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クラシック音楽家が来るキャバクラ


─ここは、知名度の割に「人となり」がそれほど有名ではない「クラシック音楽家」達がやって来るキャバクラである。─


◯キャバクラ

◯ボーイがお姉さんを連れてやって来る。

「お待たせいたしました。かなでさんです」

「こんばんは。かなでです。よろしくお願いいたします。」

◯着席すると、ボーイは去っていく

「お客さん、なに飲まれます?」

「水割りで。」

「は~い」

◯かなで・水割りを作り出す

「お客さん、お仕事は、なにをされている方ですか?」

「こうみえて、音楽の方を。」

「え、歌手!?知っている人かな。」

「いやいや。作曲の方を。クラシックの…音楽家です。」

「えぇ~見えない。お名前 伺っても宜しいですか。」

「はい。アントニン・ドヴォルザークと申します。」

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「知ってる!聞いたことある!音楽室に飾ってあった。」

「本当ですか!?嬉しいなぁ。」

「じゃあ、ドボルザークさんだからぁ、ドボちゃんって呼んでいい?」

「ドボちゃん!?」

「ド~ボちゃん♪」

◯転がされます。

「いいねぇ!」

「でしょ、でしょ。ねぇ、ドボちゃんってどんな曲作ったの?」

「僕がいちばん有名なのは、【新世界より】 知ってる?」

「ごめん、知らない。」

「聞いておいて…」

「ごめん、後で 調べとくぅ~」

◯かなで・聞いておきながら基本知らない。

「聴いたら分かるよ。検索してみて」

「うん、分かった、あとでやっとくね (やらなさそうな営業スマイル)」

「きらいじゃないねぇ~。そういう所、」

「そんなに有名?どんな曲?」

「僕、もともとチェコ出身でさ。」

「チェコ?」

「いろいろあって、アメリカに渡ったわけ。それでアメリカから、チェコに向けて “地元だいすき!”って歌った曲。」

「地元だいすき?」

「愛国心。ほらアメリカってさ、新大陸って言うじゃん?」

「コロンブス?」

「惜しい。(正確には)アメリゴ・ベスプッチ!残念」

「えぇ~外れた~。」

「だから“新世界”から故郷に向けてという意味で、【新世界より】。“新世界”じゃなくて、新世界“より” ここ大事。」

「めっちゃ地元すきじゃん。」

「そうなの、地元だいすき!」

「沖縄出身の歌手が、めっちゃ沖縄 好きみたいな感じ?」

「似ているかもねぇ。」

「じゃあドボちゃんと、ドボちゃんの地元(チェコ)にぃ~乾杯。」

「乾杯、」

「イェーイ。地元イェーイ…」

◯かなで・呟くように言うと

「いいね、そのノリ。」

「本当に?」

「地元イェーイ♪」

「なんか、楽しそう…(冷静)」

「一緒にやっちゃう?」

「…やっちゃいますか♪  (ノってあげる♪)」

◯ 2人揃って

「地元イェーイ♪♪」

「地元イェーイ♪♪」

◯ドボちゃん・羽目を外す

「そもそもドボちゃんは、なんで音楽の道に進んだの?お父さんとお母さんが音楽家だったとか?」

「とんでもない。うちは自慢じゃないけど、めちゃくちゃ貧しかったんだ。」

「そうなの?」

「そりゃ、近所に教会はあったし、親父もおふくろも少しは楽器をやっていたよ。」

「うん。」

「だけど周りの家もそんな感じだったし。趣味みたいなもので、うち家業は肉屋だし。」

「そうなの!?ドボちゃん お肉屋さんなの?」

「そう、実家、肉屋。」

「めっちゃ良いじゃん。」

「そうでもないよ。」

「なんでお肉屋さんが音楽家に?分かった。お店の宣伝ソング作ったとか。」

「ちがうよ。それが、いろいろあったんだよ。」

「なに、 聴かせて♪」

「僕、長男だから」

「長男?」

「肉屋を継ぐために、修行に行ったんだ。」

「修行?」

「隣街の伯父さん家に」

「なんで?」

「肉屋になるにも試験があるから。 」

「そうなんだ。」

「それで 商売で必要だったから、伯父さん所で ドイツ語を勉強してたわけ。」

「ドイツ語?」

「公用語。そのドイツ語を教えてくれた先生っていういうのが、音楽をやっている人だったの。」

「運命じゃん」

「運命というか、よくある話。まぁ 出会いかな。」

「それで?」

「ドイツ語よりも音楽にはまっちゃって。」

「ダメじゃん、「うちの息子音楽家になりたいとか言ってるんですけど どうしたらいいですか」って、新聞の質問コーナーにお母さんが質問しちゃうよ。」

「それ、忌野清志郎じゃん。」

「イェーって言え♪」

「イェーって言っちゃう?」

「言っちゃいますか?もう一回、」

「いや何度でも、」

◯2人揃って

「地元イェーイ♪♪」

「地元イェーイ♪♪」

◯ドボちゃん・羽目を外す

「それで?音楽に没頭しちゃったの?」

「いや、肉屋の修行も平行してやっていたよ。」

「えらいじゃん」

「だけど、実家の経営が上手く達行かなくてね、」

「どこもたいへんだよね。」

「親父が肉屋を継げっていうのを、ドイツ語を教えてくれた先生…2人いるんだけど、先生と伯父さんが3人で「こいつには音楽の才能がある」って必死で止めてくれたんだ。」

「めっちゃいい人達じゃん」

「そうなの。僕は人に恵まれているんだ。勿論、親父は猛反対したけど時間を掛けて説得してようやく学校に入れてもらえた。」

「よかったじゃん、」

「しかもその学費、伯父さんが払ってくれて」

「めっちゃいい人。」

「そうなの。本当、人に恵まれている。貧しかったけど、そういう所は親父に似たのかなって思う。」

「反対したお父さん?」

「あぁ。いつも周りに人がいるような人で、肉屋って言ったけど 肉屋 兼 居酒屋 兼 宿屋みたいな感じだったから。」

「めっちゃ兼 付くじゃん」

「とにかく賑やかだったよ」

「良い家庭じゃん。泣いちゃう。それでその後は?」

「その後も…お金なかったなぁ。」

「まだ困ってたんだ。え、今日の支払い大丈夫?」

「大丈夫。僕、生きている間に成功した音楽家だから。」

「格好いい!フゥ~♪」

「30歳位までは苦労したかな。学生時代も 学校に通いながら 教会の管弦楽団で演奏したり。ビオラって分かる?」

「聞いたことはある。」

「音楽の講師とかやったなぁ。学生時代の友達にね、カレル・ベンドルってやつがいるんだけど。」

「うん、」

「そいつがめちゃくちゃ裕福で。あまりに僕にお金がないから、楽譜かしてくれたり、演奏環境かしてくれたり。」

「なに、その友達。マジ泣ける。」

「そうだろ。めちゃくちゃ良いやつなんだよ!そいつのお陰で学校卒業出来たみたいなものなんだ。」

「そうなんだぁ」

「それでね、」


◯その時、ボーイがやって来る

「…かなでさん。ご指名が入りました。」

「えぇ~ごめんなさい。指名入っちゃった~( ´△`)」

「え、もう?」

◯かなで・名刺を渡しながら

「今度、そのめちゃくちゃ良いお友達連れてきてくださいね♪」

「うん、分かった。絶対連れてくるよ。」


◯かなで・すぐに常連のお客さんらしき人の席につく

「おう🙋‍♂️」

「きゃ~おっつ、おっつ、おっつ~♪(お疲れ様~)」

◯常連客らしき人・かなでに尋ねる

「ねぇ。あの人誰?」

「うん?…音楽家。」

「うっそ、誰!?」

「地元が大好きな、新世界の人…?」

「やしきたかじん!?」

「だれそれぇ~」


◯ドボルザークの席に黒服がやって来る

「お会計こちらになります。」

◯中を確認して、サインをするドボルザーク。

◯黒服・そんなドボルザークに話し掛ける

「私は、新世界より も好きですが…。“白山の後継者たち” とか  “ スターバト・マーテル”とか、聴きます。」

「君 相当マニアだねぇ!嬉しいよ。ここ いい店だね、本当。」

「ありがとうございます!」

「ところで君さ、鉄道好き?」

おわり。



🎼 この作品は、フィクションです ♪


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【解説】

はい、どうも~♪私 見た目はほぼ座敷わらしの あまそぎ…ではなく、前髪切りすぎた おんぷちゃんと申します~♪ピーリカピリララー(^-^)

この項目は、戦国鍋TVと戦国炒飯TVという番組の雰囲気が好きすぎるあまり、なんとなーく出来た項目ですので 寛容な目で見ていただけると有り難く思います。(ヽ(*´∀`)ノピコピコ~♪ ←はい、これあの兼続くんの腕のピコピコやと思って頂ければ。)


さぁ!

今回は、【戦国武将がやって来るキャバクラ】…ではなく。クラシック音楽家が来ちゃいました~\(^-^)/

  という事で、今回はドボルザークさんが来店されましたが。ドボルザークさんが喋り足りなかった事を少しお話させて頂きます。ドボルザークさんがご自身で仰っていたように、その人生はまさに“人との出会いの連続”。そして、出会った縁を大事にする生き方でした。30歳までほぼ無名の音楽家だった“ドボちゃん” ですが、最後に黒服さんが言っていた「白山の後継者たち」がブレイクするきっかけとなります。これ 芸人さんで言うと、ブレイクしたけど、世間はブレイクしたきっかけのネタを忘れているみたいな感じですかね。

  因みにドボちゃんは出会った縁を大事にする人だったようなので、この「白山の後継者たち」で指揮をつとめたのが、学生時代に楽譜をかしてくれた 友達のカレル・ベンドルさんでした。ベンドルさんも感慨深かったのではないでしょうか。(*^^*) 大人になってから友達を作るのはたいへんだけど、学生時代の友達は大事にしろという事かもしれません。熱い友情…ジャンプで取り上げられそうですね。

  それにこの曲を発表した時期にドボちゃんは結婚をしております。若かりし頃、音楽の講師をしていたドボちゃんは、教え子に恋をします。失恋です。それから数年後。

  「白山の後継者たち」の演奏にて。合唱団で参加した子(アンナと言います)が、当時の教え子の妹 (多分、この子とお姉ちゃん姉妹で 教えてました )と久しぶりの再会を果たし、なんかいい感じになって結婚します。

「あれ…あの子、よく見るとこんなに綺麗だったんだ」的な感じかもしれません(^_^) 

(ハリー・ポッターかっ!!ヽ(*´∀`)ノ ←ごめんなさい、他に良き例えがスッと出てきませんでした。)

  まだまだ喋り足りないけど、そろそろお店の閉店時間らしいので、またね!

ヽ(*´∀`)ノヽ(*´∀`)ノ


🎼かさねてお伝えしますが、この作品はおもいっきりのフィクションです。些かちがうくても許してね♪


(低空飛行で、宣伝!)


≪参考思考・映像≫


(興味のある方はどうぞ)

(19分と少し長めですが、目次が付いておりますので気になるところから見ることができます。全三回シリーズの一回目のみ載せます。)


(こちらは 音楽技巧多めですが、ドボちゃんの人生詳しく語ってくれてます。約18分)


クラシックが好きな方から言わせてみれば、あれもこれも語っていないじゃないか となりますが。それは、上の動画の方々のような、音楽が本当に好きな人達の口から聞くのがいちばん楽しいと思いますので、私の好きは小指にも充たないと思いますのでヽ(*´∀`)ノ美味しいところは避けました( *´艸`) (本当はドボちゃんの人生はここからがドラマチックなんですよ) 

ふふっ( *´艸)( *´艸)

一つだけ言わせて頂くと、スターバト・マーテルという曲は紀貫之や中原中也を癒してくれる楽曲です。


それではまたのちほど(* ̄∇ ̄)ノ

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