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あの邦画の当たり年から8年。政治の風景を変え始めた「ある年齢層から下」の人々の社会観【兵庫県知事選挙の結果から見えてくる未来】

2016年。それは、邦画の当たり年でした。

8月下旬の公開ながらも、社会現象となった『君の名は。』(新海誠監督)とゴジラの存在を再定義したともいえる『シン・ゴジラ』(庵野秀明総監督)が大ヒットしました。

この2作品。世代をクッキリと分けたという指摘がありました。

ちょうど40歳くらいを境に、上が『シン・ゴジラ』で下が『君の名は。』を支持したという説です。

その当時、かなり納得感のある見解だと感じていました。というのも、若い方の『君の名は。』の支持は当然だろうと思う一方で、周囲の当時30歳台の方達の『シン・ゴジラ』への評価が低く、それがなぜなのかが不思議だったからです。

当時、この2作品から醸し出させる空気感への受け止めが、40歳を境に違っているのだろうと思っていました。

あれから8年。この境界線は、8年分上がりました。

その視点で見ると、今回の兵庫県知事選挙は、若干の上振れはみられるものの、ここに境界線があることに気が付きます。

今回の兵庫県知事選挙の結果について、首をかしげているのは、多くが当時『シン・ゴジラ』を支持した、上の世代なのではと推察しています。

下の世代が斎藤さんを支持する理由が全く分からないのでしょう。私も上の世代になるので、私も同感でもあります。

ただ、この結果がおかしいとか、兵庫県の有権者は何をやっているんだという感想にはなりません。

これが現実なのですから、それはそれで受け止める必要があると思っています。

ノンフィクションライターの松本創(はじむ)さんのx(旧Twitter)の投稿は、真実を切り取っていると感じます。

松本さんの筆から斎藤さんを支持する有権者が発する空気が嫌というほど伝わってきます。

8年前、新海誠監督は、当時誰も気が付いていなかった「空気感」を確信があったのかどうかはわからないものの、確実に掴んでいたのでしょう。庵野秀明監督も別の形での空気を掴んでいた。

庵野秀明監督がつかんでいた空気は、これまでの価値観の系譜にあるものだったのか、ある程度分析が可能だったのでしょう。その後、多方面の作品群のヒットをみてもそれは説明がつきそうに思います。

しかし、新海誠監督は、自身が作り出したはずの「空気感」の正体を掴み切れているかというと微妙なところがあると感じます。

その後、2作品を世に出しましたが、世間の評価のハードルが上がったとは言え、『君の名は。』を乗り越えたという印象は持てません。

今回、斎藤さんの陣営は、社会の空気感を掴んでいたのかどうかは、私にはよくわかりません。ただ、石丸伸二さん→国民民主党(玉木雄一郎さん)と世間を動かした「何か」と今回の選挙はシンクロしていたことは間違いのないのかなと見ています。

SNSでは、ネットの影響の大きさを指摘する声が多いようですが、個人的には懐疑的です。インターネットは、瞬間的な大きい反応であったり、行動の分散化に圧力がかかることはありえても、継続性を持ち、一つの結論に収束する力はないように思うからです。

今後、この点からの分析も進むのでしょう。

この結果を受け、私は世代論に説得力があるように感じていることもあり、今は50歳近辺にまで上がった境界線より下の世代は、政治のキャスティングボードを握る存在となったことだけは間違いのないのかなと感じています。

それは、たとえ権力の頂点に君臨する自民党であっても、決して安閑としていられない現実なのかもしれません。

時代はよりうつろいやすい。

それはヒシヒシと感じるところですね。


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