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#6 音楽の話 - オケ・合唱・ピアノ|言葉を使わない合意

「スナックテレカン」は、北海道と京都に住むミニマム経営者の宿木雪樹(@yuki_yadorigi)と瀬良万葉(@seramayo)が、業務終わりにお酒を飲みながらZoomでしゃべるだけの番組です。

「どんなこと話してるの?」という方に向けて、このnoteでは、Podcastの内容の一部をテキストにまとめています。今回は音楽にずっと関わっている二人が、オケ・合唱・ピアノなど音楽の話をしています。一部抜粋なので、おもしろそうと思ったら、ぜひPodcastで聴いてみてください!

宿木:文章は一人で完成させるものだけれど、オーケストラのように一緒に演奏する人たちがいる場合、その人たちとどのようにバランスを取って音楽を作っていくものなんでしょうか。

瀬良:私はオーケストラでオーボエを吹いていますが、オーケストラくらいになると、もう一つの小さな社会だなって思います。その時々でいろいろなパワーバランスがあって、それはオーケストラの楽器間でもあるし、パートの中でもあるし、指揮者とオケの関係もあります。だから、結構人間関係をがんばって調整しながらやる趣味ですよね。

でも、みんなのやりたいことをすり合わせて最終本番に持っていくなかで、言葉以上の深い関わりもできるんですよ。

合唱でも同じかもしれませんが、ハモってるときにしか得られない一体感みたいのがあります。みんなですり合わせるのは一人でやるより大変だけど、一人では得られない喜びもあるよなって。

そもそも一人では演奏できない作品をやるので、メンバーがいないと何もできない。けれど、ことなかれ主義でやっていたら、お客さんは面白くない。そのへんが社会っぽいなと思っています。

宿木:私は中学生のとき合唱部だったんですが、今お話してくださったことが「まさに!」という感じで。言葉以外の形で人と合意を取れるってすごく幸せなことだなって思っていました。

何かを言葉にすると明確な意味を持つけれど、音楽においては意味が明確ではないところでも合意を取るじゃないすか。あれってめちゃくちゃ豊かだなと思うんです。うまく言葉にはできないけれど、一緒に演奏してる人たちが全員でいいねって思えたこの幸せ、みたいな。

瀬良:わかる。めっちゃわかる。もう、体が震えるような感じ。

宿木:合唱にせよ、オーケストラにせよ、複数人で音楽をやった人が共感できる体験ですよね。

瀬良:だけど、そこにたどり着くためには言葉でのコミュニケーションもめっちゃ頑張らないといけなくて。

宿木:人間力が鍛えられますよね、複数人音楽をやるのって。

瀬良:そうですよね。ダイナミズムがあるっていうか、メンバーがちょっと変わっただけで全然違うものになっちゃうし。

音楽をしていると、言葉を使うのは意味の箱の中に閉じ込められてしまうことでもあると感じます。だけど、音楽なら、その箱の外に出られる。しかも誰かと一緒に出ることができるんです。

宿木:私たちは日常的に言語化というか、文章と向き合っている人間だからこそ、言語に頼らない合意や表現の解釈って、バランスを取るために大事なのかもしれないですね。

 宿木:瀬良さんは、ガチで沼った音楽経験とかないですか?

瀬良:うーん、ないかも。私は、ハマってもすぐ抜け出しちゃうタイプで。だからピアノからオーボエと、クラシック音楽を続けていることが自分の中では奇跡なんです。宿木さんは何かにハマった経験があるんですか?

宿木私の最推しはモーリス・ラヴェル(フランスの作曲家)なんです。

瀬良:わかる気がします。文章もなんとなくラヴェルっぽいし。いつだったかな、文章をパズルとして捉えているって言っていましたが、あれは、だいぶラヴェルっぽい発言じゃないですか。

宿木:確かにパズルとして捉えているし、難解なパズルのほうがよくて。

瀬良:それはラヴェル好きでしょう……!

宿木:大好きです、ほんと。私は子どもの頃に姉の影響でピアノを習い始めたんですが、最初は全然ハマらなかったんです。

ピアノというものにハマったのは、ラヴェルの曲を聞いたとき。 こんなに素敵なハーモニーがあるのかと思ったし、ハーモニーだけど調和じゃなくて、崩してくるじゃないですか、こんな音と出合ったことないって思いました。

私はラヴェルのソナチネがすごく好きなんですが、あの音を聞いた瞬間に、もう色がバーッて見えて。色とか香りとか、よくわかんないけれどいろいろ混ざった何かがブワッと溢れてきて、なんて素敵なんだろうと思って

それから、発表会の曲はもうラヴェルばっかり弾くようになりました。ピアノの先生には、「わかりました、ハノンもやります、チェルニーもやります、でも私はラヴェルを弾くためにすべてを注ぎます」って言ってました。

瀬良:ラヴェルすごく難しいのに!

宿木:超難しいですよね。でも、私は小学4年生で弾いてたんですよ。

瀬良:すごい! ラヴェルの曲って、どうやったら人間の指がこんなふうに動くのかって思うけれど、確かに色があるし、しかもその色が移り変わっていく感じがいいですよね。

宿木:そうなんです、一色じゃないんですよ、すごく混ざるんですよ。私はクラシックにおいては、ラヴェル以上に好きになる作曲家はいないってぐらい大好きで。後から他の作曲家の曲もああいいなって思って聴けるようにはなったけれど、やっぱり自分の感覚に一番合うのはラヴェルだと思います。

瀬良:今度ぜひ演奏を聞かせてください!

宿木:練習してないから、今弾いたらかなりへっぽこだと思いますが、でも聞いてほしい。私なりにラヴェル好きすぎて愛に溢れた演奏はできます。

瀬良愛にあふれた演奏が一番いいんですよ。

宿木:もう、本当「楽譜のこの一瞬のこの音が好きなんじゃい!」みたいな感じで弾きますから、私。

瀬良:聞きたいな。北海道に行くまでにちょっと練習しておいてください。

宿木:承知いたしました。瀬良さんのために弾きます。

瀬良:贅沢すぎる。ラヴェルって連弾の曲とかないのかな……。

宿木:ありますよ。連弾しましょう!

全編はPodcastにて

今回のエピソードは「#6 音楽の話 - オケ・合唱・ピアノ」からの抜粋です。実際のPodcastでは、ここに書いた内容からさらに深掘りして音楽と演奏の話をしているので、ぜひ続きを聴いてみてください。

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