不登校の子の夏休みの過ごし方
今回は「不登校の子の夏休みの過ごし方」ということについて書いてみたいと思います。
長期休業中に増えるのが、「夏休み(冬休み)に子どもはどう過ごしたらいいのか。親として何をしたらいいのか」という質問だからです。
まず、保護者の会などでよく聞くのは、子どもが夏休みに入って元気になったような気がする、という話です。「学校のみんなが休んでいる。(だから)自分が(みんなと同じように)休んでも大丈夫。」
きっと(みんなと同じ)登校というプレッシャーから解放されるということだけで、こんなにも子どもの様子が変わるのか、ということがわかります。
気が楽になると、子どもは自分の気持ちに正直に、いろんなことをし始めることが多いように感じます。夏休みは、不登校の子にとって、それが公に許される期間、自由にしても良いという期間なのではないでしょうか。そのように新しい一歩を踏み出すことができるようになった子どもの姿は、私たちのフリースクールでもよく見られます。
ある子にとって、その一歩は「勉強を頑張る」ことで、「休み明けから学校に行くよ」という発言をすることがあります。そうすると、保護者も学校復帰に向かって期待がふくらんでしまうかもしれません。
その一方で、自分の好きなことに没頭して、昼夜逆転など不規則な生活になる子もいます。生活リズムが大きく崩れることで、このままで大丈夫だろうか、と保護者としてはとても不安な状態になってしまいます。
一見すると真逆に思えますが、ここで共通するポイントは、子どもが“今”こんなに元気に活動できている、ということです。きっと子どもは生き生きとした表情をしているのではないでしょうか。
また、子どもが「自由」を手にしたときに、頭の中に何を思い描けているのか、視覚的にわかります。子どもの様子を見ることで、何ができて何ができないかもわかります。
不登校になると、成長も一緒に止まってしまうかのように錯覚することがありますが、決してそんなことはありません。不登校の時間の中でも、身体はもちろん考え方も成長し、知識も身に付いていることが、子どもの様子から伝わってくるはずです。
そのことに気が付くには、少しだけ距離をとることがコツです。例えば、「早く寝なさい」とか「ご飯できたよ」といった声掛けをしない、というのはどうでしょう。しなかったらどうなるのかという不安と向き合うことにはなりますが、案外子どもはできてしまう、というのもよくある話です。
できなければ、それに合わせたかかわり方を模索することになりますが、まず視点を変えるチャレンジをすることで、保護者も子どもも新しく気が付くことがあります。
夏休みは、そういったことに家族で挑戦して、ちょっと遠くから子どもを眺めることができる良い機会になります。そんな機会を通して、子どもの笑顔を見ることで、「うちの子大丈夫だわ」という実感を得られることがとても大事だと思うのです。
なぜなら、夏休みが終わる頃に少しずつプレッシャーが強くなっていくからです。もしかすると、夏休みの終盤には、子どもの辛そうな姿を目の当たりにするかもしれません。その時に保護者としてどう受け止めるのか。
「大丈夫だよ」と子どもに言えるように、また保護者自身がその気持ちをもち続けていることができるように、休み中に元気な子どもから、勇気の前借りができたらいいな、と思います。