ペン売り場にて誤断〜手帳の佇まい(27)
東京駅前のオアゾにある丸善は
週2で顔を出す僕にとってのオアシスです。
書店としてだけでなく、
ステーショナリーやネクタイも
センスの良い品揃えで楽しくて。
一昨日のこと。
高級ペン売り場で僕が探していたのは
上品なボディだけどゲルインクが入る
単機能ボールペン。
ゲルインクはジェットストリームの多機能ペンを数種類持っていますが、今の僕は単機能ペンしか使いません。であれば、高級ペンで、スイスイと書きたい。されば、ゲルインクだろうと。
僕は暫くショーケースを眺めていました。
ケースの向こうには、黒縁眼鏡をかけた若い女性店員さん。一見、商品知識に長けたシャープなベテランふうではなく、ふわっとのんびりした印象。
「ゲルインクの芯が挿入出来る高級ペンって、どのあたりですかね?」という言葉を僕が押し殺していると、彼女は察したのか、「何かお探しですか?」と僕の前に立ったのです。僕は抑えていた言葉を吐き出しました。
そこからの彼女はファンタスティック。
ジェットストリームのゲルインクが使える海外ブランドを的確に言い表し、僕の言葉やリアクションから、僕が「PARKER」愛好家であることを見抜き、いくつかの商品を見せてくれました。ちょっと値が張るなと僕が言うと、「PARKER」は廉価なラインナップもあると、100円台からの膨大な量のボールペンが陳列してある売り場へ僕を誘い、ここに「PARKER」の「ジョッター」があると説明。芯も0.38ミリ、0.5ミリ、0.7ミリが入ると教示。
僕は黒ではなく、ブルーブラックはないかと質問すると、黒しかないと即答。
彼女は全ての反応が早く、流れるような身のこなし。僕はなんか心揺さぶられ、Amazonで買ったほうが安いであろう、PARKERのジョッターとジェットストリームの替え芯(インク)を即買いしたのであります。
帰路、僕は大変恥じたのでした。
即買いしたことではなく、
初見で彼女を見誤ったこと。
つまり、この人は詳しくなさそうだと
勝手に判断したことを。
お陰でプロの仕事を堪能でき、
このペン代金、
大変安くつきました。