チャート、フォーカスゴールドの2強に迫れるか?『NEW ACTION LEGEND』(東京書籍)
教科書を作っている出版社にとって、もっとも旨味のあるビジネスは、抱き合わせで、参考書を売ることでしょう。教科書は、消費税がかからない、公共性のあるもので、非常に安価です。そのため、利益率の高い参考書の併売は出版社の悲願とも言えます。
高校数学教科書の最大ブランドは、数研出版であり、結果として、充実した傍用問題集(『4STEP』『サクシード』など)のセットは、学校販売用問題集市場のスタンダードになっています。その結果、学校指定の参考書も数研出版のチャート式シリーズが定番になっています。
そんな鉄壁な牙城に挑んだ感のあるのが、啓林館で、『フォーカスゴールド』を武器に切り込んでいるイメージがあります。『フォーカスゴールド』を指定の参考書に採択した学校は、概ね啓林館の教科書になる場合が多いようです。
これは、参考書については、「揺れている」からだろうと思います。
福岡のある名門公立高校は、参考書の採択は学年ごとに違います。『青チャート』→『赤チャート』→『フォーカスゴールド』という感じで、毎年のようにコロコロ変わります。
それは、これがベストと決めかねている学校の先生方の迷いを読み取ることができます。どれも一長一短、帯に短し、襷に長しなのでしょう。
それは、ライバル出版社の目線では、市場に入り込む余地があると見えるのかもしれません。そんな参考書の市場に割って入るかもしれないと思われるのが、『NEW ACTION LEGEND』(東京書籍)です。
位置付け的に後発でるある以上、内容がチャート、フォーカスゴールドの2強と大して違わないければ、市場に割って入ることはできません。
そのため、レイアウトや構成、戦略的な取り組みなど工夫がみられます。
背理法と対偶法の違いとは何か?など着眼点のいいコラムも載っており、網羅系問題集にふさわしい内容になっています。
そして、何より大きいのが電子書籍に対応していることでしょう。
私立高校を中心に高校生は、タブレットを持ち歩くことが日常になりつつあります。
とかく、「重い」と不評の網羅系問題集こそ、電子であるべきという考え方は説得力があり、今後網羅系問題集の変化を促すかもしれません。
現在の高1からカリキュラムが変わるため、現状変更のチャンスといえるタイミングで東京書籍は、仕掛けているのではと思っています。
どこまで販路を広げ、浸透するか、注目しています。
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