ハラスメント防止研修で盛り込むべき内容
ハラスメント防止研修で不足していること
ハラスメント防止研修では、具体的に言ってはいけないこと、してはいけないことを理解し、言わないように、しないようにすることを目的として内容が伝えられます。もちろん具体的な言動を理解することは大切です。研修を聞きながら日頃の自分をふりかえり、ただちに改めてもらうことも必要なことです。しかし、その一方で、~は言ってはいけない、~してはいけないとDon’tの部分をしっかり伝えるあまり「何も言えなくなった・・・」「かえってコミュニケーションしづらくなった」という話もよく聞きます。部下に何をどう話せばいいのかがわからなくなり、注意するのも面倒になり、管理職やリーダーが1人で仕事を抱え忙しくなったというケースもあります。
言い換えはテクニックではなく自分の一次感情に気づくこと
Don’tの部分だけ伝える研修の場合「どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか?」の判断材料を渡すだけになり、そこで出てこなかった言動は大丈夫だと理解して、結果、ハラスメントを繰り返したり、逆に何も言えなくなったりすることにつながります。部下を育成する役割のある管理職は、部下の言動を注意したり、指導したりすることがあります。怒りを抑えて叱るために何をどう伝えるか、どのように伝えるかのスキルを学ぶだけでは不十分です。まずは管理職が自分の一次感情に気づくことか大切です。そして、その一次感情を伝えることがハラスメントにならないコミュニケーションなのです。
一次感情とは『本音』
一次感情とは最初に感じる感情です。かなしみ、さみしさ、むなしさ、はずかしさ、心配などいろいろな感情があります。一次感情は、いわば『本音』です。本当は、自分はどうして欲しいのか、本音の部分ではどうなのかです。人は本音を出すことに慣れていません。まずは本音を考えることです。
事例で考える
9時になっても隣の同僚と雑談をしてなかなか仕事を始めようとしない部下。様子を見ていたげと話をやめそうにもなく、だんだん怒りがわいてきて「いつまでしゃべってるんだ!」「うるさいから静かにして!」などと言いたくなります。言われた部下の雑談はストップしますが、後味の悪い感じが残り、まわりで仕事をしていた人は凍り付き、言われた部下もみんなの前で、大声で怒られた、ハラスメントだと受け取る可能性もあります。
このときの管理職の本音は何でしょう?
静かにして欲しいことではなく
「ちゃんと仕事をして欲しい」というのが本音ではないでしょうか
その本音を伝えるだけでいいのです。
「9時になったら仕事を始めて欲しい」
本音をIメッセージで伝えることが大切です。
ハラスメント防止研修では、Don’tルールとあわせて伝えたいのが、ハラスメントにならないコミュニケーションです。テクニックではなく本音を伝えることでハラスメント防止につながります