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嗚呼、青春の”コバルト文庫”

 Cobalt-blue spring


 まだ、”ライトノベル” という言葉が無かった時代の話です。

 小学校高学年から中学生になる頃には、自分のお小遣いから、マンガだけでなく文庫本なんかを買ったりするようになったのですが、その頃、自分の買っていた文庫といえば、機動戦士ガンダムの小説が出てた「朝日ソノラマ文庫」、赤川次郎さんのブームが始まった「角川文庫」、そして、今回のテーマ「コバルト文庫」を思い出してしまいます。

 「コバルト文庫」は、少女向けのイメージが強いのですが、氷室冴子さんの『なんて素敵にジャパネスク(1984)』以前の、創刊~80年代初期の頃は、少年向けSF作品とかもけっこうあったりして、けっして少女オンリーではなかったんですよね。

 今回は、そんな時代の「コバルト文庫」について”note”します。


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    創刊当初のコバルトシリーズには、前述のようにSF作品も多かったのです。
    自分が豊田有恒さんや横田順弥さんの作品と出会ったのは、コバルトシリーズでした。
    また、SFアニメブームを背景に「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」など、松本零士さん原案アニメのノヴェライゼーションが人気で、私もハーロックものなんかをよく読んでたんです。


 もちろん、シリーズの中心となっていたのは ”少女系青春もの” だったのは間違いなくて、女子の間では、すでに氷室冴子さんの「クララ白書」や「アグネス白書」を読んでる子がいましたね。
    けっこう人気だった記憶がありますね。


     なんか、あまり記憶にはないのですが、当時のラインナップを見ると、平岩弓枝さんや落合恵子さん、そして片岡義男さんの名前なんかもあったりしますね。
    もしかすると、若手の頃の作品と出会ってたのかもしれません。



    その他にも、自分にとって、「コバルト文庫」には、特に印象的だったシリーズが何冊かあるんですよね。


『星へ行く船』著:新井素子

    当時、高校生で作家デビューということで、話題になった新井素子さん!
    すごいですよね〜、ちょっと憧れました。
    でも、氷室冴子さんも大学生デビューだったし、同じ出版社の別冊マーガレットでは、漫画家、くらもちふさこさんが高校生デビュー、いくえみ綾さんに至っては中学生デビューしてましたから、この頃の集英社ってのは、なんか、ホントにすごかったんですよね。

    新井素子さんの特徴は、その読みやすい文体なんです。是非はおいて、現在のライトノベルで主流の「一人称口語」の流れを作ったのは、高千穂遥さんのダーティペアシリーズと、この「星へ行く船」のシリーズだと、私は考えているのです。



『ヘッドフォン・ララバイ』窪田僚 

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    スポ根も入った由緒正しき青春ものです。
    なんか、クラスで流行って、皆で回し読みしたのを憶えています。(すみません💦)
    主人公が、アパート暮らしで、女の子とかが転がり込んでくるんですが、それが羨ましくて羨ましくてですね!
    あー、一人暮らししたい!と、むちゃくちゃ憧れたのです。
    ちなみに、後日、シブがき隊主演で映画化されました。



『ヤング・ラブノート』赤松光夫

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    そして、最後は『ヤング・ラブノート』
    このシリーズ、小説じゃないんですよ…
     実は、初体験談を集めたリポート集なんです。

    "初体験"って、ああ、甘酸っぱい!

    中学生になった頃の、あの興味津々な時期、女子の間で回ってた本なんですが、男子には貸してもらえない秘密の本でした。(まあ、そうですよねw)
    その後、秘密を突き止めて、ブツを手に入れた男子の間でも回ったんですが、いや〜、夢中で読みましたね!うんうん。
   「コバルト文庫」の影の人気本みたいな感じで、読んだ人率の高い一冊だったのです。

    なんか、こういうのを思い出すのって、ホント、青春っぽい!w
    懐かしいなぁって感じです。

    たしか、シリーズが三冊ぐらいあったと思うのですが、自分がどれを読んだかは記憶にはありません。
   今も手に入るのかは、わかりませんが、ちょっと見てみたいような気もします。w

    「コバルト文庫」って、こういうドキュメント系のものも、それなりにあったような気がして、かなり幅広いシリーズだったのかなって、今になってみると思いますね。
    少年・少女というカテゴリーが作られていった時代だからこその文化だったのでしょうね。