「パスタを茹でる時の塩は、実はいつ入れても一緒だった!?気にするべきは、〇〇」っていう科学

こんにちは、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。

ロバート・ウォルクさんの「料理の科学」って本がありまして。


この本は、料理に関する疑問に対して科学的な根拠に基づいて解説してくれている本で、身近な「なぜ?」をロジカルにズバズバ解決してくれるような素晴らしい本です。


今回はその中でも、「パスタを茹でる時、塩はいつ入れても一緒だよ!」って部分が特に面白かったので、簡単にメモ。


パスタを茹でる時に塩を入れる本当の理由

「パスタを茹でる時は塩を入れましょう!」とはよく言います。

特に、料理家の方なんかは「お湯が沸騰”してから”塩を入れること!」と言う方が多いですよね。


しかし冷静に考えて、なぜ僕らはパスタを茹でる時に塩を入れるのでしょうか?


よく聞く理論としては

・塩分濃度を上げることで沸点が上昇するので、パスタにコシが出る
・沸騰する”前”に塩を入れると沸点が上がって、沸騰するのに時間がかかる
・茹で汁にも良い塩(岩塩とか)を使え

このあたりはよく耳にします。


しかし、著者であるウォルクさんは

「世間で言われる塩の理論は、科学的に間違っているものが多い」

とおっしゃいます。


では、なぜパスタを茹でる時に塩を入れるのでしょうか?

本当の理由は非常にシンプルです。

それは、

パスタの風味が増すから


です。むしろウォルクさんは

それ以外には何の意味もありません。


と、力説しています。


塩を入れても沸点はほとんど上がらない

というのもまず、最初の

塩分濃度を上げることで”沸点が上昇する”ので、パスタにコシが出る

という説から考えてみましょう。


確かに水に塩を加えると沸点が上がることは正しいんです。

しかし、パスタの茹で汁に入れるくらい量の塩では、沸点はほとんど上がらないんですよ。


例えば、仮に6Lの沸騰したお湯でパスタを茹でる場合に、20gの塩を加えたとしましょう。この時に上昇する沸点の温度は、わずか約0.0007℃です。

つまり、ゆで汁に常識的な量の塩を入れたところで、沸点の変化は誤差の範囲でしかないと。


ちなみにウォルクさん曰く

「茹で時間を0.5秒くらいは短縮してくれるんじゃない?」

とのことです。塩で沸点を上げても現実的な影響はほとんどないと。


まとめますと、茹で汁に塩を入れて沸点はほとんど上がらないから、沸点に関しては気にしても無駄だよ!という感じです。


塩はどのタイミングで入れても一緒

続いてこの説。

沸騰する”前”に塩を入れると沸点が上がって、沸騰するのに時間がかかる

これは塩を入れる”タイミング”についての説ですね。


これには諸説あり、「塩は茹でる直前に入れるべき!」という料理人もいれば「塩は火をつける前に入れるべき!」という料理人もいらっしゃいます。


つまり、「塩はいつ入れるのがベストなのか問題」が発生しているわけです。が、結論から言えば、

塩はいつ入れても一緒

です。


というのも、塩入りのお湯でパスタを茹でる限り、塩を加えるのが沸騰の前だろうが後だろうが何の影響もないというのです。


例えば、80度のお湯だろうが、100度のお湯だろうが、どっちにしろ塩は溶けますよね。

そして、一度溶けてしまえば、「その前何度だったか」は関係ないので、パスタへの影響は皆無なんだそう。

確かに、塩には人間みたいに記憶なんてないですから、どういう道を辿ろうが、溶けてしまえば同じであります。

つまり、塩は入れることさえ忘れなければ、いつ入れてもパスタには影響ないよ!ということです。


塩はどの塩を使っても同じ

では最後です。

茹で汁にも良い塩(岩塩とか)を使え!

こちらもよく耳にしますが、これも結論から言ってしまえば、

塩は結局塩なんだから、塩ならどの塩を使っても同じ

です。


というのも、「食卓塩より海塩の方が辛い」なんて言いますが、どちらの塩も、科学的に言ってしまえば同じ「塩化ナトリウム」です。つまり、どんな塩だろうが元の素材は同じなわけです。


でも、こう思う方もいると思います。

『え、でも、塩によって辛さって違くない?』

と。確かに実際に食べてみると、塩によって辛さが違うことってありますよね。


ではじゃあ、何で同じ塩化ナトリウムなのに味が違うんだ?という話になりますが、その答えはシンプルです。

ワシントンポストで紹介された論文によれば、

塩によって味が違うのは、単に粒の大きさが違うから!

んだそうです。


例えば、『海塩は辛い』というイメージがあります。ところが海塩って粒の形状がギザギザだったり四角だったりと、一つ一つの粒の形状がバラバラで大きいんですね。


そして、そもそも人は、食塩の結晶が舌の上で溶けて粒が弾けた感触を『辛い』と感じるそうなんですね。

例えば、パスタを食べた後に口の中に残ったブラックペッパーを噛んでしまい『辛っっ!』となるのと同じ原理です。つまり、人は塩の粒が口の中で弾けた時に『辛さ』を感じると。


そして、一つ一つの粒が大きい塩ほど、口の中で弾けた時の感触が強くなります。


つまりは、こういうことです。

人は粒が溶けた時に『辛い』と感じる

粒が大きいほど辛く感じる

海塩は粒がバラバラで大きい

海塩は辛く感じる

となります。

つまり、海塩が辛いと感じるのは、『海塩だから』ではなく、『海塩は粒が大きいから』だったわけです。


ですので、逆に考えれば、『粒の形で辛さが決まるのであれば、塩は溶けてしまえば辛さは同じ』ということも言えます。

というわけで、パスタの茹で汁に入れる塩は、純粋な塩であれば岩塩だろうがスーパーで売ってる100円の食塩だろうが、ほとんど差はないということですね。


まとめ

というわけでまとめると

・茹で汁に塩を入れても沸点は上がらない!
・塩を入れるタイミングは、パスタを入れる前であればいつでも一緒!
・塩は塩だからどの種類を使っても変わらない!


ということですね。

料理をする時、塩にもこだわった方がいいのかなーと思ったこともありますが、これで安心して普段使ってる塩が使えそうですね。


おしまい。


おまけ

ちなみに、もっと深く勉強したい方はこちらを参考に。





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