高年齢従業員の労災対策
本日(2024.11.06)の日本経済新聞の記事です。
高齢従業員の労災防げ 危険度を点検、企業の努力義務に
高齢者の多くが定年後も働き続けたいと考えています。
経済的な理由で働かざるを得ないとか、理由はさまざまですが、ひと昔前の高齢者より健康面でも格段に若く元気になっていて、健康寿命も伸びていることから、元気なうちは働いて社会参画したいと思われる方も多いのではないかと思われます。
高齢者はひと昔前と比べて元気になった。といっても、その体力の個人差は非常に大きいと言えます。若いうちから運動習慣があって、食事などにも気をつけている人と、全く運動することのない人では当然、体力差は大きくなります。
元気な高齢者であっても、いつまでも体力が有り余るほどあるわけではありません。加齢とともに徐々に体力は低下していきます。
体力が低下すると、ふらつきや歩行時につま先が上がらなくなり、つまづいて転倒するリスクが高くなります。また、お腹に力が入りにくくなり、体幹が安定せず、ちょっとした行動で腰痛を発症したりします。
人手不足が深刻化する中で、企業も元気な高齢者を積極的に雇用したいとの思いはあると思いますが、従業員に対する適切な体力観察をしなければ、高齢者特有の転倒や腰痛の災害が発生する可能性が高くなります。
この日経の記事によれば、厚労省は働く高齢者の労災防止を企業に求める。とあります。労働安全衛生法の改正案を来年の通常国会に提出するそうです。具体的には高齢者に配慮した作業環境の整備を企業の努力義務とするとしています。
われわれは2005年ごろから働く農家のお父さん、お母さんを応援しようとスマートスーツの開発を20年近くやってきました。当時から農業者は高齢者が多く腰痛が農業経営の深刻な課題なっていることに対応しようと始めた開発です。
農業は機械化、自動化されていない作業が多く、中腰姿勢の維持や重量物の持ち上げ、運搬などの仕事が反復して行われます。腰部に疲労が蓄積して、やがて腰痛を発症するのです。
スマートスーツは機械的な動力を持たず、ゴムの収縮力で中腰姿勢時の上半身の持ち上げ、お腹周りの引き締めの作用があります。補助力は最大で25%軽減するように設計しています。
つまり、腰痛にかかる負荷が4,000Nの場合、スマートスーツを着用することで、最大で1,000Nの負荷軽減することができます。
N(ニュートン)は力の単位です。
世界的には3,400Nが負荷上限の基準となっています。
どうやって腰の負担を計測するのか?
それは、我々が提案している「軽労化ナビ」でできます。
軽労化ナビでは、首掛け型のウエアラブルデバイスを作業者に装着して、いつも通りの作業をしてもらいます。得られたデータを解析することで腰部負荷を定量化することができるのです。
また、作業者の体力測定を実施し、その結果から作業者の体幹力を推定することができます。体幹力は体格や年齢、性別などで異なりますが、軽労化ナビではのべ5,000人の体力測定を実施して、推定精度を高めています。
作業者の体幹力から腰部負荷許容値を出して、その作業者実際に行なっている作業の負荷と比較することで、その作業者にとって負荷が高すぎるがどうかを判定することができます。
これが、厚労省が求める職場での作業環境の整備につながるとして、「軽労化ナビ」はエイジフレンドリー補助金の対象になっています。(スマートスーツもエイジフレンドリー補助金の対象です。)
エイジフレンドリー補助金の本年度の募集は終了しましたが、全従業員を対象とした体力測定などは企業の福利厚生費とすることができます。
体力測定にはパーソナルトレーナーなどの実績がある軽労化トレーナーが企業に伺い、作業者の体力測定結果にあった適切なトレーニングを提案するほか体力作りの相談も受けています。
運動習慣をつけようと多くの自治体が市民に向けて、関心を持たせようとさまざまな政策を実施していますが、多くの人が働く職場から運動習慣を動機づけるのが最も近道であり、高齢者だけではなく、全世代を対象とした体力向上プログラムとして軽労化ナビはご利用いただけます。