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頭がいいって、結局、どういうこと?

「〇〇さんは頭がいいね」って、よく聞く言葉ですよね。テストの点数が良い子を見て、ついこう思ってしまう人も多いのではないでしょうか。でも、「頭がいい」って本当に点数の良さだけで決まるものなのでしょうか?実は、「頭がいい」というのはもっと広い意味を持っているんです。

たとえば、テストの点数が良い子は、覚える力が高かったり、計画的に勉強できたりする力がありますよね。これらは「問題解決能力」と呼ばれるもので、目に見えやすい「頭の良さ」です。でも、実はそれだけではないんです。他にも「共感力」や「忍耐力」といった力、つまり「非認知能力」も大切です。

「非認知能力」とは、例えば他の人の気持ちを理解したり、困難に立ち向かう力のことを指します。こういった能力は、目に見えにくいのでテストには反映されません。でも実は、この「非認知能力」こそが、これからの社会でとても重要になると言われています。

テストの点だけではこれからの社会を生き抜けない理由

私たちが生きる社会は、AIやロボットの進化によってどんどん変わっています。AIは膨大な情報を処理して、問題を解決するのが得意です。でも、そのAIに解決してもらう「問題」を見つけるのは誰でしょう?それができるのは、私たち人間だけなんです。

教育学者のキャスリーン・C・エングル(Kathleen C. Engel)氏は、次のように述べています。「非認知能力は、単なる学力ではなく、生涯にわたる成功や幸福に直接つながる」(Engel, 2020)。つまり、テストで点を取る「問題解決能力」よりも、「問題を見つける力」や「他者と協力する力」が、これからの社会ではより重要だということです。

どうすれば本当の「頭の良さ」を育てられる?

それでは、私たちが「頭の良さ」を育てるためには何をすればいいのでしょうか?これから求められる力を育むために、いくつかのアイデアを紹介します。

1. 正解を求める勉強から、問いを立てる学びへ
 例えば、学校で先生に「どう思う?」と意見を求められたことはありますか?これはただ答えを知るだけでなく、自分で考える力を養う方法です。実際の社会課題をテーマにした学習では、自分たちで問題を見つけ、解決策を考えることで、批判的思考力や創造力を育てることができます。

2. 他者と協力する経験を増やす
 部活動や学校行事でのチーム活動、またボランティア活動などを通じて、共感力や協調性を育てることができます。他人と意見がぶつかることもあるかもしれませんが、その経験を通じて他人を理解する力が高まります。

3. 困難に立ち向かう力を身につける
 何かを途中で投げ出さずにやり遂げる経験は、忍耐力を鍛えます。「失敗してもまた挑戦すればいい」と考える力を養うためには、チャレンジする場を作ることが大切です。

未来を切り開く力を育てるために

これからの社会で生きていくためには、テストの点だけではなく、幅広い「頭の良さ」を持つことが必要です。問題を見つける力、他者と協力する力、そして困難に立ち向かう力——こうした力を今から少しずつ身につけていくことが重要です。

これを実現するためには、私たち自身が「頭がいい」という言葉の意味をもう一度考え直すことが大切です。そして、子どもたちがテストの点数だけでなく、心の中で大切な力を育てられるよう、親や学校がサポートしていくことが求められています。

参考文献
• Engel, K. C. (2020). The Role of Non-Cognitive Skills in Lifelong Success. Educational Psychology Review.
• Heckman, J. J., & Kautz, T. (2013). “Fostering and Measuring Skills: Interventions That Improve Character and Cognition.” NBER Working Paper Series.

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