乱歩の遺伝子(『死亡通知書 暗黒者』)
DEATH NOTICE
秋はやっぱりミステリーが似合います。
年末のランキングに合わせて、夏から秋は各出版社の”推し本”の動きが活発化されるので、この時期は、ランキング予想しながら、新刊を楽しむのが、私の毎年のルーティンです。
そして今年のミステリーランキングで間違いなく上位に入っていると思われるのが、この....
『死亡通知書 暗黒者』周 浩暉
HAYAKAWAさんの記事で、すごく気になっていた華文ミステリーなんですが、読んでみて一言、いやー面白かったです。
羅飛や慕剣雲など、登場人物の名前の読みが憶えられず、読みにくいとこがあっても関係なし!
グイグイと引きずられるように読み上げてしまいました。
あらすじは”HAYAKAWAさんの記事”で確認していただければと思うのですが、物語の中心となるのは
殺人者<エウメニデス> VS 特捜チーム
この対決が二転三転して面白いのです。
特捜チームにも優秀な面々が集められているのですが、この<エウメニデス>ってのが、さらに上手だったりして、なかなか尻尾をつかむことができないんです。
並行して、過去の事件が紐解かれていき、また、特捜チームのメンバーにも思惑がある者がいるらしく疑念が生まれ.......、そして、そのまま、対決は空港でのクライマックスに突入していくのです。
さて、<エウメニデス>との決着はいかに!みたいな展開です。
まあ、よくある話ではあるんですが、これだけ面白ければ言うことなしだと思うんですよね。
感触としては、ジェフリー・ディーヴァーの”リンカーン・ライム”シリーズの中華版って感じかな、ほら、ディーヴァーの小説にも、頭脳明晰な殺人者が出て来るじゃないですか、”コフィン・ダンサー”や”魔術師”、”ウォッチメーカー”とかとか
本書に登場する<エウメニデス>も、そんな類型で、読んでる側としては、強敵であればあるほどワクワクするわけなんです。
まさに、怪人 VS 名探偵の構図がここにあるのです。
この「怪人 VS 名探偵の構図」にワクワクしてしまうのは、間違いなく自分が子どもの頃に読んでいた江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズの影響だと思います。
怪人二十面相をはじめ
青銅の魔人
妖人ゴング
夜光人間
電人M などなど
数々の怪人との対決の時に感じた興奮は、少年の心に刻み込まれてると思うんですよね。
そんな自分がワクワクしたのですから、この『死亡通知書 暗黒者』にも、乱歩の遺伝子が組み込まれているに違いないのです!
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実は『死亡通知書』は三部作で、続巻も予定されているとのことです。華文SFの『三体』もそうですが、続きが読みたくなる本と出合えることは、ほんと幸せなことですよね。
どうか、早めに翻訳されることを祈っています。(お願い!HAYAKAWAさん!!)
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