「いろはす」の謎がわかるということ【応用力とは何か?】
人は、不思議だなと思うことであっても、何となくやりすごしてしまうことが多いものです。
コカ・コーラ社のいろはすシリーズの中にある、くだものフレーバも小さな謎である人も多いかもしれません。
なぜ、果実の味がするのか?
現代人は小さな謎をどのようにやり過ごしているのか、東京大学名誉教授で、解剖学者の養老孟司先生は、ご自身の体験談を通じて、このように話をされています。
現代人は、考えない方に進むというのは、教育に携わるものとして、よく理解すべきことでしょう。
ただ、今の若者がなぜかを考えることが苦手になっているのではなく、できるだけ労力をかけずに、正解にたどり着けることを教育が求めているからでしょう。
疑問に思い悩むより、正解をインプットする方が早い。効率的である。そういう時代なのかもですね。教育の現場でそのような解決が図られているのは、ある程度正しく、それを率先しているのがもしかしたら塾業界なのかもしれません。批判は甘んじて受けるべきと思う光景は私の周辺でもみられています。
ただ、本質的な理解こそが、実は早道であると理解している塾講師も多いのではとも信じてもいます。
今回の例でいえば、インクの1滴が拡散することで、溶質は人間の目で補足できなくなるほど小さくなり、消えたように見える。
そのことを通して、「溶ける」とは何か、「透明」とは何か、もっといえば、「エントロピーの増大」とは何か、を伝えている講師はいると思うのです。
私はこの例を通して、いろはすの謎を生徒に問うようにしています。勘のいい生徒は、この事例を通して、答えを導き出します。
応用力とは、その一つの指標として、本質を理解したうえで、それと同じように考えることができる現象を発見したり、一般化できることだと思っています。
化学は、物質をミクロ的に考えることが思考の基本です。要素還元主義ともいわれますが、この思考法を学ぶことで、化学はより深く理解ができます。
このように可能な限り、応用力を刺激する問いを生徒たちに投げかけたいと思っています。