今から思うと納得感のある「資(すけ)さんうどん」のある出来事【すかいらーくホールディングスによる九州の老舗うどん店の買収劇】
北九州市を拠点に、地元から熱烈な支持を受けている資(すけ)さんうどんが、すかいらーくグループによって買収されるのだそうです。買収額は、240億円。今後、資さんうどんは、全国チェーンになっていくのでしょうか。
個人的には、あまり驚きはありません。
福岡の地場のうどん店で多店舗展開しているのは、
「ウエスト」「牧のうどん」などがありますが、ここのところの資さんうどんは明らかにこれらの店とは違う動きをしていました。
それが、システム化への投資です。
資さんうどんが、地元北九州市から店舗を拡大しはじめたのは、福岡市に店をだしたころでしょうか。そのころは、私の理解では店の運営は、「ウエスト」「牧のうどん」と大して変わらないものでした。
ところが、資さんうどんは、改装するほどの店の劣化が見られないのに、最近、福岡市の店舗を改装しはじめました。
改装後の店は、明らかに効率的な店舗運営を目指したものになりました。その結果、店舗の人員を減らせたのではと思っていました。ただ、これまでの資さんうどんらしさは減ってしまった点が気になっていました。
どうしてそんなことをしているのかと思っていた矢先のこの買収劇。
今回、すかいらーくが買収した形になっていますが、個人的な見解では、資さんうどんが付加価値を高めて積極的に営業をかけて「売った」印象もなくもありません。
7月に期間限定で東京に店を出したのも、行列ができるような仕組みでメディアに注目してもらうための仕掛けだったのかもしれません。
実は、資さんうどんは、後継者の不在から銀行主導でブランディングを見直した企業でもあります。これは、住宅地図で有名な「ゼンリン」とも似た構図です。
仲介を受けた銀行としては、ブランド価値を高め、ファンドに株式を売却して一定の役割を終え、さらにファンドが大手外食チェーンに高値で売却という流れになっているようです。
今から思うと、店舗の改装は、ナショナルチェーンへの準備という点では納得のいくものだと感じます。地場企業が、そのアイデンティティをなくすのは寂しいところもありますが、これもまた時代の流れなのでしょう。
客としては、最低限、資さんうどんらしい味とメニュー展開は維持してほしいなと思っています。
資さんうどんは、九州のうどんで多くみられるやわらかいうどんです。讃岐うどんのような「こし」が強いうどんとは一線を画します。
これが全国でどの程度通用するものなのか。とんこつラーメンのように、地域の個性として受け入れられるのか、興味深いところでもあります。