子どもが読むか?おとなが読むか?(伊坂幸太郎マジック)
以前ほどは熱心に読むことはなくなっていた伊坂幸太郎作品___。
でも.......
『逆ソクラテス』が面白かった!
近年の作品も、伊坂さんらしい世界観と伏線回収、ゆるいリンクなどがあって面白かったのですが、
何か、物足りなく感じてたりした伊坂作品__(高水準を求めちゃうんでしょうね。すみません、伊坂先生!)
でも、この本は素直に面白かったです。
こんな感じで紹介されて、あの装画と、あの『逆ソクラテス』というタイトルから、きっとファンタジー寄りの作品(『夜の国のクーパー』みたいなやつ)と思い込んでいました。
なので、すぐには手に取らなかったのです。
でも、読んでみたら全然違ってました......
まさに ”敵は、先入観” でした。
(収録作品)
「逆ソクラテス」
「スロウではない」
「非オプティマス」
「アンスポーツマンライク」
「逆ワシントン」
5つの短編が収録されていますが、どの作品も、逆、ではない、非、アンスポーツなど、否定形をもったタイトルになっています。
小学生が主人公で、テーマは誰かの先入観(先生や大人、クラスメートの決めつけ)に立ち向かうこと__。
まず読みやすいし、どの話も面白かったし、伏線回収も決まって、あながち「伊坂幸太郎史上、最高の読後感。」というのも誇大ではなかったです。
伊坂作品としては珍しく、ギャングや殺し屋、死神、泥棒は出てきません。(妙に理屈っぽい小学生は出てきますが....)
伊坂さんのインタビューでは「一人の父親としての経験が、僕にこの物語を書かせたかもしれません」なんて話してるので、子どもさんに向けた作品なのかもしれませんね。
たしかに、読みやすいんで、小学生さんたちにもお薦めできるかも....です。
ぜひとも、小学生さんの感想を聞いてみたいところなのです。
でも、やっぱり......、昔、子どもだった大人が読むのがピッタリなんでしょうね......。
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追伸:画家 junaida について___
『逆ソクラテス』が魅力的だったのは、画家 junaida(ジュナイダ) さんの装画にもあると思っています。
けっこう他の本の装画も手掛けているみたいなのですが、私にとっては、有栖川有栖さんの本で発見して以来、気になる画家さんでした。
junaida さんは人物画もたくさん描いているようですが、やっぱり気になるのは
こんな絵や
こんな絵で
細かくいろんな人や物が描き込まれてる世界に引き込まれてしまいます。
自分のアカウント名の通り、"小さな世界" に魅かれる性質なんだとあらためて思いました。
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