#14 もし壊れていなければ、直そうとしない - 解決志向アプローチ -
この記事では「解決志向アプローチ」の考え方について、一緒に学んでいきたいと思います。前回まで数回に分けて、解決志向アプローチの考え方に必要な3つの力についてみてきました。
今回は解決志向アプローチの前提となる3つの基本指針について学んでいきたいと思います。この指針を知っていると、特に人の悩み相談や、子育て・部下育成等の育成場面で「どの方向に会話を進めていけばいいか」が分かりやすくなると思いますんで、ぜひ一緒に学んでいきましょう。この記事では1つ目の指針のポイント、「余計なことはしないこと」についてみていきたいと思います。
人の悩み相談には「正解」がないから困る
皆さんは人の悩みを聴くとき、どんなことを意識されていますか?しっかり話を傾聴することだったり、共感することだったり、もしくは、何か役立つ助言をしようと親身になることだったり、色んな工夫をされているかと思います。人の悩み相談って「正解」がない分、「果たしてこれで合ってたのかな?」「寄り添って聴いてあげることはできたけど、これでよかったのかな?」と結構、終わった後に考えちゃうことってありますよね。
そんなとき、解決志向アプローチの3つの基本指針を知っていると、どんな悩みごとでも「この方向に進んでいけばいいんだな」と、安心感をもって話を進めることができるようになります。「基本指針」って、なんだか格好つけちゃっていますが、至って、シンプルなものです。こちらをご覧ください。
解決志向アプローチの3つの基本指針
もし壊れていなければ、直そうとしない
僕たち人間は往々にして、すぐに問題や課題を見つけて、そこを改善したくなる生き物です。何も問題がないことでも「どこかもっと改善できる部分があるんじゃないか」と、すぐに欠けているものを探そうとします。欠点を見つけてすぐに直す。その絶え間ないサイクルによって、モノやサービスは改善されていくわけなんですが、それと同じ姿勢で人の支援や育成に対応してしまうと、どんどんマイナスの方にいってしまうことがあるんです。
例えば、お子さんが学校から中間テストの結果を持って帰ってきたとします。そのテストに向けた勉強、一人で頑張っていました。その結果、全ての科目で93点、学年でもトップ10に入っていたのです。このような場合、皆さん、どんな反応をされますか?きっと「よく頑張ったね!」と先ずは誉めるんじゃないかと思うんです。その一方、どうしても次の期末テストのことが気になりはじめ、「次のテストでは・・・」と、改善提案を言いたくなる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?この改善提案、いくら良い内容であっても、この場面には必要ないアドバイスですよね?いちいち言われることでかえってやる気を損ねてしまい、逆効果になる場合もあります。
もう十分であれば、余計なことはしない
一つ目の指針は「もし、すでに十分な状態であるんだったら、そのままにしておこうよ。だって、改善しようと試みたことが裏目にでることもあるんだから」というものです。すでに周りの人から「十分きれいだ」と言われている状態であるにも関わらず、何度も整形してしまい、逆に不自然な容姿になってしまう整形依存症のように、ときとして「改善」がリスクになってしまうこともあります。おそらく、ここでは何をもって「十分な状態」とするか、がポイントになると思うんです。そのため、すでによい状態である人に対して、さらにアドバイスをしようと思ったとき、まずは一度、立ち止まって、「このアドバイスをすることで、何か裏目にでることはないか?」と冷静に考えてみたいですね。もしくは、その人と一緒に、何をもって「十分な状態」とするのかをすり合わせることから始めてみるのもいいかもしれません。ぜひ、意識してみてください!
さて、ここでは、解決志向アプローチの3つの基本指針である「もし壊れていなければ、直そうとしない」ことについて学んできました。次の記事では、基本指針その2、「もしうまくいっていれば, もっとそれをやる」について一緒にみていきたいと思います。(つづく)