何がほしいと聞かれたので。
何がほしいと聞かれたら、家がほしいと答える人がいて。その返しに「そら わてかて、ほしい」と答えた人が居たらしい。
そんなことは置いといて、「何がほしい」と聞かれたので、「クリスマスプレゼントがほしい」と答えたら、クリスマスプレゼントに鱒寿司をくれる人がいた。
富山の。まるい。鱒寿司。駅弁フェア的なやつでよく見かけるレジェンド駅弁。
何度も食べたことのある、安定のお味。鱒の絵は、鱒だと言っているのに、しゃけに見えるデザイン。あんた、グッドデザイン・テイスティング賞 受賞だよ。ならびに、殿堂入りだよ。(どういうこっちゃ。)
なむか、よく分からない川の絵が描かれた蓋が、竹で ぎゅっとしばられて。その竹をさらに つよそうな輪ゴムでぎゅっとしばられて。古の頃より押され続けた、押すな言うたら誰しもが推したくなる・推し寿司の鱒寿司さん。
最高のサーモンピンクのぴんぴんピンクカラーじゃないか。(だから、鱒だと言っている。)
程よく脂がのっているのに、さっぱりしている。おいしいなあ。この、ぺっちゃんこ。(表現力どうにかして。) 竹の匂いがいい匂い。これが富山の匂いですか。(抗菌作用の匂いです。昔の人の知恵のにおいです。…竹の匂いです。)
このまるい蓋。いいなぁ。この入れ物。なむか、いいなぁ。
そう言えば、この前ブラタモリでタモリさんが富山に行っていて。富山の地形が、お魚さんがだいすきなエサが集まる地形だとか、何とか言っていたな。白海老…せんべい。薬屋さん。じんつうがわ?じんづうがわ?(神通川。)…って川が、人間が手を入れた訳ではなくて。川が勝手に川のラインを変えてぇ。今の神通川と、むかしの神通川はちがうとか何とか言ってたな。…知らんけど。
富山は、一度だけ行ったことがある。小矢部川(おやべがわ)という川を見に行った。あたしゃ、河童じゃない。勧進帳という話の中に、小矢部川が出てきて。(というか、作品の舞台は 小矢部川なのではないかな…という信憑性のあるのかないのか。よく分からない何となくの感覚で。ふわっと、ふらっと。事後報告をしたら、カメラもないのに、何をやっているんだと言われた。富山の海の深さに比べりゃ、浅いふざけた なんとなくの過去がある。まぁ。そんなことはどうでよくて。)
ブラタモリで小矢部川という文字が出てきて少しテンションが上がった。訪れたことのある場所を、タモリさんが訪れていると、こちらとしてはウキウキウォッチングなのだ。例えそれが、お昼時でなくてもだ。
「…ふた。蓋、かわいい。なむか、いい。」
「わかった。しつこい。(何回 言うの)」
何がほしいのクリスマスプレゼントに、富山を連れてきた張本人の反応が、それだった。
富山。富山か。そこまで思い入れはないのだけれど。
さっさなりまさ。佐々成政のさらさら越え。「さ」が多いぞ。サラサラ越え。人間関係すったもんだの、どろどろしたからサラサラ超え。さらさら声?
それは、(むかし佐々成政を演じた)山口祐一郎のことか?いや、いい声だけれど。あれ、さらさらか?
成政の親は、なにうえ、成政と付けたのか。滑舌のいい家系だったのかな。知らんけど。サ行変格活用より、サが多いぞ。
戦国大名の親の滑舌のよしあしは分からんが、ソクラテスかヒポポタマスが言っていた。うん?アリストテレスか、プラトンだったかな。とりあえず、その界隈の人が言っていた。『我々は、知らないことを知っている』と。
本人から直接聞いた訳ではないけど。 …あ。ヒポポタマスはカバさんか。だとしたら、人間をホモサピエンスとか言うのであれば。アンパンマンのカバオくんの事は、ヒポポタマスということか。あいつ、ヒポポタマスか。
知らないということを知っている。だから一部のホモサピエンスは、知らんけどという言葉を、やたらめったら使うのか。あれは哲学用語か。だから、哲学をかじっていない人にとっては、ハの字眉毛の、困惑が生じるのか。知らんけど。(※ちがうよ。多分、絶対ちがうよ。)
佐々成政の親の滑舌の良さは知らないが、知っていることもある。私の知っていることなど微々たるもので。多分、私の知っていることなど、誰も知らない。いよいよ哲学めいてきたので、終りを迎えよう。私の知っていることは、クリスマスプレゼントに鱒寿司をくれた人は何も知らない。富山の人も、佐々成政も、タモリさんも、鱒寿司の製造者さんも、販売員さんも、流通者さんも。何も知らない。
私の知っていることは、ただひとつ。
この世の中に、弁当箱のふたを壁に貼り付けるやつがいるということだ。そして容器の方はというと…
小林栄戯曲集【フザケテール氏の帽子かけ】
山本嘉ジ子 脚色【今日も、ここに 無駄 あり 鱒。】