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『山内マリコの美術館は一人で行く派展 ART COLUMN EXHIBITION 2013-2019』を読んで

noteの読書感想投稿コンテスト「#読書の秋2021」にのっかって「課題図書」から一冊読んだ感想を投稿しようかと。出版社の推薦文には、「1人で、自腹で美術館の企画展へ。作品の紹介はもちろん、芸術家の背景にも思いを巡らせながら、シャープでユーモラスな文体でアートの魅力を綴った美術展探訪エッセイ。「TV Bros.」で2013年から2018年にかけて連載された原稿に、プライベートで訪れた2019年の新作を加え書籍化。作家・山内マリコが7年間にわたって書きつづけた、忖度なしの美術鑑賞コラム、ぜひご一読ください。」とあります。

私も美術展に行くのが好きで、国内外の出張などの度に、時間を作っては現地の美術館に行きますし、国内の美術展は、地方に遠征して見たりもします。誰かと一緒に行くことはほとんどなく、というのも美術作品を見るって、とても個人的な体験だと思うから。何でだろう?動物園や水族館は誰かと一緒に行ったほうが楽しいような気がするのに。まあ、興味の深さや種類が違うのかもしれないけど。なので、この本のタイトルにひかれて、他の人が美術展に行くときって何を考えているのだろう?という興味で読みました。

雑誌の連載記事ということで、見開き1ページの簡潔な文章で読みやすく、結構な勢いで読めました。著者の山内さんは芸術系の大学に行ってらっしゃったということで、けっこうアートに対するご自身の好みがしっかりある方なのかなと思いました。内容は、出品作の紹介とか解説とかというより、その美術展の背景にあるものへの想像(妄想?)などもあって、いわゆる美術展紹介ではありません。でも、これを展覧会会期中に読んだら、ちょっと行ってみよう!って思っただろうなというものも多かったです。ただ、終了している展覧会でかつ自分が見ていないと、ちょっと何を読まされているんだろう?ってところも多いというのが正直なところです。

自分も展覧会を見ながら、解説文をじっくり読んでしまうと、それに引きずられて、そのあとの作品を素直に見られないことがあるような気がするので、著者の書いていることもよくわかります。まあ、でも、やっぱり美術展を見るっていうのは、あくまで個人的な体験なんだなっていうのが読後の感想です。ただ、この本を読んでいて、あの美術展で、あんなことを考えていた小説家が書く物語ってどんなのだろう、今度は著者の小説を読んでみたいなと思いました。

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