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2024/10 CTOオープン社内報vol.15 『プロダクト改善のフィードバックループ』
皆さんこんにちは!スマートラウンド CTO の小山( @doyaaaaaken )です。
このオープン社内報は、CTOである自身が普段「なにを感じて、どんなことを考えているか」について、月に一回、社内へ共有する試みです。
“オープン社内報” という名称のとおり、この文章の内容は一部編集した上で会社ブログに公開する予定です。
今月のテーマ:『プロダクト改善のフィードバックループ』
弊社ではプロダクト開発において、ユーザの声を丁寧に聞き続け、そこから得られたフィードバックを元に多くの改善を繰り返してきました。
このサイクルがうまく機能しているのは、会社全体が一体となり、「プロダクトをより良くしていく」という共通の意識を持ちフィードバックをする文化があることが1つの大きな要因だと考えています。
ただ最近入社された方は特に、「実はプロダクト開発がどのように回っているか知らない」という人もいるかと思います(実際、入社したばかりの方から、そういった質問を定期的に1on1でいただきます)。
そのため、弊社のプロダクト改善のメカニズムについて共有することで、改めて皆さんにこの全社の取り組みについて理解・協力していただきたいと思い、このテーマを選びました。
多数のフィードバック経路
「ユーザにとって使いやすいプロダクト」を創るうえでは、様々な角度からフィードバックを取り入れ続けることが大事です。
そしてそれは特定の人・方法だけで収集するのではなく、組織全体で協力することで、多角的にフィードバックを取り入れ、そこから精度の高い洞察が得られます。
これを実現すべく、スマートラウンドではプロダクト改善のためのフィードバック経路が多数存在します。
組織全体がまるで多くの目を持つ一つの生き物のように連動し、プロダクト創りを担うチームが学びを得て、プロダクト改善に活かしていける仕組みになっています。
その仕組みについてすべてを網羅的に説明することはできないのですが、主なフィードバックの経路について紹介し、smartroundのプロダクト改善がどのように回っているかをご理解していただこうと思います。
主なフィードバック経路
主要な経路を下図にわかりやすくまとめました。4つあるので、それぞれ説明します。
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1. 要望・問い合わせによるフィードバック
CS・入力代行・営業チームが日々ユーザと直接対話する中で、いただいた要望や問い合わせを週次の「プロダクトFBレビュー会」というMTGで確認しています。
フィードバックは例えば直近3ヶ月だと155件(週およそ12件!)もの量が新たに収集されており、ユーザがプロダクトを利用するうえで困っていることを理解する場になっています。
フィードバックが多く集まってくるがゆえに、どのような改善にユーザからニーズがあるのかが、把握できる場となっています。
2. 社員からのフィードバック
#inhouse -feedback という全社員がプロダクトについて気づいた・感じたことを投稿するSlackチャンネルがあり、そこには日々ライトなフィードバックが集まってきます。
その中でもすぐに直せそうなものについては、即座にプロダクトエンジニアが修正にあたり、次のリリースにおいて修正反映されている、という高速な改善のサイクルが回っています。
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即座に改善を行うプロダクトエンジニア
ちなみに個人的には、1, 2のプロセスにおいて、数多くのフィードバックが自発的に集まってくることが弊社の1つの素晴らしい点ではないかと昔から感じています。
スマートラウンドはプロダクトが好きな人が多く、評価やルールで強制されているわけではない中で、喜んでプロダクト改善フィードバックに協力してくれる文化があります(行動規範『User Centric』ですね)。
先月の全員出社日においては、「プロダクトを触ってみようの会」という、その名のとおりプロダクトを触りフィードバックをする会がバックオフィスメンバーから自発的に立ち上がったことにもそういった良い文化が根付いていることが表れていると思います。
3. ユーザヒアリングによるフィードバック
プロダクトメンバーがユーザにヒアリングを行い、現場の「生の声」を聴く機会です。
この活動は、定量的なデータでは拾いきれない「潜在的なニーズ」や「課題感」を深く理解するための貴重な場です。
特に、普段デザインやエンジニアリングに集中しているメンバーがこのような機会を通じてユーザの視点を直に知ることは、プロダクトの設計や仕様を考える上で非常に有意義です。
アポを取る際にはCS・営業メンバーにお願いするのですが、忙しい中いつも快く協力してくれて、適切な人を紹介してくれます。
ユーザヒアリングは重要な機会ながらも、参加できる人数が限られたり、忙しくなると疎かになりがちなので、うまく仕組み化するなどして機会を設計できないか試しているところです。
4. プロダクトデータによるフィードバック
BIツールで、プロダクトの利用状況を分析できる仕組みを整えています。
これによりリリースした機能が想定通りに使われているのかを確認し、もしユーザの利用が思わしくなければ、速やかに対策を講じることができます。
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盛り上がるプロダクトエンジニア
BIツールはVPoRの山原さんが整えてくれた仕組みのおかげで、機微な情報は閲覧できない制限がかかっており、そのおかげでプロダクトデータを広めの範囲のメンバーが閲覧・分析できるようになっています。
プロダクトを通じてユーザに価値提供するには、「リリースはゴールではなくスタート」という意識が大事です。
SaaSにおいて多くの機能はあまり使わないことが一般的であり、昔Pendoが出した調査レポートでは「リリースした機能の8割がほとんどまたは全く使われない」とも言われています。
リリースした後の利用度などの結果を受けて、プロダクト改善の判断に活かしていくことが大事です。
実際、普段の機能改善や機能廃止の際にも分析結果を活用していますが、プロダクトデータによるフィードバックは様々な洞察が得られるので重要です。
ユーザからいただいた満足の声の紹介
このような努力を続けてきた結果、ユーザの皆様からのご満足をいただいてきたことも全社の成果として、少し振り返っておきましょう。
X上でも多くのスタートアップの方々が、ありがたいことにsmartroundについて満足の声をあげていただいています。
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また以前CSから全社へ共有されたかと思いますが、smartroundの提供サービスの1つである投資管理について顧客満足度の調査を行ったところ、非常に良い結果が得られました。
“Sean Ellis Test”と呼ばれる手法で満足度調査を行っており、この手法では「もし製品を使えなくなったらどう思いますか」という質問をし、「非常に残念」と答えたユーザが40%以上だとPMFしているとみなせるという手法です。
アンケートをとった結果、40%を大幅に上回り、約70%もの企業さまから「(使えなくなると)非常に残念」と答えていただきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1728282040-QnaUXlpj6ovtG9BKuqwRALbs.png?width=1200)
ちなみに「非常に残念」「やや残念」の合計(オレンジ色の部分)は99%です。
まだまだ最高の状態は遠いですが、今後もユーザの皆様から満足の声をいただけるよう改善を積み重ねていきましょう。
他の重要な視点
以上、プロダクト改善のフィードバックループの仕組みについて紹介しました。
職種を問わず、皆がプロダクトを良くしようという信念を持ち、フィードバックを集めることに協力してくれる文化があるからこそ、プロダクトが良いものになっていくのです。
ただ、このような素晴らしい仕組みがある一方、「プロダクトの成功」は改善のループだけでは成立しません。
今回説明した視点だけに偏ることないよう、あえて他の重要な視点についても紹介したいと思います。
1. 多くのフィードバックには対応できない
開発できるリソースは限りがある一方、やりたいことは無限にあります。
「やることを決める」のと同じくらい「やらないことを決める」ことは重要です。
逆説的ですが、フィードバックを集めれば集めるほど、やらない要望が増えていくことになります。
ただしそれでも、フィードバックを多く集めることは重要です。
集めたフィードバックの大部分には対応できないのですが、フィードバックを多く集めることで学びが得られ、結果的に最適な優先度や改善案を考えることができるためです。
2. 「ユーザにとって使いやすい」のみではプロダクトは成功しない
あくまで1つの見方ですが、10年ほど前に提唱されたフレームワークで「プロダクトマネジメントトライアングル」というものがあります。
プロダクトの成功に必要な組織のケイパビリティを「User」「Business」「Developer」の3点とそれらをつなぐ線上にマッピングし、足りないケイパビリティや3点のバランスを可視化するフレームワークです。
![](https://assets.st-note.com/img/1728282102-NjbIQwvk2KJ3P90yrdXY65Bt.png?width=1200)
今回記事で紹介した内容は「ユーザにとって使いやすいプロダクト改善」につながりますが、同時に「ビジネスとして成立するプロダクトであること(=採算が取れること)」や「開発が持続可能であること(=プロダクトが進化し続けること)」も成功には必要です。
特に開発体制については、日々のリファクタリングや技術的負債の解消といった継続的な取り組みが欠かせません。
これらの視点をバランスよく取り入れることで、初めて「ユーザにとって価値があり、ビジネスとして成功し、長く愛されるプロダクト」を創り上げることができます。
そういった側面からも、フィードバックは多く欲しいながらも「1. 多くのフィードバックには対応できない」という点についてご理解いただければと思います。
以上です。
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