イントロだけで魅かれてしまう南野陽子の名曲たち...(80年代アイドル名曲列伝)
Nanno koresiki
今回、”note” するのは
南野陽子さんです!
80年代後半に一際輝いていたアイドルなんですよね。
1985年、18歳の時に歌手デビュー。
ドラマ「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」で、主人公を演じ、一躍トップアイドルとなる。
6thシングル『楽園のDoor』から、13thシングルの『秋からも、そばにいて』まで8作連続でオリコンチャート1位を獲得。
最大のヒット曲は11thシングル『吐息でネット。』
当時の人気は、ほんとすごかったです。
「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」は、外連味溢れるドラマだったんですが、突き抜けてる感がありましたね。
私たちの間では "ジャギの面" と呼ばれていた鉄仮面の中が、こんな美少女だったら、それだけでも盛り上がりますよね。
ドラマの挿入歌や主題歌で南野陽子さんの曲が使われていたのですが、シリアスな感じの曲が多かったですね。
そんな中、映画版の主題歌となった『楽園のDoor』で、ついにオリコンチャートトップを獲得することになります。
『楽園のDoor』6th 1987.1
作詞: 小倉めぐみ/作曲: 来生たかお/編曲: 萩田光雄
いい曲ですね。
その歌唱力はけっして高いとはいえませんが、80年代アイドル・ポップスの中では、南野陽子さんは、松田聖子さんや中森明菜さんに次いで名曲が多いと思うんですよね。
その名曲たちを生み出していたのは、ソングライターの方もさることながら、デビュー初期から多くの編曲を担当していた萩田光雄さんの手腕が大きいと思うのです。
■■ 萩田光雄のアレンジの光る名曲たち ■■
萩田光雄さんといえば、『プレイバック パート2』をはじめ、山口百恵さんの数々の名曲のアレンジャーとして有名な方なんですが、他にも太田裕美さんの『木綿のハンカチーフ』や、久保田早紀さんの『異邦人』、あみんの『待つわ』等々、時代を代表するヒットソングに関わっていた方です。
『プレイバック パート2』にしろ、『異邦人』にしろ、『待つわ』にしろ、あのイントロが印象的な曲ですよね。そのアレンジをしたのが萩田さんなのです。
南野陽子さんがデビューから1990年に所属事務所から独立するまでの間、そのほとんどの楽曲のアレンジを担当しています。
この萩田光雄さんのアレンジがいいんですよ!
ほんと、すごい!
『風のマドリカル』4th 1986.7
作詞: 湯川れい子/作曲: 井上大輔/編曲: 萩田光雄
「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」の主題歌となった曲ですが、大滝詠一さんの『さらばシベリア鉄道』と同様にロシア民謡調の楽曲にアレンジされています。
『さらば~』ライクではありますが、やっぱ雄大な感じなんですよね。
「風」といっても、けっして「そよ風」ではなく、風を切って進んでいく強さを感じさせてくれるのです。
『パンドラの恋人』8th 1987.7
作詞: 田口俊/作曲: 亀井登志夫/編曲: 萩田光雄
この、フワッとしたイントロ、階段を上るように歌の世界へ惹き込んでいくアレンジは絶妙だと思いませんか?
南野陽子さんのとつとつとした歌い方に、ドラマティックな何かをプラスしてる感じです。
ストリングスをはじめ、いくつかの小さなストーリーがクライマックスに向けてより合わさっていくような展開が素敵すぎるのです。
『秋のIndication』9th 1987.9
作詞: 許瑛子/作曲: 萩田光雄/編曲: 萩田光雄
『パンドラの恋人』に続くシングルなのですが、これまた、歌の世界へ誘う力が強いイントロなんですよね。
萩田光雄さんは、この曲では作曲も担当しているんですが、淡々とした序盤に、転調のアクセントを加えるとともに、様々な音色を組み合わせていく様子は、一つの短編小説を編み上げていってるようで、まさに編曲の醍醐味があるんですよね。
『吐息でネット。』11th 1988.2
作詞: 田口俊/作曲: 柴矢俊彦/編曲: 萩田光雄
南野陽子さんの最大のヒット曲となったのが『吐息でネット。』
マイナー調のものが多い南野陽子さんのシングル曲の中で、貴重な春っぽい仕上がりの曲です。
ヒラヒラとして軽やかで明るい感じが素敵なんですが、この軽快なサンバテイストの加減が絶妙だと思うんですよね。
『秋からも、そばにいて』13th 1988.10
作詞: 小倉めぐみ/作曲: 伊藤玉城/編曲: 萩田光雄
このパイプオルガンから始まるイントロ...
ボレロ調の曲進行に、寂しげなストリングが、厳粛なイメージを醸しだしてくる、萩田アレンジの真骨頂ですよね。
南野陽子さんの飾らない歌声が、ドラマティックに響いてくるので、こういう「秋」をイメージさせる曲が南野陽子さんには一番似合ってるのかもしれませんね。
■■ 片思い少女の二つの顔 ■■
声質や、歌唱の特徴もあるのでしょうが、一貫して、少女のイメージが強い南野陽子さん。その南野陽子さんの歌う「片思い」の曲を2曲。
主人公の女の子の取る行動があまりにも違っていて面白いので紹介します。
『話しかけたかった』7th 1987.4
作詞: 戸沢暢美/作曲: 岸正之/編曲: 萩田光雄
右に2ステップ、左に2ステップみたいな感じのスタンダードなリズムをもった、メジャーコードの明るい曲なんですが、ほんとは、ちょっと切ない曲なんですよね。
憧れの男性を見かけて、話しかけたかったのに
髪がハネていたり(「デスティニー」の法則ですねw)
友だちから呼ばれたりして、話しかけられないまま...
そうしてるうちに、彼がポニーテールの女性と歩いてるところを見かけてしまうという...
そんな、遠くから見ていただけの、少女の淡い恋心を歌ったものでした。
一方、『話しかけたかった』とは、全く違った片思いを歌っていたのが、遡ること半年前にリリースされていた『接近(アプローチ)』です。
『接近(アプローチ)』5th 1986.10
作詞:森田記/作曲:亀井登志夫/編曲:萩田光雄
個人的には大好きな曲なんです。
マリンバが特徴的な曲なんですが、他にも、なんかよく分からない楽器の音色が聴こえたりするんですよね。
ただ、この曲の主人公の女の子はなかなか怖いんです。
すでにつき合ってる女性のいる男の子を、嘘をついて呼び出します。
会話をする中で、いろいろと意味ありげな行動をとる女の子...
男の子の方も気になっちゃって... そして最後の決意が怖い!w
ドラマのような三角関係なんですが、ドラマなら主人公じゃない方のライバル役ですよね。
こんな怖い女の子を演じさせる歌詞を書いたのは誰だ?
と思って作詞家を見ると、森田記さんという見慣れぬ方の名前が…… 実は、この方、康珍化さんの別名なんですよね。さ、さすがのドロドロ感なのです。w
人気が出始めの頃に、こんな怖い歌を歌わせておいて、その半年後には『話しかけたかった』を歌わせるなんて...ww
でも、それを演じ分ける南野陽子さんに、女優の片鱗を見るんですよね。
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南野陽子さんはヒット曲が多くて、全部は紹介しきれませんが、あらためて名曲が多いなと思いました。
萩田光雄さんといえば山口百恵さんって感じなんですが、実は、この南野陽子さんとのコンビこそが最高だったのではないかと思うのです。
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