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どっちがどっち?




 東西南北で言えば。
 東の方に位置する小さな島国。
 その、小さな島国にも西側というものがありまして。
 これが中々にややこしい。

 おまけにそのニシの中には、キタとミナミがありまして。おまけにナカと呼ばれる地域もありまして。(いや本当、まじで。)
 これが中々にややこしい。


 さて。
 これから始まるお話は、その、西に伝わる古いだけで。とりわけ “大したこともないお話”と言われている(もとい伝わる)お話です。ただちょこっと古いので、軽い説明を入れておきましょう。


 そのむかし。いづれの帝の御時か。
 ウエスタンエリアには、レジェンドと呼ばれるコメディアンがおりました。コメディアンのコメディスタイルは、当時「漫才(まんざい)」と言われるもので二人で一組の形式を、彼らの場合はとりました。(※こういう言い回しをするのは、漫才は必ずしも二人でするものだとは限らないからです。)

 ふたりのコメディアンは、帝の御心も躍らせました。その時ふたりのコメディアンは、

「がんばって続けてたら、こういうこともある。」
 と申したそうです。

 このコメディアンは、実の兄と弟の関係でした。

 さて。そこから時代が変わり…。
 そんな兄弟コメディアンのお話です。

え?わたくし?
わたくしは誰かって?
それは今回のお話とは関係ありませんので、
またのちほど(^o^)




℘…₰♪℘…₰東♪℘…₰♪℘…₰西♪℘…₰♪℘…₰♪℘…₰♪



「ねぇ、どっち。」
「なにが。」
「分からなくなっちゃった。」
「だから、なにが。」

「どっちがいとしで、どっちがこいし?」

「え?」
「漫才師の、夢路ゆめじいとし・喜味きみこいしさんのこと。」
〇だれ。それ、

「あぁ。なんで?」
〇知ってんだ。有名なの?
「映像で、観たの。」
「へぇ ( ´ー`) それで、どうだった?」
「おもしろかった。ヽ(*´∀`)ノ」
「そりゃあ、良かった。(^∀^) 」

「ずっと観ていて、どっちがどっちなのか。
 分からなくなっちゃった。
 どちらかが、いとしさんで。
 どちらかが、こいしさんなんだよね?」

「うん、兄弟漫才師。いとしこいし。
 通称・いとこいさん、いいよね。また随分、なつかしいのをお気に召したようで。(^O^)」

「どうやって、二人を見分けたらいいの?」
「 男の人…いや、失敬。つい癖で、」

◯一瞬、考える

「二人とも、生まれながらにして子宮のある痛みを知らないよね。 」
「うん。」

○一瞬、考える。
「わかった。眼鏡を掛けている方が、こいしさん。」
「両方、眼鏡だよ。( ・o・)?」
「あぁ、そうか。 晩年は、そうか。」

「二人とも、月に一回の子宮フル稼働のはたらく細胞の、働き方改革が必要な。三六サブロク(協定)を無視しまくりの。」

◯…???

「…ブラック企業に勤めているのに、今日会社休みますとは言うことも出来ずに。オーバヒートでリアル二十四時間働けますかと古代から繰り返している、あの神秘を。…はたらく細胞たちの 大活躍と大冒険の。ペリー来航を知らなくてぇ〜。」

◯すっと、男性と 言えば?(;´∀`) 
 でも 次からどこかで遣ってもいいかな?(・∀・) 

「ペリー来航ってなに。」
「月の半分が、激動の幕末。」
「 うわお。」
◯それ、どういう反応よ Σ(´∀`;)
「肌の治安がわるくて、まじ御用改め。」
「どういうこっちゃ。」
「ただ言いたいだけ。」
「でしょうね。(いちいちだね。)別にいいけど、」
「……眼鏡を掛けていて。スーツを着ていて、ネクタイを締めている。」
「……そういえば、そうだね。」

◯あ、ごめん。何の話でしたかね

「髪型も、雰囲気も。姿勢も。…似ている。」
「確かに。そりゃあ、まあ。だって 兄弟だから。」「ねぇ。どっちが いとしさんで、どっちが こいしさん?」

「え~っとね。確か、」

〇あ。調べ出した。

「調べてもよく分からなくてさ。」

「…お兄ちゃんが、いとしさんで。弟さんがこいしさんだったと思うよ。」




【※この後、お話は少しややこしくなりますので、とりあえず『弟・こいし』だけ覚えておいてね(^o^)】




「だからそれが分からないの。」
「え?」

「正直、いとこいさんがご存命の頃、なんとなく漫才を見たことがあるよ。だけどその頃から、あの二人は一体、どちらが兄で。どちらが弟なんだろうかと思いながらぼやっと漫才を眺めてた。」

「存命中に解決しなよ。」
「存命中に解決できたら、前の20世紀のツケを、21世紀に 支払わなくても済んだのにね。」

◯え、他人事?

「話の規模を大きくするなよ。別に分からなくてもいいじゃん」

「やだよ。気になる。今後、いとこいさんの漫才を見るたびに思う。『あぁ。あの時もっと深く、どちらが兄で。どちらが弟なのか。自分と向き合って答えを出しておけばよかったな』って。」
「思わないよ。もっと違うことに脳のリソースを使いなよ。」
◯え、ソース?
「出たよ。なにリソースって。リボソームのともだち?」
「逆になに。リボソームって。」
「知らないよおお。適当だよおお。会話くらい適当でいさせてよ。」

◯会話以外も、適当だよ。

「分かっているよ。でも、ここで解決しておかないと、次の時代にしわ寄せがいって、さらに問題はややこしくなるよ。」
「は?」
「国際問題に発展する前に、国内でまあるく治めなきゃ。」
んなそんな、大層な」
「我々の先輩が、リボルビングをしすぎたから、今こうして、前の世紀のツケを今世紀に支払わなくちゃいけなくなっているんでしょ?」
「はあ…」

「二十一世紀の課題を、今度は次の百年に持ち越さないように。わたしたちが 生きている間に解決出来ることは、出来るだけ解決しよう♪(∩´∀`)∩」

「大げさな。それでその議題が、なに?」

いとし・こしい。どちらが兄でどちらが弟なのか問題。

「誰も興味ないよ。深く考え込みすぎると、身体に良くないっていうよ。」
「いとこいさんを 知らない人が、初めて見たら 『このふたりは、どっちがどっち?』となると思う。」
「ならないよ」
「だってもう既になってるもん。」
「君だけだ。」
「未来のコアな日本のコメディ・ファンにとっては、大問題だよ。」
◯ ( ´Д`)=3
「…まぁ、言っていることは 分からなくもないけれど。」
「似ているし。見分けがつかないし。だって何故なら。」
「…」
「二人とも生まれながらにして、子宮のある痛みを知らなくて。幕末の動乱を知らなくて、」
「知ってたらびっくりするよ。いくつだよ、」
「眼鏡を掛けていて。スーツを着ていて、ネクタイを絞めていて、髪型もほぼ同じ。姿勢も、肌質も、毛穴の数も 多分同じ。」
「最後、余計だろ。」

「せめてどちらかが、マット肌で、どちらかが、ツヤ肌だったらまだ良かったのに。」
「分からん。分からん。」
「当時の映像は、今より画質が粗く映る可能性もあるだろうから、もしかしたら。二人とも、セミマットかもしれないし。」
「もっと分からん。」
「そもそも、いとこいさんのお二人は、何歳 年が離れているの?」
「さあ。…二歳くらい?」
◯また調べ出した。
「うん…二歳くらい。」
「分からないよっ。(´Д` )  年齢を重ねた兄弟の二歳差なんて、もはや無いに等しいよ!」
「おっ…」
「なに」
◯まだなむか調べてる。
「娘さんがいる方が、こいしさん?たまごさん?」
「たまごの親は、にわとりでいいじゃんっ。」
「出た出た。(でたでた。)」
「なにが。」
「いや、べつに。」
◯なむかキミの言わんとしていることが分かるような気がする
「名字が喜味キミ(こいし)だから、黄身の娘はたまごじゃない?」
「黄身の娘はたまごじゃなくて、黄身も卵に含まれるよ!卵そのものだよっ!」」
◯熱弁すな(^_^;)
「うるせぇ…あ、ごめん」
「遺伝子組換えでオスとかメスとかないと思う。」
「本物の卵の話じゃないよ。」
「ややこしいから、喜味の娘はたまごじゃなくて、おまえにしたら?」
「お前?何で?流石に、おまえは良くないよ。」
「なんで。きみの娘は、おまえだよ。」
「YOUとか、YOURは?」
「だめ。モデルしかできない。」
「適当…」
「美ストと美的にしか載れない。」
「すごいじゃん。凄いことだよっ」
「お前がいい。」
「いま、告白された?」
「ちがうだろ」
「なに、いつぞやの議員?」
「うるさい。」

◯ぽんぽこ・ぽんぽこ…矢継ぎ早に…

「とにかく、きみ喜味の娘はたまごじゃなくて、お前がいいの。」
「だからなんで?」
「何故ならおまえとは、漢字で『御前おんまえ』と書くんだよ。御前様ごぜんさまだよ。御前様ごぜんさま。拝み、崇め、奉られるにちがいない。」
「は?」
「ちょっと感じの宜しくない人に《お前》と言われたら、『お前というのは、漢字で『御前おんまえ』と書くのですよ。御前様ごぜんさまですよ。御前様ごぜんさま
 ならばあなたがわたくしの事を『お前』とお呼びになりたいのであれば。その言葉の通り。拝みおがみ崇めあがめ奉りたてまつり。膝まづいて、蹴躓いて、何もないアスファルトで転ぶという事になりますが、宜しいでしょうか。
 …さぁ、そこに、蹴躓け(^o^)」

「こわい。こわい。こわい。こういうのと けんかをしたら、いちばん、ダメージ大きいんだよなあ。絶対に『お前』とは呼べない。
 それに、調子に乗ってると思われるかも。」
「そうかな。」
「親の七光りと思われてしまうかもしれない。」
「七光り?
『―お前さんのお父ちゃんは、キミですよね。―』
『―そうです。私のお父ちゃんは、キミです。師匠。―』」
「…たまごにしておいて正解だったよ。」

「たまごの父は、黄身(喜味)ならば、
 卵の父親”を“産んだ母親が、先に産んだ別の兄弟は。…名字が、白身?」

◯一瞬(ん?)となりながらも(たまごの父の兄弟は…)
夢路ゆめじだよ。なんてややこしい言い方をするんだ。」
「さぁ。こんがらかって来たぞ。」
「まぜるでない。」
「スクランブルエッグにしてみた。」
「一旦、たまごから離れようか。」
「どっちが兄で、どっちが弟か。卵が先か、鶏が先か。」
「やかましいわ」
「メンデル。F1もF2も似ているよ。」
「はっ?」
「両親の良いところを受け継いだスーパーキッズ(F1)と、なんてこんなに可愛いのか。孫という名の宝物だよ。(F2)」
「…あぁそう。」
◯適当っ(^_^;)
「メンデルの法則ね。」

◯まともに取り合わないのが最善の策だと心得ている人のをとる。それ、まさに賢者の間!

「…。」

「たまごの父親”を“産んだ母親が、先に産んだ別の兄弟は。…どうして名字が、白身やなくてではなくて、夢路なの?」
「知らん!」
◯こわっ

「白身に娘がいれば、名前は、カラザになるよ」「…。(れっつ・賢者の間。ƪ⁠(⁠‾⁠.⁠‾⁠“⁠)⁠┐)」
「 でも。この場合は、こいしがいてのたまごだから…。鶏にも、卵の時代があった訳で…」
「もういい(;´Д`)」

◯ちょっと考えてみる。

「…分かった!いとこいさんの見分け方。分かったよ!これで問題解決。」
「どうやって見分けるの。」
「弟より先に生まれた方が、兄。兄より後に生まれた方が弟。」
「おぅ、今度は至って普通のことを言い出してびっくりしている。 あ、待って。」

◯またなんか調べてる

「いとしさん(兄)の娘さん、」
「白身のカラザ?」
「それやめなって。」
宝塚音楽学校出身なんだって。」
「芸名は、カラザ?」
「おこられちまえ。」
「初舞台では、自分の殻を破ったのかな。」
「羽ばたいていったのかもね。」
「鶏は、空を飛ばないからその場でバタついただけかもね。」
「まじでおこられろ。」

ほなでは、、代わりに蹴っとくわ蹴らさせて頂きます
ドリャッヽ( ・∀・)ノ┌┛Σ(ノ `Д´)ノ


「話を膨らませるなよ。」
「卵は、撹拌させるものだよ。」
「砂糖を入れたら凝固する性質もあるけどね、」

◯詳しくない!?

「火ぃ、通せば固まるじゃん。」
「仲良くしようぜ。」
「は?」
「キミには、水と油の関係を上手く乳化させる作用があるじゃないか。なぁ、レシチン。」
「誰が、レシチンだ。」
◯レシチンてなに。
「誰が製菓理論における卵の三大役割を述べろと言った」
「詳しくない!?」
「あんただよ。」

◯あんた等ふたりともだよっ。

「孫はらんぱく(卵白)。ひ孫は、らんおう(卵黄)。その子孫は、冷凍のらんえき(卵液)。ホームステイ先で出会った恋人の名前は、ポーチドエッグ。」

「なに。食べ物系が、得意分野なの?」

「そうでもないよ」

◯そうでもあるだろ。


「たまごを自立させる為には、孵化させるのがいちばんだと思うんだよね。」
「聞いてた?話、聞いてた?」

「でも。たまごは、いつまでもたまごとは限らないのだから、もう既に鶏ではないのかな?」
「だめだこりゃ。」
「そういえば、いとこいさん。漫才の中で『好きな食べ物』のお話をしていてさ。」
「好きな食べ物?」
「たまごの父が水炊きが好きで、」
「ややこしな」
「水炊きってなんって話になって。」
「トリよなだよね?」
「そう鶏。それで、『それは鶏ではなくカシワや』とか何とかケンカして。揉めてるうちに、鶏とカシワは同じものと分かって。ではそもそも、鶏とカシワはどう違うのかという話になって。」
「結局、結論はどうなったの?」
「【生きてる時は鶏。死んだら戒名がカシワ】」
「秀逸だね。」
「うん、だいすき。でもこの法則でいくと、今や、兄弟ふたりともカシワやでだよ。」
「今、天国でひっくり返っとるわ。」

「たまごは鶏となり。鶏はカシワとなって、
 孫はらんぱく(卵白)。ひ孫は、らんおう(卵黄)。卵黄らんおうキミ喜味(黄身)とよ〜く似ている。
 それこそ『鶏とカシワの違い』くらいに、どっちがどっちか分からへん。ない。
「どう見分けるの?」

「生きてる時は、黄身。
 死んだら戒名が、卵黄。」
「絶対、ちがうよね!?」
「あぁ。絶対にちがうとも。」
「なんやこの話。」
「子孫は、冷凍の、らんえき(卵液)。ホームステイ先で出会った恋人の名前は、ポーチドエッグ。」
「もうええて。なんでさっきからどこにもひよこがいないのよ。」
「忘れてた。この話、まだ生まれたてやから。」



おわり。



またあそぼうねえ〜ヽ(*´∀`)ノ♪


こちらの作品は、下記リンクの物を書き直したものであり、実在した漫才師・夢路いとし・喜味こいしさんとは全く関係はありません。好きが講じてつい書いてしまったものです。あしからず。


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nothihodo/作菓
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