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#03 メンタルヘルスとは - ポジティブ心理学 -
この記事では「メンタルヘルス」とは何かをポジティブ心理学の観点から見てみたいと思います。
「メンタルヘルス」は「心の不調」を治すこと?
「メンタルヘルス」というと、よくうつを治したり、不安やストレスを和らげたり、こころの病気や不調の治し方がよく語られます。人を「庭」で例えると、「雑草の抜き方」ばかりが取り上げられます。
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もちろん、「雑草」を抜くことは大切ですが、いくら「雑草」を抜いても「花」が咲いてくるわけではありません。
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こころの不調が治っても、幸せになるわけではないんです。こころの病気がないからといって、充実しているわけじゃないんです。
大切なことは「心の健康」を育てること
「メンタルヘルス」とはそのまま訳すと「こころの健康」という意味ですが、実は「こころの病気」や「雑草の抜き方」ばかりが話題にあがっているのが現状なんです。
大切なことは「雑草」をならしながらも「花」を育てること。そして、その割合を変えていくこと。
「雑草の抜き方」と「花の育て方」が異なるように、「こころの病気の治し方」と「こころの健康の育て方」は異なることがポジティブ心理学の研究で明らかになってきました。
ポジティブ心理学とは「こころの健康の育て方」を教えてくれる心理学。
嬉しい・楽しいといったポジティブな感情を感じること、夢中になること、人との温かい繋がりを感じること、希望をもつこと、成長すること、人生に意味を感じること・・・「花」を育てる栄養素、これらを学ぶことが「メンタルヘルス」の本質です。
「雑草」があってもいい。でも、「花」も育てて、その割合を変えていこう。そして、いろどり豊かな人生を送っていこう、というのがポジティブ心理学の考え方です。
「花」と「雑草」の割合を把握する
さて、ここまで「メンタルヘルス」というのは「こころの不調の治し方」と「こころの健康の育て方」の2つの異なるプロセスがあることを学んできました。
今、皆さんの「庭」の「花」と「雑草」はどんな割合ですか?
もし、今、自分の「庭」には「雑草」の方が多いなと感じられる方は、雑草を抜いていくこともできますし、花を育て、割合を変えていくこともできます。
また「こころの花の育て方」については別の記事で書いてみたいと思いますが、まずは日常生活の中で自分自身のこころの「花」と「雑草」がどんな割合なのかを把握することから始めてみてください。きっと、今の自分が何を求めているのか、ちょっぴり明確になってくると思います。
【参考文献】
Keyes, C. L. M. (2002). The mental health continuum: From languishing to flourishing in life. Journal of Health and Social Behavior, 43(2), 207–222.
Keyes, C. L. M. (2005). Mental Illness and/or Mental Health? Investigating Axioms of the Complete State Model of Health. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 73(3), 539–548.
Zhao, M. Y., & Tay, L. (2023). From ill-being to well-being: Bipolar or bivariate? The Journal of Positive Psychology, 18(5), 649–659.