KAORI漂う、ひとひらの音の符
ピアノの透明感のある、
ひとひらの音の符が
綴れ連なり、静かな爽風になる。
その聖なる調べから
生きる希望の光が射し込み
溢れ零れる水滴の向こうが
微かに見えてくるよう。
巧みな技巧とか、
ダイナミックさはない。
優しくて、清らかで、穏やか。
ときにきらりと、
エレガンシーも醸すのだ。
川上ミネさんが奏でるピアノは、
これからの季節にぴったり。
不要不急の外出自粛のなか
心の中で静謐な森へいざない、
木漏れ陽の貴さに心をときめかせる。
NHKの「猫のしっぽ カエルの手」や、
「映像詩シリーズ」「ラジオ深夜便」の
ピアノの調べはいずれも珠玉。
手掛けているのは、川上さんだ。
なかんずく「映像詩シリーズ」の
映像の美しさとピアノの調べは絶妙、
思わず、何か言の葉を添えたくなり、
心が踊る。
川上さんのアルバムに「馨〜かおり」がある。
かおりには「香」「薫」「馨」、
「かほり」など様々な表記がある。
「馨」は気品と上質感があり、
このアルバムに選んだ理由に、
合点がいく。
僕はシンプルに「かおり」も好き。
飾ることなく優しくて、穏やか。
肩の力を抜いて向き合える感覚、
素顔の美しさ、
深遠なる貴さが潜んでいると。
格別な時間とかおりを届けてくれる、
村上ミネさんのアルバムたち。
若葉、梅雨、盛夏へと連なる
これからの季節、必聴、珈琲に合います。