【スペイン巡礼1日目】標高1500mのピレネー山脈でひとりぼっちの私


前回の続き

10時にスタートして、通過地点のOrissonを目指す。
距離的には7km程とそんなに遠くはないものの、急な坂が待ち構えているので正直キツい。

スタートして間もなく、最初の分かれ道が訪れる。
ひとつは王道のナポレオンの道、もうひとつは山を迂回するヴァルカルロスの道。
迷っていると、私と同じように迷ってるカナダ人親子に出会った。
ちょっと迷った末、私たちはナポレオンの道を歩くことにした。

ジュリー(母)&ジョン(息子) カナダ出身
息子のジョンは今はドイツに住んでるらしく、今回は母親のジュリーの長年の夢だったカミーノ(巡礼)を一緒に歩くためやって来たらしい。
なんて親孝行の息子なの!!!

色んな事を話しながら進んでいたけど、途中から坂の勾配が急になり、歩くスピードも違うのでそれぞれのペースで歩くことに。

途中でもぐもぐタイム。

まだ余裕の表情


歩けど歩けど、Orissonが一向に近づかない。
汗をだらだら流しながら進む。
やっとの思いでOrissonに着いた。
なんと13時手前…

え?
ここまでで3時間?
まだ半分も行ってないのに?
あと18kmあるんだけど…

そんな絶望感MAXの中見えたのは

Orissonのカフェ

みんなワインとかビールとか飲んでていいなー!!
でも私はここでゆっくりしてられないので、お手洗いを済ませて先に進むことに。

そこから先は、人間よりも牛や馬に遭遇する方が多かった!笑
坂道は緩やかになり、ようやく景色を楽しめるようになって辺りを見渡すと…
青い空に白い雲、緑の山々に、のんびりしてる動物たち。
あぁ、なんて壮大で力強くて優しいんだろう。
涼しい風に抱きしめられてる気がして、この圧倒的な大自然を目の前に感動して涙が出てきた。

そこでふと我に返り、
いかん、いかん。涙を流しては。
とまるで武士のような一言が頭に浮かぶ。
何故かというと、もう持ってる水がなくなってきてるから。
山登りは想像以上にきつくて、水をゴクゴク飲んでたから残りの水が少ない。
体内の水分を無駄には出来ぬ…。

給水所まではかなりの距離があるので、途中で流れてる山水を水筒に入れて飲んだ。
ちょっと黒いポツポツしたものが浮いてたけど、命の水には変えられない。

3時間程歩き、ようやくフランスとスペインの国境付近へ。
標高が高くなるにつれ、体感温度下がり、汗もかいていたので風が吹くと寒いぐらいになる。

しばらく歩いてようやく給水所があって、本当に助かった。

水、おいしすぎ

だけどゴールはまだまだ先。
平坦な道になったかと思えば、また登り坂は始まり、ぬかるんだ泥道を進み、下り坂で転んだ。

永遠に辿り着かない道のりに心が折れそうになる。
仕事ナシ、彼氏ナシ、山脈で本当の独りぼっち。
私は何故こんな所を歩いているのだろう、とちょっと泣いた。
給水したから少しくらい泣いてもいいよね。

写真を撮る余裕もなくなり、ようやく道路が見えた時にはもう抜け殻のような状態。
「ここで倒れても、車が走ってるから大丈夫」
「誰かはきっと助けてくれる」なんて思ったぐらい。

そんな色んな感情が湧き上がった山脈超え。
目的地のRoncesvallesに着いた時には、19時だった。

19時でも明るい

所要時間、9時間。
ほんと生きててよかった。

予約してなかったアルベルゲ(巡礼宿)
受付の人に「予約してないんだけど、ベッドありますか?…」と聞くと、「最後の一個よ」とチケットを渡された。
神様、ありがとう。

夕食の時、日本人の素敵なご夫婦と一緒になった。
話しているとお互いを大切に思っているのが、すごく伝わってくる。
私もこんな風に誰かと関係性を築きたいな、と思った。

夕食後はサロンパス貼って、おやすみなさい。

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