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冬と春の空き地

あの泥棒草に覆われた
空き地にも
雪が降り
一面を覆った

センダングサの鋭い刺にも
雪は積もり
まるで泥棒という言葉を象徴する
何かそのものを
覆い隠してしまったかのようだ

冬の終わりに
泥棒草は雪を纏い
春のタンポポのように
丸く
やさしい姿になっていた

吹けば飛ぶような雪を身に付けて
風もない寒さもない
雪の降った夜が明けた



季節は春の呼吸をしながら
ゆっくりとそのタンポポの綿毛を飛ばす

泥棒草が人や動物に付くことでしか
遠くに行けないことを知っているかのように

冬は綿毛をつけ
そして春はそれを飛ばした